FS125東地域

FS125E:全日本カートFS-125に参戦する村松日向子に聞く「将来の夢はスーパーGTドライバー」

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 モータースポーツの特徴の一つとして、男女のクラス分け、カテゴリー分けがないことが挙げられる。

 それはモータースポーツがマシンを使って競う競技の為、体力や筋力といった身体能力だけが勝敗を決する全てではなく、卓越したドライビング技術によってマシンの限界性能を引き出す能力や、マシンを通して得られるインフォメーションを正確に感じ取る能力など、様々なスキルを高次元で融合させることで、男女間における体格や体力といった身体的特徴を超えて対等に戦うことができる競技ということができるだろう。

 とはいえまだまだ女性ドライバーの数は少なく、モータースポーツというと男のスポーツといった印象が強く、女性ドライバーの活躍はあまり知られていない。しかし、国内のモータースポーツを見渡してみれば、全日本F3選手権やFIA-F4選手権などで女性ドライバーの活躍を見ることができ、モータースポーツの登竜門と呼ばれるレーシングカートの世界においても女性ドライバーの活躍は目覚ましく、2014年には全日本カート選手権東地域FS125部門にて、村松日向子が優勝を飾っている。

 村松は全日本カート選手権という国内レーシングカートのトップカテゴリデーで優勝を飾ったことである決意抱き、その目標に向かって懸命に努力をしている。村松にとって大きな意味を持つことになった全日本カート選手権での優勝、その舞台となった本庄サーキット(埼玉県)の2016年大会が5月22日に開催される。思い出の地である本庄大会を前に、今までのレース活動や将来の夢について話を聞いた。

プロフィール

  • FLAX motor sports (フラックスモータースポーツ)
  • No.28 村松 日向子(むらまつ ひなこ)
  • 1998年11月9日生まれ 17歳

レース戦歴

2009ブリヂストンスバルカップカデットクラス シリーズ5位(第4戦2位)
2010APG CUP カデットクラス
2011APG CUP SSクラス シリーズ5位SL全国大会レディースクラス 3位
2012APG CUP SSクラス シリーズ7位(シリーズ最高順位3位)SL全国大会レディースクラス 3位
2013JAF地方カート選手権FS-125クラス シリーズ4位(シリーズ最高順位2位)APG CUP X30クラス シリーズ5位(シリーズ最高順位1位)
2014JAF全日本カート選手権FS-125クラス 第4戦優勝APG CUP X30クラス 第2戦優勝
2015JAF全日本カート選手権FS-125クラス

カートとの出会い、そして魅力について

カートをはじめたきっかけはなんですか?
fs125e-muramatsu-8  私が小学校2年生の時になりますが、たまたま父が私と同じくらいの子供たちがレーシングカートに乗っているのを見まして、私にもカートを乗らせてみたいとカートスクールに連れていってくれたのがきっかけです。その時に乗ったのは電動カートだったのですが、自分と同じくらいの年の子がエンジンの付いたカートをうまく乗りこなしている姿に衝撃をうけました。レーシングスーツを着てヘルメットをかぶる姿がかっこよく、私もカートに乗りたいと思いました。
今年高校3年生ということで、小学校2年生の時にカートと出会ってから人生の半分以上打ち込んできたてきたレーシングカートは村松選手にとってどのような存在ですか?
 カートを初めて10年間、週末はサーキットに行くのが当たりまえの生活を過ごしてきました。普段の生活でも、ふとした時にカートのことを考えてしまいます。そのくらい私にとってかけがえのない存在で、カートのない生活というのは考えられません。そしてカートを始めてから10年間、サーキットへの移動やカートのメンテナンスなど、私のカート活動を支えてきてくれた父に本当に感謝しています。
村松選手にとってかけがえのない存在だというレーシングカート。村松選手を魅了するカートの魅了はなんですか?
 優勝した時の喜びです。スリルやバトルといったカートでしか味わうことのできない感覚も魅力のひとつで、単純にドライブすることが楽しいということもありますが、勝つ喜びは本当に大きく、また勝ちたいという一心でここまで続けてきました。 また、個人競技のように見えるレースですが、実はチームプレイであるということに魅力を感じています。レースでマシンをドライブしてチェッカーを受けるのは私ですが、レースは絶対に一人で勝つことはできませんし、マシンを走らせることすらできません。お父さんやチームの方々の支えがあって初めて勝つことができます。モータースポーツほど団結力を必要とする競技はないと思っています。

勝つための努力

数あるスポーツの中でもモータースポーツは他の競技と異なり、サーキットに行かないと練習ができず、練習時間が限られてしまうと思います。サーキットでの練習走行以外に日常生活において取り組んでいることや意識していることはありますか?
 走行以外にできることとして、動画で必ず自分の走りを振り返り、ライバルに対してどこが劣っているのかを研究しています。あとは普段の生活とカートの時の気持ちの切り替えをできるように心掛けています。しっかりと平日は勉強に専念して、週末は思いっきりカートに集中できる環境を自分で作ることが大切だと考えています。今年私は高校3年生で受験を控えていますので、学校のテストが近いときはどうしても勉強のことが気になってしまいます。レースに集中する為に、普段の生活からやらなければならないことをしっかりやるようにしています。
モータースポーツは性別を超えて対等に戦うことができる、特異な競技ではないかと思いますが、その一方で男性の比率が高く、一般的には男性のスポーツといったイメージがあるか思います。今までのレース活動において女性であることを意識するやハンディキャップを感じるようなことはありましたか?
 ハンディキャップを感じたことも、女性であることを意識することもほとんどありません。サーキットにいるときは男性も女性も関係ないので、そこもレーシングカートの魅力の1つだと思っています。
とはいえ、ハイグリップタイヤを履く全日本選手権FS125クラスのドライビングは肉体的な負荷は大きいはずですが、フィジカル面ではどうですか?
 今は全く問題ありませんが、全日本選手権参戦1年目はきつかったです。マシンをゴールまで走らせることに集中しないといけない程でした。ただ、これから上に上がっていけばいく程、体力や筋力といった肉体的な負荷はきつくなりますので、トレーニングの必要性は感じています。今はまだ少しずつではありますが、今後を見据えて筋力トレーニングをしています。
レースにおける勝敗を分ける”差”はなんだと思いますか?ライバルに対してその差をつける努力や取り組みはありますか?
 気持ちで絶対に負けないことと、どれだけレースまでに準備をしてきたかだと思います。練習でできないことがレースで急にできるようになったり、タイムが速くなることはありませんので、普段の練習走行から常にレースを意識した走り方やセッティングを心掛けています。しっかりと準備をしたうえで、レースウィークに入ったら集中力を保ちつつ、肩に力が入り過ぎないようにして、良いイメージを頭の中で描くようにしています。

将来の夢と実現に向けて

村松選手の将来の夢はなんですか?
GTドライバーです!スーパーGTの舞台でレースがしたいです。
それはいつからですか?きっかけは?
 これしかないと思ったのは高校1年生からです。もちろんそれまでもプロのレーサーへの憧れはありましたが、絶対になるんだという覚悟はできていませんでした。カートに乗ることやレースをすることがなによりも楽しく、どんな形であれ将来は大好きなカートやモータースポーツに携わりたいと考えていました。だけれども全日本で優勝した時に、もっとこの感動を味わいたい!自分で走らなければ物足りない!と自分の夢や目標がはっきりしました。それからはやるべきことも明確になりましたし、どんな困難にも負けない、絶対になるんだ という強い気持ちをもっています。
GTドライバーになるという夢を実現するためにクリアしなければならない課題はなんですか?課題解決のためにどのような取り組みをしていますか?
 カートからステップアップしていかなければなりませんので、今年からSRS-Formula Challengeを受講しています。走り方で指摘されることも多く、まずは自分のドライビングスキルを磨いていかなければなりません。 また、今までマシンのセッティングは父やチームの方に任せていたのですが、自分でマシンに触るようにして車の状況を把握できるように取り組んでいます。
村松選手はどのようなドライバーになりたいですか?
 常に強い気持ちと速さを持って、人をあっと驚かせるような走りのできるドライバーになりたいです。また、ヘルメットを脱いだとき時にも周りが応援したくなるようなそんな魅力あふれる人柄のあるドライバーを目指しています。
最後に2016年シーズンの活動計画と意気込み、応援してくれるファンに向けて一言お願いします。
 今シーズンは全日本カート選手権東地域 FS-125部門に参戦しながら、鈴鹿サーキットレーシングフォーミュラチャレンジ(SRS-Formula Challenge)を受講します。全日本は今年で3年目になりますが、昨年は思うような走りができず悔しい1年となりました。今年は悔いを残さないように、自分の力を最大限に発揮した走りで優勝を目指して頑張りますので応援よろしくお願いします!
Text & Photo: Hideshi KIKUYAMA


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