筑波・富士S-FJ選手権

第7戦富士決勝 渡会太一が白崎稜に競り勝ち優勝 激戦の表彰台争いは0.038秒差で小村明生の手に

優勝した渡会太一(FTKレブレーシングガレージ)

 2023年JAF筑波/富士スーパーFJ選手権シリーズ地方選手権第7戦決勝は10月7日(土)に富士スピードウェイ12周で開催され、今シーズンはSUGO、オートポリスとスポット参戦ながら連続でポール・ツー・ウインを飾っている渡会太一(FTKレヴレーシングガレージ)が5周目に白崎稜(TAKE FIRST スタッフリソース)からトップを奪うと白崎の反撃をしのぎ切って優勝を遂げた。

 朝から好天に恵まれた秋の富士スピードウェイ。決勝が行われる午後2時には気温も21度まで上がり絶好のレース日和となった。予選開始早々ドライブシャフトが折れてタイムが出せなかった豊島里空斗(C.S.I RZAPacing ED)は最後尾から出走が認められ、また予選終了間際にミッショントラブルが出て止まった中澤凌(ZAP FOCS 10VED)もインターバルの間に修理を終えて11番グリッドに並び、エントリーした20台すべてがスタートすることとなった。

決勝のスタートシーン

 フォーメーションラップを終えたマシンがグリッドに着くとレッドライトが消えてレーススタート。ポールポジションから発進の渡会の出足が悪く、フロントロウから出た白崎が渡会の右サイドインから前に出るとTGRコーナーに飛び込みホールショットを奪う、さらに3番手スタートの小村明生(Fガレージ with HC GALLERY)もそれに続き渡会は3位にポジションを落とす。後方では4番グリッドからデビューレースをスタートした小田優(AUTOBACSドラゴコルセ)がスタートに失敗、3列目スタートの磐上隼人(アルビ富士吟景GIAED)と板倉慎哉(Racing F)にかわされて6位にドロップ。磐上はさらにTGRコーナーアウト側から大外刈りで渡会に被せて3番手を奪う。さらに7番手スタートの武者利仁(ZAPSPEED RACorsa ED)が小田のインを狙って第2コーナーを並走するがコカ・コーラコーナー進入で小田が前に出て武者を抑える。武者はここで失速して逆に元山泰成(Ecotech Works RacingF)のオーバーテイクを許し8位にドロップ。

 コカ・コーラコーナー出口で磐上がアウト側にはらみ加速が鈍るとすかさず渡会が攻撃、100Rでアウト側から並びかけるとアドバンコーナーでインを奪って3位のポジションを奪い返す。オープニングラップを終えてトップ白崎、0.764秒の差で2位小村、そこから3位渡会~4位磐上~5位板倉~6位小田までが1秒以内のワンパックで通過。8位に落ちた武者にはチームメイトの中澤が襲い掛かり0.006秒と並走でコントロールラインを通過する。

 2周目に入り渡会は小村をロックオン、ストレートエンドで右に左にとプレッシャーをかけるとテール・ツー・ノーズ状態で第1、第2セクターを通過、ダンロップコーナー進入でサイド・バイ・サイドからオーバーテイクに成功、2位の座を奪い取る。このバトルの間に白崎はリードを拡げ1.155秒として2周目終了。渡会に続いて0.363秒で小村、0.111秒で磐上と2位グループを形成する。

 3周目、今度は磐上が小村に襲いかかり、TGRコーナーでインから差して3位に浮上。しかし小村も負けておらず、磐上に並んで第2コーナーを抜けるとインとアウトが入れ替わるコカ・コーラコーナーでポジションを奪い返す。この2台のバトルが渡会に利して、渡会は追い上げに集中。1分51秒476とトップ白崎よりも0.4秒以上速いタイムでその差を0.751秒まで削り取る。

 小村対磐上の3位争いは0.181秒差で4周目に入り、リプレイを見るようにTGRコーナーで磐上がインから前に出ると今度はコカ・コーラコーナーでうまく小村をブロックする。しかし小村は諦めることなくテール・ツー・ノーズ状態でチャンスを窺い、ダンロップコーナー立ち上がりで磐上を捕らえると13コーナーでオーバーテイク。再び3位の座を奪い返すが、最終コーナーを抜けてストレートの加速で磐上が前に出て0.016秒差で再度3位に浮上する。後方ではスタート失敗でポジションを落とした小田が最終パナソニックコーナーで板倉を仕留めて5位に浮上する。

 4周目を終えてトップ白崎に対して渡会は0.3秒間合いを詰めて0.454秒差。勢いは明らかに渡会の方が上でストレートスピードも206km/hの白崎に対して渡会は210km/h。この差を活かして5周目のストレートで白崎のテールにくらいつくと両者は連なって第2セクターを走り抜け、パナソニックコーナーで渡会が前に出る。しかしこの仕掛けは早すぎたようで、ストレートでの加速で白崎が再び前に出てトップでコントロールラインを通過、渡会は0.086秒の差で2位に戻るとスリップストリームを効かせて白崎に並びかけ、TGRコーナーにインから飛び込み今度こそしっかりとオーバーテイク、6周目にしてトップを奪回した。

 トップに出た渡会は白崎をじわじわ引き離し、6周目を終えて0.391秒の差。一方で磐上対小村の3位争いは6周目も続き第1セクターで小村が3位に上がるものの、磐上はスキを狙いづづけ、GR Supraコーナーで逆転する。しかしストレートで小村が前に出て0.050秒差の3位へ戻す。この2台が激しくやりあっている間に渡会と白崎のトップ2台は4秒以上のギャップを築き、一騎打ちの様相を呈してくる。

3位争いは4ワイド

 8周目、磐上はまたしてもTGRコーナーで小村をオーバーテイクするが第3セクターで小村がみたび3位を奪い返す。そしてこのバトルに5位の小田、6位の元山も参戦。4台が0.5秒の中に連なるトレイン状態で9周目に突入する。まずはストレートで磐上が小村の前に出るがTGRコーナーで小村がインから前に、さらに小田も小村に続いて磐上をオーバーテイク、5位に落ちた磐上に今度はアドバンコーナーで元山が襲いかかり、インからノーズをねじ込んで5位をもぎ取る。あっという間に6位に転落したが今日の磐上は諦めない。0.090秒の差で10周目に入るとストレートエンドで元山に並びかけて前に出る。しかしここは元山が譲らずTGRコーナーでポジションを守り切る。

 3位争いに注目が集まっている間に、2位白崎は反撃を開始。9周目に0.758秒まで開いたトップ渡会との差を削り取りにかかり、10周目には0.540秒差として残りは2周。3位グループはトップから9秒以上遅れて、3位小村、0.344秒差で4位小田、0.359秒差で5位元山、0.245秒差で6位磐上と依然として一触即発の状態だ。

 そして11周目に小田が小村を第1セクターでオーバーテイク。今回デビューレースの18歳がベテランを仕留めた。しかしそのまま引き下がる小村ではなく、小田のリヤに張り付いて0.019秒の差でファイナルラップに突入する。元山と磐上も遅れることなく2台を追い、4台がもつれ合うように第3セクターに突入。その間にまずトップ渡会がチェッカードフラッグの下を通過、白崎はファイナルラップに1分51秒109と予選を上回るファステストラップで追ったが0.420秒及ばずの2位に終わった。

 表彰台を争う3位グループのドッグファイトはチェッカードフラッグの前まで続き、最終コーナーからの立ち上がりで小村が小田に並びかける。さらに元山もスリップストリームを活かして加速、3台がなだれ込むようにフィニッシュラインを通過。3位は小村、0.038秒の差で4位元山、0.013秒差で小田という結果になった。

 優勝の渡会はこれでスポット参戦のSUGO、オートポリス、富士の3戦全てで優勝。昨年までは速さともろさが同居している印象があったが、今年は速さと強さを見せつけている。2位白崎は目標通りジャパンリーグのタイトルを獲得し、次なるターゲットは日本一決定戦だ。土壇場で表彰台を獲得した小村もこれで筑波/富士シリーズのチャンピオンが確定した。

 2023年JAF筑波/富士スーパーFJ選手権シリーズ地方選手権最終第8戦は10月29日(日)に筑波サーキットで開催される。1戦を残してシリーズタイトルは決したが、このままでは終われない選手たちがシーズン最後の戦いに挑む。

優勝は渡会太一(FTKレブレーシングガレージ)

決勝2位は白崎稜(TAKE FIRSTスタッフリソース)

決勝3位は小村明生(Fガレージwith HC GALLERY)

決勝4位は元山泰成(ZAP SPEED 10V ED)

決勝5位は小田優(AUTOBACSドラゴコルセ)

決勝6位は磐上隼斗(アルビ富士吟景GIA ED)

表彰式

Text: Junichi SEKINE
Photo: Kazuhiro NOINE
Mizue NOINE


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