もてぎ・菅生S-FJ選手権

第4戦SUGO決勝 最終コーナーで勝負に出た豊島里空斗、バトルを制してデビュー2連勝

優勝は豊島里空斗(C.S.I Racing ED)

 2023年スーパーFJもてぎ・菅生シリーズ第4戦決勝は5月14日(日)にスポーツランドSUGOで開催され、12周のレースのファイナルラップまでくり広げられたトップ争いはフィニッシュライン直前で決着。第3戦でデビューウインを飾った15歳の豊島里空斗(りくと)(「C.S.I.Racing ED)が内田涼風(群馬トヨペット RiNoA ED)を振り切って連勝を飾った。

 前日の第3戦に続き連戦で行われたSUGOでの第4戦。明け方には雨が降ったとのことだが朝から天気は曇りで、スーパーFJ決勝が始まる12時45分の時点でコースはドライコンディションで気温18度。しかしどんよりと曇った空からはいつ雨が降ってきてもおかしくない雰囲気だ。エントリーは第3戦から1台減って12台。

 第3戦決勝でのベストラップによって決定されたスターティンググリッドは

  • ポールポジション:豊島里空斗 1分28秒821
  • 2番手:内田涼風 1分28秒858
  • 3番手:池内比悠(群馬トヨペットTeam RiNoA ED)1分29秒118
  • 4番手:熱田行雲(ZAP10VED)1分29秒249
  • 5番手:中澤凌(ZAP FOCS 10VED)1分29秒264
  • 6番手:椎橋祐介(FG&SWNMSPKKS2)1分29秒369
  • 7番手:村田将揮(商工冷熱ZAPSPEED ED)1分29秒385
  • 8番手:磐上隼人(アルビ富士吟景GIAED)1分29秒426
  • 9番手:甲山晴翔(Vivalavida でさん子10VED)1分32秒412
  • 10番手:青木諒太(かのせ温泉withアルビED)1分33秒023
  • 11番手:柴田泰知(ZAP SPEED RD10V ED)1分35秒136

 という順で、第3戦のフォーメーションラップ中にドライブシャフトが折れてスタートできなかったランキング首位の池田拓馬(TAKE with Wins AMEROID)はピットスタートとなった。池田によるとドライブシャフトは交換済み、前日抱えていたエンジンの不調については対策が功を奏したか未確認のままだとのこと。

 各チーム本日の雨を見越して2セット使えるニュータイヤを前日の第3戦の予選と決勝で投入していたが、結局スタートまで雨は落ちて来ずユーズドタイヤでレースに挑むことになる。ただ一人1セットで第3戦をこなしたのが豊島でこのレースにニュータイヤを使うことができるが、これが吉と出るかはレースが始まらないとわからない。18度という気温は前日とほぼ同様で、ニュータイヤで決勝をスタートした選手からは序盤のタイヤの発動に苦労したという声もあった。

 午後1時5分フォーメーションラップ開始。今回は何事もなく全車グリッドに戻ってきて、レッドライトが消灯してレーススタート。池田もピットレーン出口からスタートを切った。

決勝のスタートシーン

 ホールショットを奪ったのはまたしても内田で、蹴り出しよく豊島の右サイドに並びかけると第1コーナー進入までに前に出る。後方では4番手スタートの熱田が池内のインを突き3位にポジションアップ。さらに7番手スタートの村田の加速がよく、椎橋~中澤と仕留めて5位でターンインする。

 トップに立った内田は豊島とのギャップを僅かに拡げて第3~第4コーナーを通過。第4コーナーでは池内が3位を奪い返すべく熱田のインに飛び込むが、ここは熱田がポジションを守る。ハイポイントコーナーを抜けてバックストレッチでは村田が池内のリヤに張り付くが、ここからの伸びは池内がよく、村田は逆に中澤に背後を脅かされて馬の背に進入。中澤は最終コーナーからの加速で村田の右サイドに出ると前に出てコントロールラインを通過、5位に浮上する。

 1周目を終えてトップ内田と豊島のギャップは0.114秒、テール・ツー・ノーズ状態だ。3位熱田はトップから0.581秒差、4位池内1.052秒差と続いている。第4セクターの豊島は内田より明らかに速くここで一気にギャップが縮まる。そして2周目に入ったストレートエンドで豊島はインからアウトに進路を変えて内田を牽制するが、ここは内田がラインを守る。

 2周目もトップ2台の間隔は拡がらず、最終コーナーからの登り坂の加速で豊島が内田の右サイドに出ると前に出てコントロールラインの手前でオーバーテイクを完了。トップの座を奪い取る。後方では磐上が村田を仕留めて6位に順位を上げ、村田は椎橋にもオーバーテイクを許して8位までドロップ。

 3位を争う熱田と池内は再び第4コーナー入口で池内が勝負に出てインに飛び込み並走で進入するが、コーナーの頂点辺りで両車は接触、揃って横向きに止まってしまう。モニターで見た印象は軽い接触から熱田がハーフスピン状態になり、イン側にいた池内は逃げ場がなくこちらもインに巻き込んだように見える。両車再スタートを切るが最後尾までポジションダウン。

 トップに立った豊島は内田を引き離し、3周目終了時点で0.706秒のギャップ。3位に上がった中澤はアクシデントを回避したこともあって、2.283秒後方につけ、4位磐上は0.386秒とギャップを削っている。5位椎橋はそこから約1秒離れている。

 トップを行く豊島は内田とのギャップを4周目1.171秒、5周目1.987秒と拡げていく。ニュータイヤの優位が現れ始めたようだ。ポジション争いが激しくなってきたのが3位グループで、まず磐上が4周目のバックストレッチで3位中澤のスリップストリームから抜け出して馬の背にアウト側からアプローチするが、ここは中澤譲らずポジションキープ、その間に椎橋も追いつきバトルに参加。3台はストレートでスリップを使いあって3ワイドでコントロールラインを通過し5周目の第1コーナーへ。イン側中澤、中央磐上、アウト側椎橋と並んでブレーキングからターンイン、磐上が前に出たかに見えたがラインがワイドになり中澤、椎橋が先行する。このバトルで利したのが村田で3位争いグループに接近。ペースが落ちた磐上を仕留めて5位に浮上する。磐上は攻防の中でマシンにダメージを抱え込んだとのことだ。村田は勢いに乗って6周目の馬の背で椎橋を攻略、4位に上がる。ピットスタートだった池田も8位までポジションを上げている。

 7周目、豊島は内田とのギャップを2.318秒まで拡大。前日以上の独走状態となっていたが続く8周目、ハイポイントコーナーの出口で大きく失速、内田にトップを奪い返されてしまう。豊島によるとここでシフトミスがあり、3速にシフトアップするところを1速に入れてしまったとのこと。それ以前から何度かシフトミスが出ていたとコースサイドから報告が上がっていたが、このミスで3秒以上ロスしてしまい、首位から陥落した。

 チャンスを貰った内田はここぞとばかりにプッシュして1.211秒まで差を拡げて8周目を終了。しかし立ち直った豊島は9周目に0.749秒差と詰める。内田も負けじと自己ベストに近いタイムで10周目にギャップを1.206秒に戻す。しかし続く11周目、豊島が1分28秒842とこの日のファステストラップを叩き出して内田の0.44秒後方でファイナルラップに突入する。中澤対村田の3位争いも0.307秒の差だ。ストレートエンドで村田はチャンスを窺うが中澤はスキを見せない。

 ファイナルラップ、内田のテールに張り付いた豊島はコーナー毎にプレッシャーをかけるがオーバーテイクの素振りは見せない。1車長の間隔で馬の背からSPコーナーと通過。豊島は最終コーナーをややワイドに抜けて助走して10%勾配のストレートに入ると、内田のスリップを使って加速。左サイドに抜け出すとじりじりと並びかけて2台はもつれるようにフィニッシュラインを通過。0.112秒の差で僅かに豊島のノーズが前に出ておりレースは豊島の優勝で決着した。勝利を確信していたか豊島は右手を高々と上げながらチェッカードフラッグの下を通過した。中澤対村田のチームメイトによる3位争いは村田の猛攻を中澤がしのぎ切って表彰台を獲得した。村田4位。5位椎橋、6位磐上と続き、ピットスタートの池田は7位でフィニッシュ、かろうじてポイントリーダーの座を守った。

決勝2位は内田涼風(群馬トヨペットRiNoA ED)

決勝3位は中澤凌(ZAP FOCS 10V ED)

決勝4位は村田将輝(湘工冷熱ZAP SPEED KK-SII)

決勝5位は椎橋祐介(FG&WNMSP KKS2)

決勝6位は磐上隼斗(アルビ富士吟景GIA ED)

 これで豊島は連続でポール・ツー・ウイン、SUGOの週末を完全制圧した。レースを終えた直後に内田と互いの健闘をたたえ合うなど「アンファン・テリブル」とは程遠い15歳だが、今後どのように化けて行くのか楽しみだ。シリーズは残り3戦。次なる第5戦は7月22-23日にモビリティリゾートもてぎで開催される。

表彰式

Text: Junichi SEKINE
Photo: Kazuhiro NOINE


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