Super FJ Championship

現役スーパーFJレーサーが小学校で講演 玄関前にはマシンも出現

講演する田上蒼竜

 スーパーFJもてぎ/SUGOシリーズと筑波/富士シリーズに参戦し、現在両シリーズのポイントリーダーである田上蒼竜選手が、母校である土浦市立大岩田小学校(校長:川村勝司)を訪問、生徒の前で講演を行った。

 これは同校が行っている、職業観を段階的に身につける総合的な学習(キャリア教育)の一環で、土浦市では「未来プロジェクト」という名で、専門性のある職業につく社会人や、将来の夢に向かって頑張っている人を講師に招き、その職業への想いを語ってもらい、生徒自身の生き方やキャリア形成を考える機会を持とうという取組によるものだ。

 田上蒼竜選手は2002年生まれ、今月に20歳になる。大岩田小学校から地元の中学、高校と進学し現在は大学に通いながらF1ドライバーを目標にレース活動を行っている。

モーターレーシングとの関わりは4歳でキッズカートに乗ったのが始まりで、5歳からキッズカートレースにデビュー。8歳からコマー60クラスという子供向けの上位クラスにステップアップすると優勝やシリーズチャンピオン争いに絡む速さを見せる。

さらに14歳でJAFジュニアカート選手権に参戦し1勝を挙げると、16歳で中国、フィリピンなどで開催される「Asia Karting Open Championship」に出場、開幕戦北京で優勝するなど活躍しシリーズ2位を獲得した。

その後18歳で現在所属するZAP SPEEDのオーディションに合格すると昨年の筑波シリーズ最終戦でスーパーFJレースに初出場し3位表彰台。今年は前述の通りふたつのシリーズに参戦し、ここまでもてぎ/SUGOシリーズは4戦して1勝と2位2回、筑波/富士シリーズは6戦して2勝と2位2回、3位1回と結果を出している。

 9月9日の土浦は生憎雨が降ったり止んだりのコンデションだったが、朝には大岩田小学校の玄関前に田上選手がドライブする13号車(A'sカンパニー ZAP ED)が置かれ、登校する生徒はいきなり出現したフォーミュラマシンを興味深々で覗き込み。スタッフの案内でコックピットに座らせて貰う子もいた。

 やがて始業時間となり、6年生の80人が「ふれあいルーム」と呼ばれる講義室に集合。まずは田上選手による「スポーツドライバーにたずさわる仕事について」という題で講話を受けた。ここでは田上選手がレースに興味を持ったきっかけや、前述のレースキャリア、レーシングドライバーを目指して、小学校~中学校~高校と進学しながらどんな活動をしてきたかについて、時には停滞したり挫折したり思い悩んだ時期もあったが、諦めずに現在に至り、今後さらに上位のカテゴリーを目指していくために今も努力を続けている事を話した。

 その中で田上選手が生徒に説いたのは「途中つらいことがあったり壁にぶつかることもあったが、あきらめなったから今がある」こと、そんな自分にも後悔している事は多々あり、それは「やらなかった後悔」であるということ。そして「夢を目標にすることは苦しいこともあるが、それを実際に行っている時はとても楽しい」ので、なにか熱中できること、今は夢がなくてもそれを見つけたら、あきらめずに取り組んでほしい、その時一番応援してくれて、困った時に手を差し伸べてくれるのは親であることを忘れないでいてほしい、という内容だった。

登校風景

イラストにサインする田上蒼竜

スーパーFJの説明会

放課後のサイン会

 その後は生徒から田上選手へ一問一答。(抜粋)

  • Q:レースをしている時はどんな気持ちですか?
  • A:相手に負けないように、ミスをしないようにと思っています。
  • Q:レースをしている時に思っている人は誰ですか?
  • A:レース前には親や応援して下さっている方々の事を思ったりするが、レース中は(集中しているので)何も思い出さないです(笑)
  • Q:レースでケガしたことはありますか?
  • A:自分はケガをしたことはないですが、たまに仲間の中には骨を折ったりした人がいます。
  • Q:レース中は冷静でいられるのですか?
  • A:自分の中で課題でもあるのですが、冷静でいられないことも結構あります。どうしても相手と闘っているときとか、お互いに冷静になれなくて当たっちゃったりすることもあります。
  • Q:何歳までレースを続けたいですか?
  • A:できるかぎりつづけたい、できるものなら一生続けていきたいです。
  • Q:あこがれのレーサーはいますか?
  • A:F1ドライバー、アイルトン・セナとかミハエル・シューマッハとか(ここで生徒から「知ってる!」との声)、でも一番好きなのはキミ・ライコネンという選手です。
  • Q:F1ドライバーになるためにいつも心がけていることはありますか?
  • A:一番今自分でやっていることは、F1は時速300キロとかで走って身体にもとても負担がかかるので、それに耐えられるようにトレーニングを積んでいます。体重もタイムに影響するので、食事にも気をつかっています。
  • Q:レースでイライラした時の対処法を教えてください
  • A:それは自分も知りたいです(笑)、レースの前とかは音楽聴いて気持ちをリセットとかします。
  • Q:マシンが壊れたことはありますか?
  • A:壊さないように気をつけてはいるんですが、何回か、大きく壊してしまったことがあります。相手が予想しなかった動きをして当たったりとかした時もあります。

 ここで講演は終了、その後は玄関に置かれたスーパーFJ車両の前に移動して、田上選手によるマシンの解説が行われ、その後は希望する生徒がマシンに座った。コックピットの狭さや着座位置の低さ、フルハーネスのシートベルトなどに驚きつつ、貴重な体験に笑顔があふれた。さらには田上選手のサインを求める子も多数並び、即席のサイン会となった。

 6年生の授業が終わった後も、他の学年の生徒が入れ替わりに立ち替わりに先生の引率でマシンの見学に現れ、夕方の下校時刻まで盛り上がりを見せた。

 田上選手は今月18日の筑波サーキットでのスーパーFJレースに参戦予定。ランキング2位の選手の結果次第ではこの大会でシリーズチャンピオン確定の目がある。

集合写真

Text & Photo: Junichi SEKINE


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