夏と冬に行われる軽自動車の祭典K4-GP、7時間耐久レースが4日、静岡県の富士スピードウェイで127台が参加して行われ、GP-2クラスのTeam TANSAN(タイサン的なほいてR)が7時間・133周で優勝した。
K4-GPのスケジュールは決勝前日の3日から始まった。午前10時からは快晴の下、麓まで雪をかぶった富士山に見守られて55分間の練習走行が始まる。
今回はN-ONE参戦車両が増加したため、全クラスで127台が参加。クラス、クラス分け基準、各クラス参加台数、各クラス燃料搭載量は以下の通りである。
クラス | 内容 | 参加 台数 | 燃料 (L) |
---|---|---|---|
GP-1-N | ミッションはAT、エンジンはNAの車両 | 6 | 64 |
GP-1-T | ミッションはAT、エンジンは過給機付きの車両 | 1 | 68 |
GP-2 | 1998年10月に施工された改定前の軽自動車規格の車両で、ミッションはMT、エンジンはNA | 23 | 52 |
GP-2-F | 1998年10月に施工された現在の軽自動車規格に沿った車両で、ミッションはMT、エンジンはNA | 35 | 60 |
GP-3 | 1998年10月に施工された改訂前の軽自動車規格の車両で、エンジンは過給機付き | 14 | 59 |
GP-3-F | 1998年10月に施工された現在の軽自動車規格に沿った車両で、エンジンは過給機付き | 14 | 65 |
GP-4 | レース専用のR車両で、エンジンはNA | 12 | 51 |
GP-5 | レース専用のR車両で、エンジンは過給器付き | 7 | 57 |
GP-NO | N-ONEオーナーズレースに参戦している車両 | 15 | 67 |
練習走行は55分間が4回行われ、午後3時からは初めての試みとして予選も行われた。ただし参加義務は無く、結果はグリッドに反映されるが、耐久レースのためグリッドは重要では無く、有料のため参加は52台と半分以下にとどまった。
翌4日決勝は、午前9時からセーフティーカー(SC)先導でローリングラップが始まる。昨日とは打って変わり、みぞれが落ちる寒い朝を迎えた。
路面温度が低いためSC先導は3周に渡り、レースは4周目から始まった。
ポールポジションはCOOL HEADERS(690号車・カプチーノC7R)だったが、予選3位からチームROSSO(307号車・カプチーノ)が1コーナーでホールショットを取る。
その後、下位グリッドから追い上げて来たツカハラレーシング(85号車・ツカハラN-ONE)がトップに浮上。N-ONEはABSなどのデバイスもあり使用可能ガソリンも67リットルと多く、濡れた路面で快走を見せる。
1時間経過時点では、COOL HEADERSがトップを奪い返すが、2時間過ぎには最後尾から追い上げて来たゆらたく屋(1号車・フォーMira-1)がトップに浮上。2位にもTEAM-T弐号機(777号車・TEAM-T弐号機)が上がってきた。
1号車は全日本F3、ポルシェカレラカップジャパン(PCCJ)のチャンピオン小河諒、RSチャンピオンの大城一がドライブ。一方、777号車は元GT300紫電コンビの高橋一穂、加藤寬規がステアリングを握る。この2チームの争いはK4-GPでは毎度見られる光景だ。
レースは3時間半と全体の半分を経過。トップはゆらたく屋のままだが、TEAM-T弐号機が後退すると2位にはクロダレーシング(759号車・KRSミニパトアルト)が上がってきた。この2台が同一周回だ。
残り2時間20分、100Rで3台が絡むアクシデントが発生し、このレース4回目のSCが導入された。この間、トップゆらたく屋と2位クロダレーシングがピットイン。
ここで給油、ドライバー交代を終えてピットアウトしようとしたゆらたく屋だったが、ちょうどストレートをSCの隊列が通過中。ピットクローズでコースインすることができず、隊列の通過を待ってコースインせざるを得なかった。これで、トップにはクロダレーシングが立った。
しかしスピードに勝るゆらたく屋は5時間経過時点で再びトップに浮上。2位にはホンダの名門社員チームTEAM YAMATO(671号車・YAMATO N-ONE)が浮上し、3位にTEAM-T弐号機がつける。
レースはこのまま順当に残り2時間を走りゴールを迎えると思われたが、ここから大波乱の様相を呈する。このレース、給油義務回数は4回で、残り1時間、午後3時までに最後の給油を行わなければならない。そのため、午後2時台には最後の給油を行うため、給油所にマシンが殺到。給油所手前には給油を待つマシンの列が長く伸び、運の悪いチームは給油まで15分以上待たされることとなった。これでトップのゆらたく屋、TEAM-T弐号機などが脱落。
このため残り1時間を切った時点で、早々に最後の給油を終えていたTeam TANSAN(128号車・タイサン的なほいてR)がトップに浮上。このまま逃げ切り2位以下をラップダウンにして総合優勝を飾った。
2位にはチームぴかいちBKM(213号車・チームぴかいちトゥデイ)、3位にはクロダレーシングが入った。
GP-1-Nクラスは、TOKOH Racing(124号車・プレオ)が、GP-1-TクラスはT-base(197号車・ティーベース)が、GP-2クラスは上記Team TANSANが、GP-2-Fクラスはクロダレーシングが、GP-3クラスはチームROSSOが、GP-3-Fクラスはマーシャンクレート・クラブマン(700号車・マークレケンウッドDXコペン)が、GP-4クラスはIMAGEwithTTRC(5号車・IMAGE936H&T)が、GP-5クラスはTeamTAISAN(92号車・TAISAN 92国光Jr)が、GP-NOクラスはPAZZOとモータークラブ(178号車・PAZZOモータークラブN-ONE)がクラス優勝を飾った。
このレース、雨でペースが上がらず、SCも4回入り、燃費も良くなり、最初の給油が12リットルと規則で決められたため、スタートドライバーを引っ張るチームが多かった。そのため後半に残りの給油義務を消化せざるを得ず、午後2時30分あたりから最後の給油を行うチームが集中。各チーム、給油所に偵察員を置いて、空いたタイミングでピットインする戦略を取るが、最後は給油の列が長くなるばかりで、ピットインを指示するタイミングを失った。
午後3時に給油ルートが閉鎖されるとタイミングモニターに「給油未消化は2周減算」のペナルティーが表示された。このペナルティーは規則書に記載されておらず、2周なら5分ほどを失うだけだ。「入らなければよかった」というチームの声も聞こえた。
この夏のお盆には、10時間と5時間の耐久レースが行われる。正式な日程は発表されていないが、熱い楽しい戦いを期待したい。
Text & Photo: Yoshinori OHNISHI