ENEOSスーパー耐久シリーズ2024 Empowered by BRIDGESTONE第2戦「NAPAC富士SUPER TEC 24時間レース」は5月25日~26日、静岡県の富士スピードウェイで24時間の耐久レースを行い、予選2位の1号車中升ROOKIE AMG GT3(中升ROOKIE Racing)がスタートでトップに立つと、終止主導権を握り24時間773周で優勝した。
富士スピードウェイドで行われる24時間スーパー耐久レースも初開催の2018年から数えて7回目。すっかり初夏の風物詩として定着した。
レースは25日午後3時に24時間先のゴールを目指し58台が参加してスタート。夜間に雨が落ちたもの、セーフティーカーが導入されることはなく、フルコースイエローが10回出たものの大きな事故も無く各チーム24時間を走りきった。
決勝スタート時の天候は曇り。半袖だと少し涼しさを感じ、太陽が雲の隙間から時折顔をだすと暑さを感じ、朝夕の寒暖差がある富士らしい気候の中のレースとなった。
5月25日午後3時、ローリングスタートにより24時間の長い戦いが始まった。ポールポジション(PP)の33号車Craft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3(Craft-Bamboo Racing)が、ホールショットを奪いそのままレースを引っ張るかと思ったが、オープニングラップは81号車DAISHIN GT-R GT3(GTNET MotorSports)がトップに浮上。1号車中升ROOKIE AMG GT3(中升ROOKIE Racing)、23号車TKRI松永建設AMG GT3(TKRI)、33号車と続く。
8クラス58台が同時に走行するスーパー耐久はオープニングラップですでにラップダウンが発生するため、81号車はパッシングをしながら慎重な走行をしつつレースを牽引する。
2連覇をかけて挑む1号車は片岡逹也がスタートドライバーとしてステアリングを握り序盤から23号車と2位争いをする。一方、ポールポジションの33号車はペースが上がらないまま周回を重ねていく。
6時35分には日没を迎え、ライトオンでの夜間走行に入っていく。この頃から雨雲レーダーには現れない程度の小雨が降り始め、富士スピードウェイの上空には黒い雲がかかり始める。
開始6時間、午後9時過ぎ、トップ走行の81号車がトラブルで5位まで後退。トップには1号車が浮上した。
深夜の時間帯となった午後11時、トップは1号車のまま。280Lapを迎える頃、アドバンコーナー側から雨が強く降り始め、ウェットコンディションとなった。
明け方には雨もやみ、26日午前9時頃には23号車が一時トップに立つも、メインテナンスタイムで23号車ピットインすると再び1号車がトップに浮上。
終盤には23号車が1号車を追い上げるも午後3時、24時間773周を回って1号車が優勝。昨年に続き2連覇を飾った。2位には24時間初参戦の23号車が、3位には31号車DENSO LEXUS RC F GT3(apr)が入った。
ST-Zクラスは、11台が参加。開始10分を過ぎる頃、予選3位の25号車raffinee日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4(TEAM ZEROONE)とST-Qクラスの92号車GR Supra Racing Concept(GR team SPIRIT)がダンロップコーナーで接触し、25号車はピットイン。また、PPの26号車raffinee日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4(TEAM ZEROONE)もミッショントラブルでリペアエリアに移動し、2台とも長時間の修理を余儀なくされたためTEAM ZEROONEのPPと予選3位の2台が優勝争いから脱落した。
このため明るくなってからトップに浮上した885号車シェイドレーシングGR SUPRA GT4 EVO(SHADE RACING)が激戦を制し、726周を回り優勝した。
なお、25号車と26号車はTEAM ZEROONEのメカニックがチェッカー5分前にコースに送り出し、完走扱いとはならないものの2台ともチェーカーを受けた。
ST-1クラスは、1台が参加。唯一参加の2号車シンティアムアップルKTM(KsフロンティアKTMカーズ)は3時間を過ぎた頃、スロー走行でカレージインして長時間の修復作業を行った。修理が完了すると戦線に復帰し、460周総合50位で優勝した。
ST-2クラスは、8台が参加。序盤、743号車Honda R&D Challenge FL5(Honda R&D Challenge)がレースをリードするが、開始6時間までには13号車ENDLESS GRヤリス(ENDLESS SPORTS)がトップに浮上。その後も後続がトラブルやペナルティーで後退すると、リードを広げて694周を周り、2位以下を7周ちぎって優勝した。
ST-3クラスは、4台が参加。序盤から15号車岡部自動車Z34(OKABEJIDOSHA motorsport)のリードで始まるが、未明に39号車エアバスターWINMAX RC350 TWS(TRACYSPORTS with DELTA)がトップに浮上するとそのまま逃げ切り、698周を回って優勝した。
ST-4クラスは、7台が参加。序盤から884号車シェイドレーシングGR86(SHADE RACING)がレースをリード。深夜に雨が強くなると66号車odula TONE MOTUL ROADSTER RF(OVER DRIVE)と60号車全薬工業GR86(TEAM G/MOTION')がクラッシュしてレースから脱落。これを尻目に、終止主導権を握った884号車が671周を回って優勝した。
ST-5クラスは、序盤から76号車PROGRESS高砂ロードスター(BUZZ PROGRESS Racing)や88号車村上モータースMAZDAロードスター(村上モータース)が入れ替わりでトップに立つ。予選5位から追い上げて来たのが、ディーゼルエンジンの燃費の良さを生かし、ロングスティントが可能な17号車DXLアラゴスタNOPRO☆MAZDA2(TEAM NOPRO)だ。17号車は未明にトップに立つと634周を回り優勝した。17号車はピットストップ12回とトラブル無く完走した車両では最小だった。
テスト車両が参戦するST-Qクラスは8台が参加。序盤の接触でペナルティーを科されたものの92号車が総合11位、715周を回りトップでゴールした。
また今回注目を集めたのが、近藤真彦がメーカーの垣根を越えて16年ぶりとなるドライバーで参戦した32号車ORC ROOKIE GR Corolla H2 concept(ORC ROOKIE Racing)。電気系統のトラブルを抱えながらも走行を続け、332周・総合51位でゴールした。
このレース、午後8時15分から行われた花火大会も名物の一つ。また、無数のヘッドライトやテールライトの光が流れ、キラキラとした照明に照らされたホームストレートやピットビルは幻想的とも言える光景は夜間レースでしか味わえないシーンだ。コースサイドにテントを張って、バーベキューを楽しんだり、それぞれのスタイルで観客はレースを堪能したようだ。
観客は54,700人が来場し、前年対比116%と年々盛り上がりがを見せている。
第3戦は7月28日、舞台を大分県のオートポリスに移し、5時間レースとして開催される。
Text: Kazuhiro NOINEYoshinori OHNISHI
Photo: Kazuhiro NOINE