もてぎ・菅生S-FJ選手権

第3戦SUGO決勝 ポールスタートの15歳豊島里空斗、スタートでトップを明け渡すも逆転でデビューウイン

優勝は豊島里空斗(C.S.I Racing ED)

 2023年スーパーFJもてぎ・菅生シリーズ第3戦決勝は5月13日(土)にスポーツランドSUGO開催され、1周減算の11周で行われたレースでポールスタートの豊島里空斗(「C.S.I.Racing ED)がスタートで順位を落とすもリカバリに成功、トップを奪い返すと2位を走る内田涼風(群馬トヨペット RiNoA ED)のプレッシャーを最後まで跳ねのけて優勝。僅か15歳でデビューのレースで優勝を飾った。

 朝からすっきりとは晴れないスポーツランドSUGO。気温は午前の予選よりやや上昇した18度で、時折吹く風はつめたく、5月10日の全日本ロードレース選手権第3戦の公開テストでのアクシデントで亡くなった岩﨑選手を悼む半旗を揺らしている。

 定刻の午後3時25分に13台がコースイン。予選でエンジンの不調があり、ピットインを繰り返していた開幕2連勝の池田拓馬(TAKE with Wins AMEROID)は、インターバルの間に不調の原因を突き止めるべく懸命に作業を行っていたが原因究明には至らず。怪しいと思われる箇所は対処を行ったが後は走ってみないと判らない、とやや渋い顔、このレースではポイントランキング2位につけている磐上隼人(アルビ富士吟景GIAED)が目の前の8番グリッドにいるので、とにかく磐上より前でフィニッシュする事を目標に走ると語った。

 午後3時45分フォーメーションラップ開始。本大会では第3戦、第4戦で2セットのドライタイヤが使用可能というルールで、明日の第4戦には降雨が予想されている事から予選に続いて2セット目のニュータイヤをここで投入するマシンも見うけられた。各車タイヤをウオームアップしながらスターティンググリッドに戻ってくるが、最終コーナーからメインストレートへと駆け上がる登り区間で、なんと池田がストップ。駆動力を失ったマシンがずるずると坂を後退しつつ、アウト側のグリーンに車体半分乗り入れたところで停止してしまう。池田によるとドライブシャフトが折れたとの事で、散々な第3戦となってしまった。

 これでスタートはいったん中止。池田を除きグリッドについた12台はエクストラフォーメーションラップを行うと宣言されて、再びフォーメーションラップに出る。これで12周が予定されていたレースは1周減算、11周で戦われることになる。エクストラフォーメーションラップの間に池田のマシンは移動され、9番グリッドを空けたままで12台が戻るとレッドライト消灯。レースがスタートした。

 ポールシッターの豊島は無難なスタートだったが、そこからの加速がややにぶく、逆に抜群のスタートを見せたのが2番手スタートの内田と、5番手スタートの村田将揮(商工冷熱ZAPSPEED ED)で、内田はホールショットを奪い第1コーナー進入でトップに立ち、豊島は2位にポジションを落としてターンインするが3位につけた村田が第2コーナーでインを突いて前に立つ。後方ではこちらも内田と村田に出し抜かれたた2番手スタートの椎橋祐介(FG&SWNMSPKKS2)が第2コーナー出口でアウト側にオーバーラン、グリーンを走行してからコースに戻り、6位まで順位を落としてしまう。

レースはセーフティーカーが導入された

 ここでセーフティカー(SC)の投入が通告されて第4コーナー手前でSCが先導に立ち、SCランとなる。この時点での順位はトップ内田、以下村田~豊島~池内比悠(群馬トヨペットTeam RiNoA ED)~熱田行雲(ZAP10VED)~椎橋という序列。

 2周目終了時点でSCはコースを外れ、3周目からレースは再開。内田は馬の背あたりからリスタートに向けて隊列をコントロールし始めて、最終コーナー手前から加速に入るが、村田~豊島~池内もこれに追随、密集した陣形でコントロールラインを通過して行く。その後方では椎橋が熱田を第1コーナーで仕留めて5位浮上。

 3位にポジションを落とした豊島は逆襲を開始。最終コーナーで村田との車間を詰めると登り勾配のストレートでスリップから抜け出して右サイドに出て、そのまま加速して村田の0.028秒前でコントロールラインを通過、2位に順位を上げてトップを行く内田の追撃態勢に入る。

 4周目、2位豊島から村田~池内までがグループを形成して走行するが、3位に落ちた村田は4位池内からのプレッシャーにさらされ、防戦に追われている間に次第に豊島が離れていく。4周目終了時点でトップ内田と2位豊島は0.823秒の差。村田はそこから約1秒遅れで池内とは0.052秒とテール・ツー・ノーズ状態になると5周目の第1コーナー、アウト側からブレーキング勝負を挑んだ池内がオーバーテイクに成功。これで3位池内、4位村田。村田は馬の背からSPインにかけて池内を攻め立てるが池内はラインを乱さず3位を守る。このバトルに椎橋も参戦、5周目終了では池内~村田~椎橋が0.479秒以内のワンパックになると椎橋はさっそく村田に第1コーナー進入で勝負を挑み、イン側にノーズをねじ込むが村田が抑えこんで第2コーナーを通過。逆にインになる第3コーナーで村田が再度前に出て、これで行き場がなくなった椎橋が失速、村田の直後につけていた熱田に5位のポジションを奪われてしまう。

 2位豊島は4周目に0.823秒あった内田とのギャップを5周目0.548秒、6周目には0.235秒と着実に削り取り続けると迎えた7周目のバックストレッチで内田をロックオン、最終コーナーからの立ち上がりで右サイドに出ると加速競争でコントロールラインまでに前に出てついに首位を奪還、トップに立つ。内田は逆転のチャンスを探すが豊島はスキを見せない。しかし突き放すまでのスピード差はなく、8周目を終えても0.425秒しか離れない。この2台が逃げを打っている状態で3位池内は追いつけず、8周目1.724秒、9周目1.998秒と引き離されていく。村田~熱田~椎橋の4位グループは依然接戦。

 10周目に豊島はこのレースのファステストラップとなる1分28秒821をマーク、ここで勝負あったと見たか内田も最後はプッシュせず11周目を終了しチェッカードフラッグ。豊島が0.905秒の差でデビューウインを飾った。

 ポディウムに戻って来た豊島は、彼のレースをサポートする父貴大と握手。ヘルメットを脱ぐと落ち着いたレースぶりとは打って変わって、まだあどけないとも言える15歳の素顔を見せた。

決勝2位は内田涼風(群馬トヨペットRiNoA ED)

決勝3位は池内比悠(群馬トヨペットTeam RiNoA ED)

決勝4位は村田将輝(湘工冷熱ZAP SPEED KK-SII)

決勝5位は熱田行雲(ZAP 10V ED)

ジェントルマンクラス優勝は安藤弘人(ZAP SPEED 10V ED)

 2名が参戦したジェントルマンクラスでは、総合9位に食い込んだ安藤弘人(ZAPSPEED10VED)がクラス優勝、総合12位の柴田泰知(ZAP SPEED RD10V ED)が同2位となった。

 2023年スーパーFJもてぎ・菅生シリーズ第4戦は翌日の5月14日(日)にここSUGOで行われる。鮮烈なレースデビューを飾った豊島が若さと勢いで連勝するか。そうはさせじと誰かが巻き返すか? 判っているのはスターティンググリッドで豊島がポールポジションである上に、なんと新品のドライタイヤを温存してあるということだ。

表彰式

Text: Junichi SEKINE
Photo: Kazuhiro NOINE


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