2023年JAF地方選手権スーパーFJ筑波/富士シリーズ第8戦では新人とカムバック組5人がエントリーしてきた。レース前日のスポーツ走行の合間にインタビューを行った。
まずは今回スーパーFJのデビューレースを迎えた3名のドライバー。
15号車「ZAP SPEED 黒川」をドライブするのがカートレース出身の黒川史哉。昨年はFS-125クラスに参戦していた19歳だ。
黒川選手一問一答
――カートレースのキャリアはどのくらい?
「10年ぐらいですね、4輪は今回が初めてになります」
――スーパーFJで練習しての感触は? カートとの違いにとまどいはなかった?
「悪くはないかな、と思います。僕らが乗っていたカートはギア操作がなくて、コーナリング中のギア操作とかが大きく違うので、2速のところを3速に、とか5速に入っちゃった、みたいなミスが最初は多くて、ちょっと苦労したところはありました」
――今はもう(操作に)慣れた?
「さすがに、シフトミスなしで走れるようにはなりました」
――デビュー前の練習はかなり積んだ?
「S-FJに乗り出したのが6月なので4か月ぐらいですね。月に1回程度でした。
――今回のレースの目標は?
「できれば勝ちたいです」
――ウエットの路面は今日が初めて?(スポーツ走行1回目はウエットコンディション)
「まったく初めてです。めちゃくちゃ難しくて、最初スピンが1回で済んでよかったですけれど、最初はもっとクルクル回ると思っていて、今日(のコンデション)がめちゃいい練習になりました」
続いて同じくカートレース出身の83号車「ZAP SPEED 10VED」上野 晴紀は17歳。昨年は全日本カート選手権OKクラスに参戦。
上野選手一問一答
――練習はけっこう積んだ?
「月に3回くらい走って、だんだんタイムも出てくるようになりました、練習は筑波とたまにもてぎでも走っていました」
――カートとフォーミュラの違いには慣れた?
「慣れましたね。クルマの動かし方とかけっこう違うので、そこに最初は苦戦しました」
――この後来シーズンとかの参戦については?
「まだ何も決まっていないです。できれば参戦したいと思っています」
――明日のレースの目標は?
「まず予選でなるべく前に出て、スタートもミスらずに行けたらな、と思っています」
――筑波のコースの印象は?
「みんな(タイムに)差がないので、予選が結構大事かなと思っています」
3人目のルーキーは72号車「ELEVレーシング制動屋S2」の紀平 啓佑選手。ELEVレーシングといえば9月の筑波でSIMレース出身の角間が優勝を飾ったが紀平も同じくSIMレースの経験者。
紀平選手一問一答
――SIMレース出身だと聞いているが?「去年まではeスポーツの事業をやっていまして、大会やったりとかいろんな人たちを巻き込んでレースもやっていたのですけれど。僕自身もモータースポーツやりたくて事業を始めたし、モータースポーツによって人生変えられたので、そういったところの恩返しみあって、自分が選手として出てみないとまずいかな(笑)と思ったので、それがきっかけで今回参戦しました」
――練習はけっこう積んだ?
「けっこうしましたね(笑)。去年の12月に話が決まって、それ(出場)に向けて準備とかしていたのですけれど。クラッシュもしましたし、いろんなクルマでやってきたのですけれど。今日乗ってチームで一丸となって。1年間僕も(チームの)サポートという形で、学校の同級生とかで集まってやっているところがあるので、チーム育成を含めて、強いチームになったかな、と思うので、その集大成として頑張れればな、と思います」
――シミュレータとの違いはどう?
「ひとつ言えるとすれば情報量の多さは圧倒的に実車の方が多いかななと思います。後はコンディションの違いといったところが、SIMでもあるのですけれど(実車は)全然違ったというか、いろいろあったりするところがまた面白いと思います」
――チームとしては前回角間選手が優勝して勢いに乗っている?
「おかげさまで、僕が(角間選手に)「チームがやばいから助けて」と言って来てもらって。あと学生フォーミュラの出身者がメーカーとかの各分野に居ながら来て手伝ってくれているのですけれど、そういう青春を思い出すというのもあるし、チームとして優勝するっていうところがものすごくプラスに働いているので、そういう部分をうまく使いながら僕もレースキャリアをやって行きたいな、と思いますし、角間君の新しい門出として僕らのチームが最後まで支えられればな、と思います」
――明日の目標は?
「ワン・ツーと行けたらいいなと思いますけど、現実は厳しいってのはさっきのウエット(コンディション)でよく分かりましたので。まず僕自身が楽しむ事、ウチの会社の面々もベンチャー企業でクルマの事業をやっていて、(明日は)社長以下来てくれるというので、伝説的なレースにしたいなと思います」
ルーキーに続くのは奇しくも長いブランクの末に復帰という似た経緯を持つ2人。
まず5号車「ティーフラップウィンズ」の池田悠亮。池田は2009年に筑波のS-FJに出場、また2011年にはJAF-F4(今年からFormulaーBeat)にも参戦の実績がある。
池田選手一問一答
――スーパーFJに復帰の経緯は?
「資金的な問題もあってレースを続けるのが難しくて。そこからいろいろ仕事とか変わって、またちょっとやれる環境ができたので、チャレンジしたいなと思って(エントリーを)しました」
――スーパーFJのドライブが14年ぶり?
「1年ぐらいちょこちょこ練習を重ねて今日(レースウィーク)を迎えました」
――久しぶりのレーシングドライブの感触は?
「まだ昔の感覚は戻っていないのですけれども、運転できること自体がすごくうれしくて、その喜びを噛みしめながら走っています」
――今日1本目のレインコンディションは?
「この1年間の中で雨の練習なかったので、それこそ10年何年ぶりの雨の練習だったので、なかなか対応し切れていないのですけれど(クルマを)壊さないように(笑)」
そしてもう一人の復活組、17号車「FER・D-BONDS」の飯田有希は2013年に鈴鹿のS-FJとJAF-F4に出場の実績がある。
飯田選手一問一答
――スーパーFJに復帰の経緯は?
「来年国際ライセンスが必要なレースの話があって、そのクルマに乗りたいなというのがあってライセンス取得の為に今回出場です。体力もきついし自分の走りも遅すぎるし(笑)つらいですけど、できるだけ走りたいな、と」
――レースドライブが10年ぶり?
「10年ぶり、まったく走っていなかったので、もう身体中筋肉痛で痛いです(笑)」
――今日1本目のレインコンディションは?
「すごいいい練習になりますね。やっぱり10年ぶりなんで、アクセルとかブレーキとか(操作が)全部雑で、自分でもなんでこんなに操作できないのだろう?って思っていたのですけれど、今雨で走って、やっぱり微調整をこうやってやらなきゃなっていうのを 久しぶりに感覚をちょっとでも思い出せるかなという感じです」
かたやデビューレース、こなた長いブランクの末の復帰と経緯は対照的だが、それぞれの目的や目標を持って明日のレースに挑む彼らに期待したい。
Text: Junichi SEKINEPhoto: Asako SHIMA