もてぎ・菅生S-FJ選手権

第2戦もてぎ決勝 トップ2台がまさかの接触、ペナルティにより豊島里空斗が繰り上げ優勝

優勝は豊島里空斗(C.S.I Racing)

 2024年もてぎ・菅生士スーパーFJ選手権シリーズ第2戦決勝は4月28日にモビリティリゾートもてぎで開催され、トップチェッカーを受けた樺木大河(ZAP SPEED 10VED)が8周目の中澤凌(ZAP NAKs 10VED)との接触でフィニッシュタイム10秒追加のペナルティを受けて降着。2位でフィニッシュした豊島里空斗(C.S.I.Racing)が繰り上がりで優勝となった。

 第2戦決勝は本日最終レースとして午後4時45分にフォーメーションラップ開始。日が長くなったとはいえこの時間に太陽はかなり西に傾き、リーダータワーの影が伸びている。28度まで上がった気温も24度まで下がり、風も吹きだして路面温度はかなり下がっている。僅か10周のスプリントレースとはいえ、スタートからフィニシュまでの間に温度はさらに下がると予想され、チームはタイヤの内圧の合わせ込みに悩む。

レースがスタートした

 レースがスタートすると、ポールポジションの豊島、フロントロウに並んだ大川烈弥(群馬トヨペット TEAM RiNoA ED)の2台は共に好スタートで第1コーナーへ飛び込む。セカンドロウの中澤凌(ZAP NAKs 10VED)、丸山陽平(群馬トヨペット TEAM RiNoA)、5番手スタートの樺木まではグリッド通りの順で続いたが、6番手スタートの小田部憲幸(フォースリンク こたべZAP ED)は加速がにぶく、7番手スタートの松原将也(ZAP MARUTOKU 10VED)にポジションを奪われる。この中で勢いがいいのが樺木で、第3コーナーに向けた加速で丸山に並びかけるとアウト側から被せるようにターン、第4コーナー手前で丸山を仕留めて4位にポジションを上げ、さらに前を行く中澤に迫る。追われる中澤も2位大川に狙いをつけて第5コーナーアウト側から仕掛けると2台はサイド・バイ・サイドでファーストアンダーブリッジを通過。そこに樺木選手も参戦。3台がワンパックになってトンネルを抜け出すと中澤が2位にポジションアップ、さらにS字の進入で樺木が大川選手に仕掛けるが、ここは大川も抵抗を見せ並んでS字を通過、そのままV字コーナーまで粘るがここで樺木がインから前に出て3位へ。

トップ争い

 激しい2位争いの後方でも5位の座を競って丸山と松原が並んでダウンヒルストレートを下り90度コーナーへのブレーキングで松山がイン側から丸山を攻略。ビクトリーコーナーで前に出る。

 2位以下の攻防をよそにトップ豊島は0.782秒までリードを築いてオープニングラップを終了。2位中澤から0.474秒差で3位樺木、0.664秒差で4位大川と続き、バトルでややタイムをロスした松原が1.1秒差の5位。その背後には丸山が0.147秒差とテール・ツー・ノーズ状態で2周目に入るとポジションを奪い返す機会をうかがう。そのチャンスが来たのがV字への進入で、丸山は松原のインを突いて並びかけるとそのまま立ち上がりヘアピンでも並走。ダウンヒルストレートから90度コーナーへ、今度はアウト側の丸山が松原を仕留めて5位を奪い返す。

 2周目を終えてトップ豊島と2位中澤の差は0.4秒まで縮まり、さらに大川を振り切った樺木も0.166秒差で背後につけている。この2台の勢いは豊島選手を上回っており、続く3周目、3台が連なってファーストアンダーブリッジを通過。この3台が牽制し合う間に4位大川も追いつき、ヘアピンでは4台がトレイン状態でターン。ダウンヒルストレートを駆け降りると、中澤が仕掛けて豊島のアウト側から90度コーナーへ。2台は並走でセカンドアンダーブリッジを通過、ビクトリーコーナー進入でイン側になる中澤が前に出てトップに立つ。3周目を終えてトップ中澤選手と4位大川選手までが0.63秒以内という接戦だ。

 4周目の第1コーナーで豊島がインから中澤に仕掛けて再びトップ。しかしほぼ横並びで第4コーナーから130Rまで走った中澤はS字へのアプローチで再逆転。さらに樺木も豊島に迫るが、V字コーナーへのブレーキングでタイヤをロックアップさせてここは攻略ならず。4周目を終えて中澤~豊島~樺木~大川のトップ4台は依然として0.9秒の中で連なっていて、誰かが仕掛ければ別の誰かがそのスキを狙うという互いにチャンスをにらんだ状態で5周目を終えてレースは後半戦へ。

 この膠着状態を打破したのはレース4戦目の樺木で、6周目の第5コーナーアウト側からブレーキングで豊島に並びかけるとファーストアンダーブリッジの中で前に出て2位を奪い取る。樺木はこの周2分4秒510とファステストラップも更新してトップ中澤とのギャップを0.5秒削り取り、0.134秒差で7周目に入る。勢いに乗る樺木は第3コーナーでインから中澤をオーバーテイク、トップに出る。しかし中澤も負けじと第5コーナーでアウト側から樺木に被せると再逆転、トップを奪回する。ZAP SPEED同士のトップ争いだ。

 8周目も4台は密集して走行。次なるチャンスを狙ったにらみ合いは縦一列でダウンヒルストレートを下ると90度コーナーへ。樺木は中澤のリヤに張り付くように旋回を始めるが、ここで両車は接触、樺木が中澤のリヤを突くような形になり、中澤はたまらずスピン、樺木と豊島はこれをかわしたが、アウト側に回避しようとした大川は僅かに中澤に接触、こちらもスピンしてしまう。2台はダメージがあるようで、再スタートが切れない。その間にトップ樺木、2位豊島は8周目を終了。3位丸山、4位小田部とそれぞれ順位を上げる。

 ここでセーフティカー(SC)投入が宣言され各車スローダウン。止まったマシンの排除を行いつつ隊列を整えることになるが、残り2周では時間切れ、レースが再開されることはなく、そのままSCランで10周目まで走行し、樺木~豊島~丸山~小田部~松原~柴田泰知(ZAP SPEED RD1V ED)という順でフィニッシュした。

 暫定表彰式が始まる前に樺木と中澤の接触についての審判が行われ、樺木にフィニッシュタイムに10秒加算のペナルティが課せられることになり9位まで降格。優勝は豊島選手、2位丸山選手、3位小田部選手という順位になった。

 樺木は自分のミスであることを認めて、ペナルティも受け入れる覚悟で暫定表彰式を待ち、優勝した豊島、デビュー戦2位の丸山、久々の表彰台の小田部といずれも残念な結末に複雑な表情で壇上に上がったが、それでも最後は勢いよくスパークリングウォーターをかけあった。

 もてぎ・菅生士スーパーFJ選手権シリーズ第3戦は、しばしインターバルをおいて8月11日にモビリティリゾートもてぎで開催予定。開幕2連戦を満足いく結果で終わった者もそうでない者も、それぞれの課題をガレージに持ち帰って、その答えを手に暑いもてぎに戻って来ることになる。

決勝2位は丸山陽平(群馬トヨペットTEAM RiNoA)

決勝3位は小田部憲幸(フォースリンクこたべZAP ED)

決勝4位は松原将也(ZAP MARUTOKU 10V ED)

決勝5位、ジェントルマンクラス優勝は柴田泰知(ZAP SPEED RD10V ED)

決勝6位は室龍太郎(HAMMR 10V)

フィニッシュシーン

表彰式

Text: Junichi SEKINE
Photo: Kazuhiro NOINE
Mizue NOINE
Asako SHIMA


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