S-FJ日本一決定戦

日本一決定戦富士決勝 ファイナルラップの攻防を制した清水啓伸が歓喜の優勝

優勝は清水啓伸(Drago CORSE)

 2022年スーパーFJ日本一決定戦決勝は富士スピードウェイにて12月11日(日)12周で開催され、3番グリッドからスタートの清水啓伸(Drago CORSE)が、岡本大地(FTK・レヴレーシングガレージ)、森山冬星(DIXCEL/ROYAL/MYST)との三つ巴のバトルを勝ち抜き優勝。見守る道上龍代表と共に優勝を分かち合った。

 スーパーFJ日本一決定戦はA、Bグループごとの予選、第1レグを経てついにファイナル。前日同様冬晴れの富士スピードウェイは、気温8度。陽射しは暖かいが風はつめたい。

 本大会では2セットのタイヤが使用できるので、全車がニュータイヤをここで使用する。

 前日の第1レグ終了後も各チーム、マシンの整備やセットアップに精を出し、またこの朝も、ぎりぎりまで調整を続けるチームがいた。B組の第1レグ、最後の直線でトップを失った森山は、フロントの車高を上げてトップスピードを稼ぐか、逆にコーナーの安定性を取るか、1時間前でもまだ結論が出ていなかった。

 また、前日の予選開始早々に駆動系トラブルでマシンを止めた板野貴毅(Rn-sports森井板金工業KKS2)は、第1レグ終了後に他チームからスペアパーツの提供を受けて換装作業を行い、最後尾から出走にこぎつけた。

 午前9時55分、41台のマシンがコースインするが、26番グリッドの入江裕樹(スラッシュ☆タツミレーシング)はピットに戻ってしまう。トラブルの模様で結局スタートできなかった。

12周の決勝がスタートした

 午前10時10分フォーメーションラップ開始、ポールポジションの岡本を先頭に各車タイヤを暖めつつグリッドに戻り、レッドライトが消灯しS-FJ今年最後のレースがスタート。

 3番グリッドからスタートの清水、4番グリッドの森山の出足がよく、森山は3番手スタートの清水を上回る加速で前に出ると、TGRコーナー入口で2番手スタートの居附明利(SAccess Racing Es)に襲いかかり、アウト側から並びかけてターンイン、並走で第2コーナーに入りインサイドに切れ込んで2位に上がる。後方では5番手スタートの田上蒼竜(A'sカンパニーZAP ED)が100R進入で4位清水のインにノーズをねじ込むがここは清水が抑える。田上はなおも食い下がり、ダンロップコーナーでインを奪うとブレーキングで清水と居附をまとめてパス、一気に3位へあがる。清水もストレートで居附をかわし4位に浮上。

 トップ岡本は2位以下の攻防に乗じてギャップをひろげ、1.390秒の差をつけて1周目のコントロールラインを通過。2位森山と3位田上も0.984秒差、以下清水~居附がテール・ツー・ノーズ状態で続き、6位藤原大暉(ACELINESレヴレーシング)が続いている。後方では11番手スタートの小川涼介(M2 KK-SII)が2台をかわして9位に進出している。

 2周目も岡本~森山~田上のギャップはほぼ変わらず、田上の背後に清水が接近、ストレートで並びかけて0.058秒の差でコントロールラインを通過するとTGRコーナーでオーバーテイク、3位が入れ替わる。6位には藤原をかわした八巻渉(中日本自動車短期大学KK-SII)が浮上。3位がやりあっている間に森山は岡本追撃を開始、3周目終了時点で0.969秒と差を詰め始める。

 4周目、森山はさらにギャップを削り取り0.579秒に接近、岡本は最高速が206.1キロ/h、対する森山は211.8キロ/hをマークしており岡本はいかにも分が悪い。3位に上がった清水のペースもよく、ここまでのファステストラップを出して森山の0.647秒後方に近づく。田上は置いて行かれた格好で、逆に5位居附が0.47秒と迫ってきている。6位には藤原が八巻を逆転してポジションを戻し、さらに小川を挟んだ9位に、18番手スタートだった稲葉摩人(ZAP SPEED 10V ED)がジャンプアップしてきている。

 5周目、森山はダンロップコーナー手前で岡本にぐっと接近し、テール・ツー・ノーズ状態で第3セクターを通過。清水も追いつき3台が連なってコントロールライン上では0.118秒、0.444秒の差で6周目突入。TGRコーナーでは3ワイドになってブレーキング勝負となるが、ここは岡本がトップ座を守り切り、清水は森山を仕留めて2位に上がる。後方では4位田上に0.295秒と迫っていた居附がセクター1でオーバーテイク、田上は5位に後退と苦しい戦いが続く。対照的に勢いがいいのがチームメイトの稲葉でこの周も前を行く八巻をオーバーテイク、7位にポジションアップ。

岡本大地と清水啓伸の争い

 7周目、清水は岡本との間合いをセクター1で0.5秒詰めて背後につけ、コカ・コーラコーナーでオーバーテイク、ついにトップに立つ。しかし岡本も諦めずダンロップの入り口で首位を奪い返す。両者はもつれあうようにストレートに戻ってくると並んでコントロールラインを通過、0.001秒の差で岡本のノーズが前だが、加速する清水が前に出て8周目のTGRコーナーへと入っていく。森山も0.393秒差で虎視眈々と続く。

 0.121秒の差で9周目に入ったトップ2台は、今度は岡本がTGRコーナーで仕掛けるがここは清水が抑える。しかし続くコカ・コーラコーナーで岡本がトップ奪還に成功、森山もこのチャンスを逃さず清水を仕留めて2位へ。コーナーひとつで3位に落ちた清水にさらに居附も迫る。コントロールラインを通過してトップ岡本と2位森山は0.152秒差、清水0.427秒差、居附1.251秒差とトップグループが形成される。

 10周目のTGRコーナーではインから差した森山がトップに立ち、2コーナーで清水も岡本をオーバーテイク、これで岡本3位。森山は清水の攻撃を封じてポジションを守るが、ストレートに戻ってくるとスリップを効かせた清水が0.088秒差に迫り、11周目のTGRコーナーまでに前に出る。しかし森山はクロスラインで切り返し再びトップへ。岡本はワンチャンスを狙ってかバトルに加わらず0.443秒後方につける。

決勝10位は森山冬星(DIXCEL/ROYAL/MYST)

 そしてファイナルラップ突入。コントロールライン通過時点でトップは森山、2位清水は0.415秒の差、3位岡本は0.141秒後方、4位居附も0.687秒のギャップで追う。清水は217.3キロ/hの最高速を活かして森山に迫り、セクター1だけで0.3秒削って森山をロックオン。コカ・コーラコーナーでオーバーテイクに成功する。岡本もこれに続けと森山に攻勢をかけ、両者はダンロップコーナーで勝負に出るも出口で僅かに接触し、森山はスピン。岡本もコースアウトしかけるがなんとかこらえて田上の前、3位でコース復帰。その間に居附が2位に浮上。森山も体勢を立て直してコースに戻るが10位に落ち、これで勝負あり。

 漁夫の利を得た居附が最終セクターで清水を追うが、僅かに届かず0.729秒差で清水がトップチェッカー。12周の激闘を制して日本一の座を得た。

決勝2位は居附明利(SAccess Racing Es)

決勝3位は岡本大地(FTK・レヴレーシングガレージ)

決勝4位は田上蒼竜(A'sカンパニーZIP ED)

決勝5位は藤原大輝(ACE LINESレヴレーシング)

決勝6位は渡会太一(FTK・レヴレーシングガレージシグマ)

 2位は居附、3位は岡本が表彰台に踏みとどまった。田上は最後まで岡本にアタックをしかけたが0.01秒およばずの4位に終わった。以下5位藤原、6位渡会太一(FTKレヴレーシングガレージシグマ)というトップ6になった。

優勝した清水啓伸(Drago CORSE)

 ウイニングランを終えた清水はポディウムの前にマシンを止めて、呼吸を整えるためかひとしきりコックピットで時間を過ごしてから降り立ち顔を覆った。優勝を祝うクルーの中にチーム代表の道上龍を見つけるとがっちりと握手&ハグ。一瞬たりとも気が抜けなかった12周を終えて満面の笑みを見せた。

 7台が参加したジェントルマンクラスは吉田宣弘(EXTREME☆ミスト☆GY)が独走して全体18位クラス優勝、全体29位のクラス2位に夕田大助(LAPS)が入り、0.223秒差で宮本健一(KMTS-RTミストKK-SII)が全体30位クラス3位となった。

表彰式

ジェントルマンクラスの表彰式

 2022年シーズンのスーパーFJレースはこれにてすべて終了。すでに来年に向けた動きを見せているチーム、選手もおり、春には再び熱戦が始まる。

Text: Junichi SEKINE
Photo: Kazuhiro NOINE
Mizue NOINE


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