Honda NSX-GT 1-2フィニッシュ
TAKATA童夢NSXがポール・トゥ・ウイン
ドライバーズ、チーム部門ともランキングトップに浮上
2006年4月9日(日)・決勝
会場:岡山国際サーキット 天候:予選/曇り 決勝/晴れ 気温:18℃(15:00現在) 決勝レース:82周(303.646km) コースコンディション:決勝/ドライ 観客数:5万6100人(主催者発表)
8日(土)の公式予選は曇り空のもと、ドライコンディションで行われた。午後になると朝から吹きつけていた風が強まり、中国大陸からの黄砂(こうさ)と周辺の山の杉花粉による影響で、サーキット周辺が白くかすむほどであった。スーパーラップ開始時点での気温は17℃、路面温度は25℃と好条件であったが、埃っぽく滑りやすい状態となった。
このスーパーラップには、初日から好調な走りをみせていたHonda NSX-GTの4台すべてが進出し、タイムアタックを行った。この結果、#18道上龍/小暮卓史組(TAKATA童夢NSX)が1分24秒043を記録し、ポールポジションを獲得した。道上選手は実に5年ぶり(ロックタイト 無限 NSXで獲得した2001年JGTC第1戦岡山)のポールポジション獲得となった。2番手には#100セバスチャン・フィリップ/細川慎弥組 (RAYBRIG NSX)が1分24秒074で続き、開幕から2戦連続でHonda NSX-GTがフロントローを独占した。開幕戦で3位表彰台を獲得した#8伊藤大輔/ラルフ・ファーマン組(ARTA NSX)は40kgのハンディウェイトを積みながらも5番手、#32ロイック・デュバル/武藤英紀組(EPSON NSX)は6番手からのスタートとなった。
9日(日)の決勝レースは天候に恵まれ、気温18℃、路面温度28℃、ドライコンディションで計38台(GT500クラス計15台)のマシンがスタートした。
スタート直後の1コーナーで3台のマシンがアクシデントを起こしたが、Honda NSX-GT勢は巻き込まれずに走行。ホールショットはポールポジションスタートの#18 TAKATA童夢NSXの道上選手が奪い、トップ5にNSX-GTが4台も入る上々のスタートを切った。オープニングラップは、トップに#18 TAKATA童夢NSX、2位に#100 RAYBRIG NSXのS.フィリップ選手、4位に#8 ARTA NSXのR.ファーマン選手、5位に#32 EPSON NSXの武藤英紀選手と続いた。
トップグループは4周目にレースのファステストラップとなる1分25秒632を記録した道上選手と2位のフィリップ選手がリードし、3位の#3 イエローハットYMS トミカZに2秒以上の差をつける。9周目、武藤選手が5位からポジションを一つ落とすが、4位のR.ファーマン選手は3位との差を徐々に詰めてプレッシャーを掛け続けていく。
しかし、14周目に4位を走行する#8 ARTA NSXと#36 OPEN INTERFACE TOM’S SC430、#35 BANDAI DIREZZA SC430の3台に対し、スタート時のフライングによるドライブスルー・ペナルティが下され、R.ファーマン選手は10位に後退を余儀なくされる。さらに 17周目、#32 EPSON NSXの武藤選手がマイクナイト・コーナーでスピンし、タイヤバリアに側面をヒットしてリタイアを喫してしまう。
その流れを断ち切るかのように、トップを快走する道上選手は2位のフィリップ選手との差を20周時点で7秒191に広げ、S.フィリップ選手は3 位を6秒986の差をつけてNSX-GTが1-2態勢で大きなリードを保った。一方、ペナルティを受けて順位を落としたR.ファーマン選手は激しい走りで 22周目に8位までばん回した。
37周終了時に#8 ARTA NSXのR.ファーマン選手がピットインしてドライバー交代を行った。続く38周終了時にトップを走行する#18 TAKATA童夢NSXの道上選手と、#100 RAYBRIG NSXのS.フィリップ選手がピットイン、リアタイヤのみの交換と燃料補給を#18 TAKATA童夢NSXが34.1秒、#100 RAYBRIG NSXが31.2秒と、すばやくピット作業を済ませて、小暮卓史選手、と細川慎弥選手がコースに復帰した。今回、NSX-GTはソフトタイヤを選択していたが、車体バランスが良く、タイヤに優しい走りをするNSX-GTの長所が生かされてピット作業でのマージンを築くことができた。
ほぼ全車がドライバー交代を行った46周目時点で、#18 TAKATA童夢NSXの小暮選手が2位の#1 ZENT セルモ SCに17秒425の大差をつけた。#100 RAYBRIG NSXの細川選手は3位に後退したものの、1秒弱の差で2位にプレッシャーを掛け続け、#8 ARTA NSXの伊藤大輔選手は7位まで浮上した。
トップを走行する小暮選手は快調に走行を重ね、65周時点で2位に28秒以上の大差をつける。さらに、66周目に2位を走行していた#1 ZENT セルモ SCにピットイン・ペナルティが下されたため、68周目に細川選手が再び2位に返り咲いた。
そして82周=303.646kmのレースは、スタートから安定したペースでトップを守り抜いた#18 TAKATA童夢NSXが2位に40秒の大差をつけてポール・トゥ・フィニッシュを飾った。続く2位に#100 RAYBRIG NSX が入り、NSX-GTが1-2フィニッシュを飾った。NSX-GTの勝利と1-2フィニッシュは昨年の第5戦もてぎラウンド(優勝:RAYBRIG NSX セバスチャン・フィリップ/ジェレミー・デュフォア組/2位TAKATA童夢NSX 道上龍/小暮卓史組)以来となる。道上選手とTAKATA童夢NSXは、2003年JGTC第5戦富士ラウンド以来の勝利となり、小暮選手は初優勝となった。 #8 ARTA NSXは7位入賞を果たした。
この結果、シリーズ・ポイントランキングのドライバーズ部門で道上 龍選手と小暮選手は38ポイントを獲得し、トップに浮上した。チーム部門でもTeam Honda Racing(#18)が28ポイントを獲得してトップに立っている。
コメント
優勝 #18 TAKATA童夢NSX
■道上龍(Ryo Michigami)選手
「2003 年シーズン以来の優勝をすることができて、今年は流れがきていると感じています。決勝用のセッティングも素晴らしく、スタートさえ上手くいけば、全開で離せるだけ離そうと思っていました。2位に10秒程の差をつけることができましたが、目標としては20秒程引き離して、ピットイン時にタイヤを4本とも交換したいと考えていました。でも、先にピットストップをしたRAYBRIG NSXがリアタイヤのみの交換でしたので、我々も2本しか交換しませんでした。その後は、小暮選手が2位に40秒近い差をつけてくれたので安心して観ていました。今回、岡山ラウンドで初めてHondaファンシートが設置されましたし、応援して下さっているファンの方のためにも優勝したいと思っていました。ありがとうございました」
■小暮卓史(Takashi Kogure)選手
「道上選手からトップでバトンタッチされたときに2位とのマージンが結構あったので楽でした。タイヤの2本交換は過去に経験していたので特にプレッシャーは感じませんでした。最終的に40秒近いマージンを稼ぐことができましたが、39秒の次は40秒にしなくてはというのがドライバーの性分なので、大きな差だとは思いませんでした。チームからは『ペースを落とせ、落とせ』と言われていましたが、僕はペースを落とすと安心してかえって失敗してしまうタイプなので、落としませんでした。クルマの仕上がりは本当に良いので、今後もシリーズチャンピオンをねらって、勝てるときに勝っていきたいと思います」
■白井裕(Hiroshi Shirai)NSX-GTプロジェクト・プロジェクトリーダー
「いつもNSX-GTにご声援いただき、ありがとうございます。おかげさまで、そのご期待に1-2フィニッシュで応えることができました。前回の鈴鹿では非常に悔しい負け方をしたので、ここ岡山に向け万全の準備で挑みました。テストにおいてはレースディスタンスでのシミュレーションを中心に行い、良い結果がでていましたので自信はありましたが、レースで18号車の道上、小暮両選手が完璧と言える仕事をしてくれましたし、100号車のフィリップ、細川両選手もよく頑張ってくれたので、この成績が残せたことは喜ばしい限りです。次戦の富士はストレートが長く、NSX-GTにとって厳しいサーキットですが、このいい流れをつなげていきたいと思っています。次戦もご声援をよろしくお願いします」
Text & Photo: ©HONDA