4月14日に岡山国際サーキットで行われたGTアソシエイション(GTA)の定例会見では、GT300クラスへのカーボンニュートラル燃料の使用や、タイヤの持ち込み本数の削減など、現在行なっている環境対策の今後の展開や、それに関連するGT500クラスの新たな車両規定の採用についての現状と今後のスケジュール、そして海外戦の復活など、今後のスーパーGTを取り巻く様々な重要課題について坂東正明代表取締役が答えた。要旨は下記の通り。
(2024シーズンに向けた抱負)
フォーミュラEに始まり、F1、秋にはWEC、WRCという4つの世界選手権が行われる中で、自分達としては学べるものを学んで日本のモータースポーツのあり方を考え、オーガナイザーや自動車メーカーとの関係、チームとの関係を踏まえて作り上げていく。
自分達の部分としては、今年からGT300にも合成燃料50%の新しい燃料を使用する。我々はカーボンニュートラル燃料と呼んでいるが、近い将来にE-Fuelと呼べるものを使用したい。これを作る方法、作っていただけるところを検討し、最終的にはこれを国産化していくという考え方は今も変わっていない。
それをやっていくために、今年のレギュレーションでは環境というものを考え、生産から運搬、組み込むタイヤの本数、リサイクルの方法まで見直して、本数を削減していく。岡山大会においては各チームの持ち込みセット数を4セットとしている。かなり大きな変化になるが、これをやりながら、E-Fuelの採用や環境に応じたクルマ作り、GT500クラスの将来像を考える。HEVを入れるのか、キャパシタの方向性など、どういった形で2027年規定を作り上げるのか。そういうものを踏まえる大事な年になる。2027年にテスト走行をしたいとなると、レギュレーションは2026年には決まっていないといけない。そのために2025年にはきちんとした方向を定めないといけないということで、昨日(13日)にもステアリングコミッティーを開催している。
安全性については、GT500について5mmの車高アップを行った。これによりダウンフォースの削減を図ったが、クルマによって影響の出方は様々だ。いかなる状況においても技術陣は勝つためにスピードを取り戻そうとする。追いかけっこになるかもしれないが、いかにカーボンモノコックであっても(アクシデントの際の)痛みとかは出るので、今後もコーナリングスピードの低減に取り組んでいく。
(予選インターバルの変更、リザーブドライバー制度について)
公式テストでの予選シミュレーションの結果から、今の8分間だとタイヤの温まりが不十分だということで、エントラント側から変更を求めてきた。そこでGTE(GTエントラント協会)とコミニュケーションを取りながら、(GTAの)テクニカル部会などと話し合った結果、導き出された結果だ。
リザーブドライバー制度については、先日の富士テストで牧野任祐が体調不良で欠席となった時に、GT300のドライバー(小出峻)を代役に起用した実例がある。それならマニファクチャラーの側でGT300のチームのフォローをきちんとやるべきである、という考えのもとに設定した。
(海外ラウンドの復活について)
スーパーGTは全日本選手権ではなく、インターシリーズであるので、海外戦を再度構築することはやっていかなければならないと考えている。コロナ禍の中でのロジスティクスの問題、実際コストを計算して費用対効果を検証しているが、まだ着地点が見つかっていないというのが現状だ。現時点で可能性があるのはマレーシアだと考えている。今のカレンダーだと6月、7月が空いているので、もし開催するならばそこになると思う。また海外戦が多くなって来れば、ウィンターシリーズを構築するという格好で東南アジアで何戦かを行うということを常に考えている。
可能であれば来シーズンにもマレーシア戦をやりたいと思っているが、どこまで煮詰まるか。JAFのカレンダー申請が6月にあるので、そこまでに目処を立てたい。立たなければ再来年という格好になると思うが、できる限り努力していく。
Text: Kazuhisa SUEHIRO