2023年全日本スーパーフォーミュラ選手権の合同テストが、12月6日から8日にかけて三重県の鈴鹿サーキットで行われ、総勢32名のドライバーが参加するという近年にはない盛り上がりを見せた。
今シーズンのレギュラードライバーに加えて、国内組からは今季SFライツに参戦した、木村偉織、小出峻(ともにB-Max Racing Team)、イゴール・オオムラ・フラガ(TCS NAKAJIMA RACING)、デビッド・ヴィダーレス(VANTELIN TEAM TOM'S)が参加。
注目の海外からの参加では、FIA-F2チャンピオンのテオ・プルシェール(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)を筆頭に、IMSAチャンピオンのベン・バーニコート(VANTELIN TEAM TOM'S)、WECに参戦したオリバー・ラスムッセン(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、インディNXTシリーズ3位のノーラン・シーゲル(B-Max Racing Team)などが参加した。
そして、合同テストにもかかわらず多くのファンが来場したのには、FIA-F2でシリーズ4位を得て、すでにチーム無限からSF参戦が決まっている岩佐歩夢、また17歳の女性ドライバー・Juju(野田樹潤)(TGM Grand Prix)の存在が大きかったようだ。
テストはやはりレギュラードライバーが速さを見せたが、その中でもシーズンとは異なるKids com Team KCMGから参加し、初日午前のセッションでトップタイムを叩き出した関口雄飛、TGM Grand Prixのクルマで好タイムをマークした松下信治らが目を引いた。間違いなく速さは持っている二人だが、来シーズンの去就が注目される。
岩佐は、慣れ親しんだ鈴鹿のコースということもあるだろうが、最初のセッションから1分37秒台に乗せ、3日目のルーキーディではトップタイムとなる1分36秒387をマークした。F1へステップアップするには、チャンピオン獲得が必須となるであろう岩佐の来季に注目だ。Jujuは、初日こそトップからラップタイムで4.2秒という差をつけられたものの、2日目には2.2秒にまで詰めた。そして速さもさることながら、心配された3日間走り続ける体力についても問題ないことを証明したことには、周囲も大いに驚かされたようだ。
外国勢では、最も期待の大きかったプルシェールは、最初は下位に甘んじていたが、徐々にタイムアップし、2日間の総合結果でレギュラー組に割って入る6位につけ、FIA F2チャンピオンの実力を見せつけた。
他の多くの外国勢は、3日目のルーキーが対象となるセッションで走行したが、ラスムッセンが午前のセッションで1分37秒795、バーニコートは午後のセッション最後に見事なアタックを見せ1分37秒482でセッショントップタイムを記録。いずれもSF初走行ながら適応力の高さを見せた。
SFライツからの参加ドライバーとしては、3日間走行した木村が安定した速さを見せ、2日目午後に1分36秒901までタイムアップ。3日目はロングランテストを行った。秘めたポテンシャルを持つフラガは3日目に1分37秒014をマークして注目された。
2日目まで参加だった小出は、最後のアタック中にシケインで他車に進路を塞がれてしまったため、タイム的には見るべきものはなかったが安定した速さを見せた。ヴィダーレスは、3日目のみだったが、チャンピオンカーを駆って1分37秒台に乗せた。
多くの選手が参加して盛り上がった合同テストだったが、やはり多様な選手が参加することが、レギュラー組に対する刺激にもなり、シリーズの盛り上げには不可欠と感じる。
来シーズンは開幕が3月9〜10日の鈴鹿と早いだけに、年明け早々にはチームの体制も発表されることになるはずだ。そして、2月に予定されているという開幕前の合同テストを経て開幕を迎える。各チームからの発表を待ちながら、例年より短いシーズンオフを楽しむことにしよう。
Text: Shigeru KITAMICHIPhoto: Motorsports Forum