SUPER GT

SGT:第9戦富士決勝 エプソンNSXが昨年に続いて最終戦を制す。GT300タイトルはトイストーリーMR-Sに!

2007オートバックス・スーパーGT第9戦、記念すべき100戦目となる富士GT300kmは、 予選3番手からスタートした#32エプソンNSX(ロイック・デュバル/ファビオ・カルボーン組)が20周目にトップに立ち、 そのまま逃げ切って今季初優勝を挙げた。
GT300クラスは、予選9番手の#26ユンケルパワータイサンポルシェ(谷口信輝/ドミニク・ファーンバッハー組)が、 圧倒的なストレートスピードを生かして前8台をゴボウ抜きする大活躍で、今季2度目の勝利を力ずくでもぎ取った。
また、2位に#101トイストーリーMR-S(大嶋和也/石浦宏明組)が入り、 #2プリヴェKENZOアセット紫電(高橋一穂/加藤寛規)は3位に終わったため、この2台は89ポイントで並ぶことになり、 優勝回数の差で101号車がシリーズチャンピオンに決まった。
大嶋和也にとっては全日本F3選手権に続く今季2つ目のタイトルだ。
(観客動員数48,800人)

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記念すべき100戦目のGT決勝は午後2時にフォーメーションラップを開始した。
ポールポジションの#12カルソニックZがスタートを制し、トップで周回を重ねるが、ソフトタイヤを選択したのが裏目に出たか、 2位以下を中々引き離すことができない。
その後方からは7周目の1コーナーで#17リアルNSXのインを突いて2位に上がってきた#32エプソンNSXが迫ってくる。
32号車のスタートを担当したデュバルは、18周目に遂に#12ブノワ・トレルイエのテールに張り付き、 19周目の最終コーナー立ち上がりで並びかけると、そのまま20周目の1コーナーまでトレルイエを押さえ込み、見事トップに浮上した。

その後もデュバルは手綱を緩めず、後続をどんどん引き離して30周終わりでピットイン。
カルボーンに交代してからも安定したペースで周回を重ね、全ての車両がピットストップを終えたところで再びトップに立つと、 最後は2位以下に16秒以上の大差をつけて66周を走りぬき、昨年の最終戦富士以来、ちょうど1年ぶりの勝利を手にした。

一方、抜かれたトレルイエの背後にはリアルNSXを駆る金石年弘が徐々に迫ってきた。
22周目のダンロップで激しくパッシングを浴びせる金石。姿勢を乱しながらも懸命に押さえ込むトレルイエ。
2台のバトルはその後も4周にわたって繰り広げられ、26周目の13コーナーで遂に金石がトレルイエを抜き去って2位に浮上する。
しかし、28周終わりでピットストップを終えて星野一樹に交代したカルソニックZは、 36周目までピットストップを引っ張ったリアルNSXのタイヤに熱が入るまでの間に一気に差を詰め、 38周目の1コーナーで遂に金石勝智を攻め落とし、トラブルやアクシデントに苦しんだ2007シーズンをセパン以来の表彰台、 2位で締めくくることとなった。

GT300クラスは、ポールのトイストーリーがホールショットを決め、一気に逃げにかかる一方で、 #2紫電の加藤寛規と#43ガライヤの新田守男が1コーナーからコカコーラコーナーまでサイド・バイ・サイドの激しいバトルを展開、 新田2位、加藤3位で100Rを立ち上がっていく。
さらにその後方からは、スタートで一気に順位を稼いだ#26ポルシェの谷口があっという間に加藤の背後に迫り、 2周目の1コーナーであっさりと加藤のインに飛び込んで3位に浮上。
加藤も一旦はヘアピンで抜き返したものの、再びダンロップで谷口が前に出て、3周目には2位新田の背後を脅かし始める。

ストレートスピードで圧倒的なアドバンテージをもつポルシェ勢の一角を担う26号車に、 1.5キロの直線長を持つ富士スピードウェイはまさにうってつけの舞台だった。

谷口は4周目のホームストレートであっさりガライヤを捉えると、トップを行く#101大嶋との差をも瞬く間に削り取り、 11周目には遂にテール・トゥ・ノーズの状態に持ち込んだ。
大嶋も懸命に抵抗するが、13周目のヘアピンで、後ろから来た2台のGT500に進路を譲ろうとしてブレーキングで大きく膨らんでしまう。 その隙を突いて遂に谷口がトップに立った。
その後もユンケルポルシェは後続をぶっちぎりながら32周終わりでピットイン。 後半を担当したファーンバッハーも磐石の走りで最後までトップを守りきり、第7戦もてぎ以来の今季2勝目を、まさに力ずくでもぎ取った。

一方、4台に権利があったシリーズチャンピオンの行方は、 一旦は5位まで落ちた加藤が#43ガライヤを9周目のヘアピンで抜き去った時点で、 ほぼ#101MR-Sと#2紫電の2台に絞られた格好になった。
26周目の1コーナー立ち上がりで#101大嶋がマルコ・アピチェラの駆る#88ムルシエラゴに抜かれた隙に一気に差を詰めた加藤は、 この周の最終コーナー大嶋のインを突いて3位に。大嶋はホームストレートで挽回を図るが、 続く1コーナーのブレーキング勝負では加藤に軍配が上がった。
大嶋は30周終わりでピットイン。加藤はいつものように規定ぎりぎりの41周まで引っ張った。
既に2台の前を走っていた#88ムルシエラゴは40周目のダンロップでトラブルによりレースを終えている。
そのため、加藤から紫電を引き受けた高橋一穂はユンケルポルシェの後ろ、トイストーリーMR-Sの前のクラス2位でコースに復帰。
冷えたタイヤで紫電を走らせる高橋の後方から、既に熱の入ったタイヤで追い上げてくるMR-Sの石浦宏明。
懸命に抵抗する高橋を、石浦は43週目の1コーナーで抜き去るが、一旦抜かれた高橋も諦めずに石浦を追う。
そして遂に再び石浦に追いつき、59周目の最終コーナー、60周目の1コーナーと、積極果敢にオーバーテイクを試みる。
しかし、60周目のダンロップ進入でインを狙っていった高橋と石浦が接触。これで高橋が立ち上がりで失速してしまい、そのまま石浦2位、 高橋3位でチェッカーを受けることとなった。
これでシリーズポイントはいずれも89点となったが、今季2勝を挙げた大嶋/石浦組が栄冠を手にした。
一方、紫電の2人は、チームタイトルこそ手にしたものの、 ドライバーズタイトルにおいてはこれで2年連続でトップと同ポイントの2位という悔しい結果に終わった。

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Text:Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Keiichiro TAKESHITA



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