F4 JAPANESE CHAMPIONSHIP (FIA-F4)

現役FIA-F4レーサーが小学校で講演、マシン搭乗には行列も

6年生集合写真

 2023年FIA-F4選手権シリーズに参戦している現役レーサーの田上蒼竜が、母校である土浦市立大岩田小学校(校長:永井厚)を訪問、児童の前で講演を行った。

 これは同校が行っている、職業観を段階的に身につける総合的な学習の時間(キャリア教育)の一環で、土浦市では「未来プロジェクト」という名で、専門性のある職業につく社会人や、将来の夢に向かって頑張っている人を講師に招き、その職業への想いを語ってもらい、児童自身の生き方やキャリア形成を考える機会を持とうという取組を行っている。昨年もスーパーFJドライバーだった田上が講師に招かれ、児童の前で講演、スーパーFJマシンやレーシングカートの展示も行われた。(https://www.fmotor.jp/2022-super-fj-tagami-speaks-at-an-elementary-school

 田上は2002年生まれの21歳。大岩田小学校から地元の中学、高校と進学し現在は大学に通いながらレース活動を行っている。昨年はスーパーFJのもてぎ/SUGOと筑波/富士の両シリーズのダブルチャンピオンを獲得、年末の日本一決定戦では4位入賞した。今年はZAP SPEEDのサポートでFIA-F4選手権シリーズにステップアップ、ここまで予選ベスト18位、決勝ベスト12位とメーカー育成選手を相手にやや苦戦しているが、残る最終戦、ホームとも言えるモビリティリゾートもてぎでの大会でポイント獲得を目指している。

 昨年の講演よりひと月遅れとなった10月16日(月)、前日の雨も上がり水たまりは残るものの好天に恵まれた中で、朝から大岩田小学校の玄関前に田上が今年ドライブしている14号車「ガレージENZO ZAP F110」が置かれ、登校する児童を迎える。昨年のスーパーFJマシンを覚えているのか「去年より大きい」とか「色が違う」といった感想を見せる児童も多かった。

校長と面談

 まずは授業開始まで永井校長と対談。小学校から高校まで地元土浦で過ごした田上だけに地元の話題、そして自分のレース歴やレーシングドライブの大変さなど校長に問われるままに説明。レーシングドライバーと初めて会ったという校長は4歳からというレースキャリアの長さと苛烈さに驚く場面も。

1限目

1限目_2

1限目_3

 1時限目は低学年の児童がマシンを見物。1年生にとってはほぼ初めて見る実車に興奮のおももちで、順番にコックピットに座らせてもらうと着座と言うより「潜り込む」という表現が合う状態でさすがにF4マシンでも広く大きく感じるようだ。それでもみんな笑顔で行儀よく順番を守って乗車。

講演

講演_2

 そして午前9時半からの2時限目、「ふれあいルーム」と呼ばれる講義室に2クラス50人の6年生が集まり本日の本題である田上の講演が開始される。

 昨年は「将来の職業としてレーシングドライバーを目指す自分のこれまでのキャリアや活動。そこでの挫折や喜び」といった内容を語った田上だが、今年は内容を変え「モータースポーツって何?」という切り口からトークを始めた。

 さすがに2回目となるとトークも滑らかになり、小学6年生の目線にあわせるべく「マリオカート」を引き合いに出したりしながら、どんなカテゴリーのモータースポーツがあるか、ひとくちにレースと言っても多岐にわたる種類があることや競技の方法をわかりやすく説明する。さすがに6年生ともなると、F1を知っているとか近所のショッピングモールで車両展示を見たことがあるといった児童がちらほら現れるが、それでもカートから始まってフォーミュラやGTカー、果てはトレーラヘッドのレースまであると聞いて目を丸くしていた。

 そこから話を発展させて田上がドライブする「フォーミュラカー」とはどんなものか、なぜ自分はフォーミュラというカテゴリーを選んだかについて「軽さ」「パワー」「形」というキーワードを挙げて市販車とのスペックの比較やウイングの効能などを説明。クイズ形式で児童に参加させることで講義室内は活気を帯び、一段と盛り上がりを見せた。

 授業の最後は田上が自身がまだ発展途上であり、プロドライバーとなるべく今後も努力を続けること。小学6年生には無限の可能性があり、モータースポーツに限らず自分のやりたい事、進みたい進路を見つけてそれを実現する努力をしてほしい、と締めくくって講義を終えた。

講演後サイン会

 講義が終わると即席のサイン会となり、児童が田上の前に並んでノートなどにサインを貰いながらひとことふたこと言葉をかわす。レーシングスーツが珍しいのかしげしげと眺める子もいた。

講演後6年生乗車

 その後は玄関前のマシンまで移動して、低学年と同じく乗車体験。6年生の体格だとコックピットの狭さや足が持ち上がった独特の姿勢などを理解する児童も多く。またマシンの最高速や価格など直球の質問に田上が苦笑する場面もあった。

 全員がマシンを前に並んで記念撮影で田上講師の授業は終了。その後も授業の合間に各学年の児童がマシンの前に来ての乗車体験が夕方まで続いた。

 田上の次のレースは11月4-5日、FIA-F4の第13戦、14戦。シーズン最後の大会だ。

Text & Photo: Junichi SEKINE


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