田上は2002年生まれの20歳、現在は大学に通いながらレーシングドライバーとしてキャリアを積んでいる。キッズカートから始めて2021年筑波シリーズ最終戦でスーパーFJデビューを3位表彰台で飾り、翌2022年にもてぎ/SUGOと筑波/富士の両シリーズにフル参戦。それぞれ勝利を重ねて初年度ながら両シリーズのチャンピオンを獲得し、満を持してのステップアップだ。
チームはデビュー以来彼を支えてきたZAP SPEED、スポンサーとして茨城県神栖市にある「サーキットの狼MUSEUM」はじめ地元茨城県の企業がつき、開幕戦に向けた準備が進められている。
- 車名:「ガレージENZO ZAP F110」(カラーリングは現状の「案」)
- ゼッケン:「14」
- エントラント:ZAP SPEED
- スポンサー:
- サーキットの狼MUSEUM(http://www.ookami-museum.com/)
- BUILD(https://build-inc.net/)
- ENZO(http://www.enzo.co.jp/)
- ローツェライフサイエンス(https://www.rorze-ls.com/)
- アルテック(https://www.artec-k.co.jp/)
- 他
3月27日には富士スピードウェイで合同テストが行われ、田上も愛機との顔合わせを行った。以下は合同デストを控えた3月26日のインタビュー。
――まずは去年の振り返りから、結果としてダブルタイトルを取れたが、どの辺りから勝てそうな感触があったか?
「わりと初期から手応えはあったので、最初からずっとトップしか狙っていなかったのですけれど、1勝(5月5日の筑波富士第2戦)してから、メンタル的にもだいぶ安定してきて、自信がついてきたかな、と思います」
――上位で戦い続けているなかで挫折はなかった?
「珍しく(笑)なにもなかったですね。富士で接触とかありましたけれど、ほぼ思ったようにシーズン進めて来られたなと思います。あんなに自信持って気持ちを楽にレースやって来られたシーズンは初めてかな、と思うので、けっこう自信になりました」
――FIA-F4の初ドライブはどうだった?
「今年の1月に乗せていただいきましたが、結構挙動が掴めなくて苦戦しました。(具体的には?)タイヤが太くなって、スーパーFJと違ってリヤの挙動が重いので、クルマを回すのがなかなかできなくて、クルマを曲げられないか、滑ってしまっておっとっと、となるかのどちらかなので、リヤのコントロールに苦しみました。(車体の大きさとか重さは?)高速コーナーでなんか(重さを)感じるなっていうのはありましたけれど、スピード感で言うと、スーパーFJとそんなに変わらない感じです。どちらかと言えばクルマを曲げる方が問題で、そこさえクリアできれば、戦えるかな、とは思います」
――今年はFIA-F4一本で行く?
「今の時点ではその予定ですが、他にもチャンスがあれば。その為にもいい成績を出して認められないと、とは思います」
――今シーズンの目標は?
「まだ(今年のマシンに)乗っていないので、乗ってみないと分からないよね、という部分はあるのですけれど、でも1年目からどんどん結果を出さないと。まずはちゃんと入賞できるような準備をして行って。今年はZAPに荒川麟選手(2022年度ランク3位)もいるので、大先輩にいろいろ教わりながら成長して行けたらなと思います」
――「サーキットの狼MUSEUM」とはどういうご縁?
「スポンサー様の横のつながりで知り合ったのですけれど、一度お話をしに伺ったらその方もロータスカップなどに出られていた。そこから支援を引き受けてくださって、去年も小さなステッカーを貼らせていただいて、去年の成績を見て今年も、という感じになりました。他のスポンサー様も地元というか近所の企業という感じです」
――自分が出ないレースを見に来るのはどんな気分?
「とっても気楽(笑)ですけれど、出るレースの数が少なくなって、ちょっと寂しいなって気分もありますね」
――将来については何かビジョンは?
「自分も決して若くはないと思うので、なるべく早くステップアップしていかないと、という思いはあります。当面はフォーミュラで上のカテゴリーに上がる事を目指して頑張ります」
東日本のスーパーFJを制した田上選手が全国区のFIA-F4をどう戦うか、注目だ。
Text: Junichi SEKINE