JAF F4選手権

第3戦SUGO決勝 ルーキー佐藤樹、佐々木孝太のプレーッシャーをはねのけ初優勝

決勝がスタートした

 JAF-F4地方選手権シリーズ第3戦決勝は5月15日(日)にスポーツランドSUGOで開催され、ポールポジションからスタートした佐藤樹(MARUSAN★ミスト)がホールショットを決めると一度もトップを譲る事なくポール・ツー・ウイン。JAF-F4でのキャリア初優勝を飾った。

 第2戦に続いて開催された第3戦は前日と違って朝から好天に恵まれているが気温は低く、決勝スタート時点で16度。路面コンデションはよいが路面温度は低い。

 第2戦決勝での各自のベストタイムで決定されたスターティンググリッドは、ポールポジションが佐藤、第2戦優勝のハンマー伊澤(弁アルカディア☆ハンマーR疾風)がフロントロウに並び、セカンドロウには前日3位の佐々木孝太(スーパーウインズ&ISP)、同5位の黒沼聖那(ファーストガレージ&Sウインズ)、第3列には4位の金井亮忠(チームNATS・正義・001)、6位の河野靖喜(ハンマーレーシング☆RISING)、という順に16台が並んだ。前日燃料系トラブルでデビュー戦がリタイヤに終わった大川烈弥(HMRハンマーR☆ハヤテ)も修理が完了して最後尾からスタートする。

 午前10時20分フォーメーションラップ開始。各車慎重にタイヤの熱入れを行いグリッドに戻ってくるとレッドライトが消えてスタート。

 ポールシッターの佐藤はクリーンにスタートしたが伊澤はまたもスタートを失敗、エンジンがストールしかけるその脇を佐々木、金井、黒沼が通過してから加速を始め、ここで5番手までドロップ。対照的にスタートダッシュを決めたのが佐々木と金井で、佐々木は佐藤の背後につけて第1コーナーに進入するとインを狙うそぶりでプレッシャーをかけ、金井も隙あらば佐々木に襲いかかろうと狙いながら第2、第3コーナーを通過。

 オープニングラップを終えてトップ佐藤と佐々木の差は0.200秒、佐々木を追う金井はテール・ツー・ノーズ状態から右サイドに出て0.070秒差でコントロールラインを通過するが、オーバーテイクには至らない。スタートミスで5位に落ちた伊澤は黒沼を後半セクションで追いかけ回し、0.145秒差で戻ってくると、続く2周目のセクター1でオーバーテイク、4位に浮上する。後方では6番手スタートだった河野を山口登唯(BLUE MAX・AA・RK)が仕留めて6位に。

 佐藤は2周目のセクター1を最速で走り佐々木との差を0.533秒まで広げるが佐々木も負けじとセクター2、3で佐藤に迫り2周目終了で0.357秒差、3周目もセクター1が速い佐藤とセクター2が速い佐々木という構図は変わらないが、ここで佐藤がセクター3でもベストタイムを出し、コントロールライン上では0.431秒差。じわりとギャップをひろげる。3位金井は佐々木の後方0.3秒で追走しているが、4位に上がった伊澤の追い上げが急で、既に0.419秒差まで迫っている。

 4周目、伊澤はストレートスピードの速さを活かして金井に接近、すると金井はプレッシャーに屈したかバックストレート出口の馬の背コーナーでラインを乱してアウト側に膨らみ、伊澤を前に出す。これで伊澤は3位浮上。

 5周目、佐藤はさらにギャップを開き佐々木に0.708秒差、3位伊澤は1分23秒076とここまでのファステストラップを出して佐々木を0.696秒差に追い上げる。4位に落ちた金井はこのペースについて行けず1.5秒以上の差がついている。5位黒沼はミスがあったかセクター1だけで金井に1.3秒も遅れ、2.818秒の差で5周目を終えた。

 6周目に入ると金井の速さが復活し、1分22秒901のファステストラップ、前日の第2戦予選よりも速いタイムだ。すかさず伊澤が7周目22秒809を出すが続く8周めに金井は22秒384をマーク。伊澤とのギャップを0.992秒まで削り取る。この間トップを走る佐藤は佐々木との差を次第に拡げ、8周目で1.203秒差と安全圏に入りつつある一方で、伊澤は金井とファステストラップを出し合いつつ佐々木の背後に迫り、0.295秒と射程圏内に入っていく。

 10周目、伊澤は佐々木のリヤに張り付きテール・ツー・ノーズ状態になると、続く11周目のメインストレートで佐々木の右サイドから並びかけようとするが、ここは佐々木がしのぐ。バックストレートでも再度伊澤が仕掛けるが前には出られず、さらに第3セクターから最終コーナーにかけては佐々木に分がある様で、伊澤を0.470秒引き離して戻って来た。

 12周目、伊澤を0.933秒差で追走していた金井のペースがセクター3で急に落ち、ギャップが一気に2.470秒まで広がる。13周目のバックストレートの最高速も209.301キロとそれまでより10キロ近く低下して、コントロールラインを通過した時には伊澤との差は5.324秒まで拡大し、左リヤから煙が出ているのも見てとれ、何かしら異常が起きていることを示していた。金井はそのまま走行し14周目に入ったが、第3コーナーでストップ。コース外にマシンを止めた。これで、4位の黒沼以下が順位を上げるが伊澤とは大きく離れてしまっている。

 トップ3台のギャップは終盤に再度接近、佐藤と佐々木の差は12周目の1.078秒から0.921秒→0.657秒と詰まり、伊澤も0.619秒→0.275秒→0.095秒と佐々木をロックオンしてファイナルラップに突入する。しかし佐藤は乱れることなく落ち着いた走りで15周目を走り切り、チェッカードフラッグをトップで受け初優勝をポール・ツー・ウインで飾った。

 佐々木対伊澤のマッチアップはラストまで続き、最終コーナーからの立ち上がりで伊澤が横に並びかけると、10%の上り勾配でドラッグレースを仕掛けるが佐々木の前に出る事はかなわず、0.239秒の差で佐々木が2位フィニッシュ。伊澤はファステストラップを叩き出しての追走も一歩およばず3位となった。

 4位黒沼はトップから17秒以上の差となり、河野が5位、スタート直後は山口に抜かれて7位まで順位を落としたが5周目に6位に戻し、金井のトラブルでさらにポジションを上げた、山口は6位で今シーズン初のひと桁フィニッシュだ。

優勝は佐藤樹(MARUSAN★ミスト)

決勝2位は佐々木孝太(スーパーウインズ&ISP)

決勝3位はハンマー伊澤(弁アルカディア☆ハンマーR疾風)

決勝4位は黒沼聖那(ファーストガレージ&Sウインズ)

決勝5位は河野靖喜(ハンマーレーシング☆RISING)

決勝6位は山口登唯(BLUE MAX・AAA・RK)

 ジェントルマンクラスは優勝が伊澤、2位が河野、3位が総合7位のKAMIKAZE(スーパーウインズ&ISP)という結果になった。

■決勝後のコメント

優勝 5号車・佐藤樹(MARUSAN★ミスト)

優勝した佐藤樹(MARUSAN★ミスト)

 「(佐々木選手のプレッシャーはきつかった?)自分にペース(の速さ)はあるのが分かっていたので、あまり後ろは気にせずに自分の走りに集中すればイケると思っていた。(重いステアリングで腕は大丈夫だった?)大丈夫じゃないです(笑)」

2位 6号車・佐々木孝太(スーパーウインズ&ISP)

決勝2位の佐々木孝太(スーパーウインズ&ISP)

 「1周目は昨日も自分の方が速かったので、そこで行きたかったのだが、行き切れる程ではなかったので、厳しいなという感じだった。中盤は僕のクルマの方がバランスが悪くてちょっと離れてしまって、逆にハンマーさんに追い上げられた。途中からはペースが戻って、佐藤君も疲れている感じが見えたので、ちょっとプレッシャーかけてチャンスがあれば、と思っていたが、逆に僕がハンマーさんにプレッシャーかけられてしまって(笑)。後ろから追われる中での追い上げで大変なレースになったが、楽しめた。昨日は(トップから)すごい離されてしまったが今日は近くでチェッカー受けられたので、クルマも自分もちょっと成長できたので、次はもっとイケるかなと思う」

3位 19号車・ハンマー伊澤(弁アルカディア☆ハンマーR疾風)

決勝3位のハンマー伊澤(弁アルカディア☆ハンマーR疾風)

 「スタートの練習しっかりしないと・・・、ストール気味だった。(その後の追い上げはよかったが?)それだけにスタートの失敗が無ければ、という感じだ。(佐々木選手といいバトルができた?)佐々木選手と一緒にレースが出来たことが、最高だった。またぜひとも出てきていただきたい。(マシンの調子は?)昨日のレースと比べてクルマの動きが変わってしまって、少し乗りにくかった。それでもタイムは徐々に上がっていった。タイヤの皮剥きの仕方とかそういうことも勉強しないといけないと思う。次は絶対スタート決める」

4位 92号車・黒沼聖那(ファーストガレージ&Sウインズ)

決勝4位の黒沼聖那(ファーストガレージ&Sウインズ)

 「三日間通して厳しいレースウィークだった。クルマが全然曲がらなくて、何をどうしてもタイムが1秒くらい離れていた。どうにかしないとトップ争いができないので、見直したい。(去年の速さがまだ見えない?)そんな感じだ、また、セッティングを見直して頑張るしかない」

5位 55号車・河野靖喜(ハンマーレーシング☆RISING)

決勝5位の河野靖喜(ハンマーレーシング☆RISING)

 「スタートでミスして2人くらい抜かれた。(挽回する為に)最後の1人を抜くのに手こずって、抜けた時には前が離れてしまっていた。ただ自分の中ではベストラップが出せて、後半までタイヤを丁寧に使えて、レベルアップして勉強になった。レースの時でないと中々緊張してベストタイムは出せないので(内容は)よかったと思う」

6位 70号車・山口登唯(BLUE MAX・AA・RK)

決勝6位の山口登唯(BLUE MAX・AAA・RK)

 「自分の中では全力で走り切れたつもりだ。ただ最後の方で河野さんに離されていってしまったので、やはりベテランの方はすごいな、と思った。自分もそれに負けないようにこれからも精進していきたい。昨日はスタートで失敗してしまったが、それでも後方のグループの中でいいバトルができた。その経験が今日はスタート直後の接戦の時に活きたと、ポジティブに捉えている」

15位 16号車・大川烈弥(HMRハンマーR☆ハヤテ)

決勝15位の大川烈弥(HMRハンマーR☆ハヤテ)

 「スタートで出遅れてしまって最後尾まで落ちてしまったが、逆にそれならいろいろ試してみようと思った。練習する時間もないので、レースだったがここで経験するしかないと、操作だったりブレーキングだったり試して、その結果スピンもしたり、アンダー出したりといろいろあったが、いい経験が積めたと思う。その経験を今後のレースで活かしていきたい。かなりいい経験ができたので、スーパーFJにも反映できると思う」

16位(完走扱い)72号車・金井亮忠(チームNATS・正義・001)

決勝16位の金井亮忠(チームNATS・正義・001)

 「(止まった原因は?)最終的には左リヤのタイヤがバーストした。途中からすごい振動が出て、このままレース続行していいのか? というレベルだった。追い上げていた時はペースはよかったのだが、ちょっと離れた時(11周目あたりか)から調子がおかしくなって、リタイヤした方がいいかなとも思ったがちょっとペースを下げて、何とか完走だけでもとゴールを目指していたが、完全にダメになってしまった。ただクルマはだいぶよくなって、昨日とは全然違っていて、いいタイムも出せるようになってきて、そういう意味ではいいデータが取れたかなと思う」

 JAF-F4第4戦、第5戦は7月3日に北海道の十勝スピードウェイで開催される。

表彰式

ジェントルマンクラスの表彰式

Text: Junichi SEKINE
Photo: Kazuhiro NOINE
Asako SHIMA


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