全日本GT選手権

GT Rd.5 GTインサイドレポート1

'94全日本GT選手権
Rd.5 MINE                                       Date  10/22
10月22~23日
GT インサイド・レポート            No.  1             For FMOTOR4
 好評のシーズンを送ってまいりました'94全日本GT選手権も、いよいよ10月22
~23日の第5戦MINEで最終戦を迎えることとなりました。
 GTアソシエイションでは、全日本GT選手権において子細な生の情報を提供すべ
く、GTインサイドレポートを全日本GT選手権のレース期間中に随時(計20~30
回)発行しています。
 同様のものはドイツのDTMやアメリカのIMSAでも発行されており、プレスサー
ビスの域を越えてレースの面白さを広めるための新しいメディアとして確固たる地位を
築いています。
 日本ではGTアソシエイションが初めて発行に成功いたしました。
 プレスルームにて配布している他、MINEサーキットの場合はピット裏とグランド
スタンド裏の2ケ所でも掲示しております。
2.'94全日本GT選手権のこれまで
 誰もが不安の中でスタートした第1戦富士では、ニューマシン達がトラブルに苦しむ
サバイバルゲームとなった中、ディフェンディング・チャンピオンの影山正彦のカルソ
ニック・スカイラインが一日の長のあるところを見せて優勝しました。
 第2戦ハイランドでは、吸気制限によってパワーが抑えられているにも関わらず、昨
年のグループAのタイムを破ったことにより、新制GTの速さを証明いたしました。
レースは長谷見昌弘のユニシアジェックス・スカイラインがピットインのタイミングで
混戦を抜け出して優勝しました。
 第3戦富士では質量共に役者が出揃った中、近藤真彦の乗るポルシェ962Cが優勝
し、選手権に華やかな話題を提供してくれました。このレースを転機として選手権は大
幅な飛躍を遂げました。
 第4戦SUGOでは、上位4台(フェラーリ、スープラ、ポルシェ、スカイライン)
ががっぷり四つに組んだ熱戦を展開しました。生き残ったADVAN PORSCHE
とZEXELスカイラインはレース史に残る名勝負を展開し、ZEXELスカイライン
がピットストップで些細なトラブルで出遅れた隙にADVAN PORSCHEが逃げ
きって優勝しました。
 シリーズ開幕前には“スカイラインのワンマンショーとなる”、と心配する声もあり
ましたが、全くの取り越し苦労であったことを証明したばかりか、現在では世界一面白
いスポーツカーレースへと急成長を遂げつつあります。
3.全日本GT選手権の特徴
 全日本GT選手権では、レースをより活気ある面白いものとするために、これまでの
日本のレースではみられなかった工夫がなされています。
 1つはエンジンが取り入れる空気の量を制限することによって馬力を同程度にコント
ロールしています。具体的にはGT1クラスが450馬力前後、GT2クラスが330
馬力程度となっています。この吸気制限で規制することによって、どのような形式/大
きさのエンジンであってもほぼ同じ戦闘力に整えることが出来るため、カウンタックの
ような大排気量でノンターボのマシンからスープラのような小排気量のターボエンジン
のマシンまで、バラエティー豊かな参加車を実現し、レースも各車の特徴を生かした
“ダイナミック”なものとなっています。
 もう1つは、それでも特定のマシンやチームのみが勝ち続けてシリーズがマンネリ化
してしまわないように、上位3位内に入賞したマシンにウエイトハンデ(1位30kg、
2位20kg、3位10kg)を科して、常にシリーズを活気あるものとしています。この
ハンデは100kgになるまで加算され、4位以下になると10kgが減量されます。
'94全日本GT選手権
Rd.5 MINE                                       Date  10/22
10月22~23日
GT インサイド・レポート            No.  2             For FMOTOR4
4.2台目のフェラーリF40が登場
 チーム・タイサンは、新たにイタリアの選手権を闘っていたフェラーリF40を手に
入れ、最終戦のMINEに投入することになった。ドライバーもこのマシンをイタリア
で操っていた(スポーツカーレースのベテラン)O.ララウリを招き、従来から参戦し
ているF40と比較を行った上でララウリと太田哲也を良好な方のマシンに乗せてチー
ムタイトルに挑戦する。
5.シリーズチャンピオン争いはMINEの結果次第
 GT1クラスは序盤戦に強さを見せつけた影山正彦のカルソニック・スカイラインが
ドライバー/チーム共にポイントリーダーとなっているが、12ポイント差でベテラン
の長谷見昌弘が執ように食い下がっている。ドライバー・タイトルはこの2人にしぼら
れてきたが、チームタイトルとなると第3戦FUJIで962Cが優勝しているチー
ム タイサン、ダークホースの山路慎一と腕っこきの袖山誠一のRACING  TEA
M中春にもチャンスが出てくる。しかしRACING TEAM中春のチャンスは、影
山正彦が10位に入ることで自動的に消滅してしまう。3台の精鋭をMINEに送り込
むチーム タイサンも、今年最大の激戦となることが確実なMINEで優勝し、かつタ
イサン軍団の総力を上げて影山正彦を7位以下に抑えることが条件となる。
 GT2クラスは、序盤戦でワンサイドゲームを行ったKEGANIポルシェが独走し
てしまうかに見えたが、夏以降大量のウエイトハンデに苦しみ石橋義三の外国屋スカイ
ラインに追い上げられ6ポイント差の接戦となっている。
6.最強のスカイライン軍団健在
 一口にスカイラインと言っても、トップグループだけでも昨年までのグループA仕様
をベースとして開発した“カルソニック”や“コクピット 館林GTR”のようなオリ
ジナルに近い4WD GTR、今年新しい考えに基いて開発された“ZEXEL”や
“ユニシアジェックス”のようなFRスカイライン、改造範囲は狭められる代わり吸気
制限から解放されるNI仕様エンジンの“Johnson”と3種類ある。4WDのGTRは
シリーズ序盤戦で安定した強さを見せつけた。新しいFRスカイラインは熟成が進むに
つれて新世代のスカイラインとしての貫禄が出てきた。SUGOのADVAN POR
SCHEとの一騎討ちも、この最新のテクノロジーあってのこと。N1エンジンのマシ
ンは吸気制限が無いため予選で大幅に馬力を上げられるのが特徴であり、予選ではスカ
イラインの最速タイムをマークするだろう。
 今年のGT人気の根底には、これらのスカイラインの存在があることは言うまでもな
い。
7.“グループCカーの中身を持ったスープラ”に続いてブリッツ・スープラGTも
現在最も気合いが入っているマシンは、SUGOでデビューしていきなり戦力分布図を
塗り換えてくれたSARDスープラである。その中身が最後のプロトタイプ・スポーツ
であるTS010とイーグルMKⅢから受け継いでいるだけでなく、10月に入ってか
らだけでも3日間のテストをMINEで実施している。SARDに続いてブリッツも3
SGエンジン搭載の完全なGTスープラを完成させており、T.クリステンセンのドラ
イブでMINEに挑戦する。
 スープラGTはまだ耐久性が未知数とはいえ、スピードだけは完全にライバル達に匹
敵しているため、ライバル達は新たな脅威の出現を決して忘れてはならない。
8.前回のMINEのスポーツカーレースは最後のJSPCだった。
 MINEサーキットでのスポーツカーレースは、JSPC時代の2年前に続いて2回
目である。前回の'92年の時は、恐竜と言われたグループCカーによるJSPCの最後
のレースとして行われ、そのレースが最初で最後のレースとなったNA3.5リッター
V12を搭載したニッサンNP35が登場した他、トヨタからはNA3.5リッター世
界戦略マシンであるTS010、マツダからはMXR-01が参加して、今回のGT選
手権同様華やかなエントリーで賑わった。雨の中でスタートしたレースは、その年のチ
ャンピオン・マシンである星野一義のニッサンR92CPとトヨタのTS010の闘い
となり、雨の中では熟成されたニッサンR92CPが速かったが、雨が止んでコースが
乾いてくるにしたがってトヨタTS010がNA3.5リッターマシンの実力を発揮
し、優勝した。
'94全日本GT選手権
Rd.5 MINE                                       Date  10/22
10月22~23日
GT インサイド・レポート            No.  3               For FMOTOR4F
9.シリーズポイント
#GT1クラス
  エントラント        ポイント                ドライバー    ポイント
1 ホシノレーシング    60                 1影山正彦  60
2 ハセミ・モータースポーツ48                 2長谷見昌弘 48
3 TEAM TAISAN  44                  3太田哲也  36
4 RACING TEAM 中春        41                  4山路慎一   33
5 TEAM ZEXEL     27                  5袖山誠一   33
6 チーム国光              20                  6アンソニー.レイド 32
7 Johnson NISMO RACING   17                  7鈴木利男   27
8 MOON CRAFT    11                  8鈴木恵一   24
9 ACOM RACING TEAM NOVA   13                  9土屋圭市   20
10 Team Le Mans              6                  10高橋国光   20
11 BLITZ RACING TEAM         4                  11近藤真彦  20
12 KEN WOLF with TERAI ENG.  3                  12飯田章     17
13 ハンターレーシングチーム  2                  13服部尚貴   14
14 マックストライ レーシング   1                  14大井貴之   14
15マウロ.マルティニ  13
16山田英二     8
17影山正美     6
マシン                              ハンデウエイト      18石川朗       6
#1  カルソニック・スカイライン   60kg      19福山英朗    4
#100 ADVAN PORSCHE    30kg        20和田孝夫    3
#50 タイサン スターカード962C 30kg        21池沢さとし  3
#3  ユニシアジェックススカイライン 30kg        22佐野宏明   2
#40 タイサン スターカードF40 20kg        23吉本博雪    2
#2 ZEXELスカイライン     20kg        24大山茂      1
25前原信之    1
 *GT2クラス
 エントラント      ポイント                  ドライバー   ポイント
1 KEGANI RACING     65                    1小幡 栄  65
2 石橋義三        59                    2石橋義三  59
3 スクーデリア     43                    3上原秀郎  50
4 東名スポーツ     18                   4水野文則  44
5 牧口エンジニアリング  15                    5川崎哲哉  35
7 アムゼレーシングチーム13                    6林雅弘    30
8 吉本博雪           12                    7福嶌捻大  28
9  ナックウエスト        10                    8柏原浩一  18
ダンデライオン      4                    9松田秀士  15
                           10牧口規雄  15
                         11青柳裕易  15
                          12早川篤    13
マシン                             ハンデウエイト       13白鳥哲次  13
*29 KORG KEGANI ポルシェ        70kg        14吉本博雪  12
*70 外国屋スカイライン          40kg        15杉山正典  10
*12 FKマッシモERC RX7  30kg        16黒沢琢弥  10
*72  IPF WAKO'S M3   20kg        17水沼克夫    4
                         18須永剛      4
10.SARDスープラは集中テストを実施
 SUGOで衝撃的なデビューを行ったSARDスープラは、仙台から戻るとすぐにレ
ースで発生したデフのオイルラインや冷却のトラブルの対策を行った。そしてトヨタの
東富士のテストコースでチェック走行を行った後、10月6、7、8日の3日を使って
MINEで集中テストを敢行した。トラブルの対策は解決され、レスポンス向上のため
に行った小径のターボチャージャーも威力を発揮したようだ。タイムはレース仕様で1
分28秒8まで詰めたため、実際のレースの予選では1分26秒台に入ることと思われ
る。残念なのはすべての開発が始まったばかりであるため、個々のチェックに時間を取
られてしまいレース距離を走り切る長距離テストを実施出来なかったことである。
11.チャンピオンに一番近い男“影山正彦”コメント
「GTRは十分熟成されているので変える必要はないと思っています。しかし、ウエイ
トハンデがホント辛いんですよ。後でジワジワ効いてくるから、我慢のレースになりま
す。雨が降れば4駆のGTRが有利というけど……、もちろん勝つつもりで走りますけ
ど、勝つのは難しいと思います。美祢はフラットだから、フェラーリに有利かもしれな
い。僕にとっては勝てればもちろんですけど、ひとつでも前でゴールしたい。そしてチ
ャンピオンを取りたい。去年はあんな状況ですから、今年勝ってはじめて認めてもらえ
ると思っています。それに2年続けてバックアップしてくれた、カルソニックをはじめ
としたスポンサー、ホシノレーシングのスタッフのためにもチャンピオンを取らなきゃ
と思ってます。とにかく今年最後のGTレースですから、悔いの残らないようがんばり
ます」


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