2015オートバックス スーパーGT第5戦「インターナショナル鈴鹿1000km」の決勝レースが8月30日、三重県の鈴鹿サーキットで行われた。
今回はスタート前に降ってきた雨や、途中2度にわたって導入されたセーフティカーランの影響もあってレースペースがなかなか上がらず、最終的には大会特別規則に則って午後6時25分の段階でチェッカーが振られるという結果になった。
そうした中、予選9番手から着実に順位を上げてきた#36PETRONAS TOM’S RC F(伊藤大輔/ジェームス・ロシター組)がレース中盤からトップに立ち、最後は後続に1分25秒の大差をつけて今季初優勝を飾った。
GT300クラスは予選2番手スタートの#10GAINER TANAX GT-R(アンドレ・クート/千代勝正/富田竜一郎組)がセーフティーカーの導入タイミングなどを味方につけてレース中盤トップに立ち、最後まで#7Studie BMW Z4と熾烈なトップ争いを繰り広げながらも見事逃げ切って今季2勝めを挙げた。
(天候:雨/曇り コース:ウェット/ドライ 観客動員数:予選日26,000人/決勝日34,000人/大会総入場者数60,000人)
決勝レースは午後0時30分にスタート。
スタート前に降った雨のための路面はウェット状態であり、全車がウェットタイヤを装着してグリッドに向かう。
序盤はポールシッターの#1モチュールGT-R、#64エプソンNSX、#15ドラゴモデューロNSX、#46S Road GT-Rらが激しいトップ争いを繰り広げたが、1号車は35周めの2コーナーでコースを飛び出し、64号車はタイヤ選択とコンディションの変化の影響でじりじりと順位を落とし、そして15号車は度重なるペナルティで順位を落とした上、149周めにトラブルでコース上にストップ、46号車もスリックタイヤ投入のタイミングを見誤って1回余計にピットインせざるを得ず、じゅんいをおとしてしまった。
そうした中、トップ争いに浮上したのが#100レイブリックNSXと#36ペトロナスRC Fだった。
土曜の公式練習でミッショントラブルに見舞われて周回数をこなせず、予選Q1ではコースレコードを更新しながらも僅か1,000分の2秒差でQ2に進めなかった36号車だったが、この日はスタートからロシターが次々にライバル達を抜き去り、10周を消化したあたりでトップ集団に追いつくと、その後も安定したペースで100号車や#12カルソニックGT-Rらと抜きつ抜かれつの攻防を展開した.
そして61周めに#100レイブリックNSXと同時に2度めのピットストップを行った際に、彼らがGT300車両に前を塞がれてコース復帰に手間取るのに乗じて100号車の前でコースに復帰した。
するとその直後にスプーン手前で#50SKT EXE SLSがクラッシュしてしまい、コース上にパーツが散乱したため、これを回収するためにセーフティーカーが導入された。これによりまだ2度めのピットストップを終えていないクルマたちとの差が一気に縮まり、68周めに#12カルソニックGT-Rが2度めのピット作業を行ったことで労せずしてトップに繰り上がることになった。
36号車はそこから後続より1~2秒早いペースで周回を重ね、一気に後続を突き放しにかかる。
98周めに行った3度めのピット作業では右リヤタイヤの交換に手間取ってタイムロスし、#100レイブリックNSXとの差は一時的に詰まったものの、その後は再びリードを広げていった。
後方では113周めのシケイン手前で周回遅れに詰まった#100レイブリックNSXを#38ZENT RC Fがアウトから抜き、2位に浮上。
#12カルソニックGT-Rも138周めのヘアピンで100号車のインをつき、3位に上がってきた。
レースは序盤の雨と中盤に入った2度のSCにより例年にないスローペースで進行した。
このため大会特別規則に従って午後6時25分にチェッカーが振られることとなり、36号車が163周を消化したところでレースは終了。
#36ペトロナスRC Fが今季初勝利をものにした。
GT300クラスはポールシッターの#2シンティアム・アップル・ロータスが序盤トップを快走していたが、最初のセーフティーカーが導入されてピットクローズとなったところで2度めのピット作業を行ってしまったために90秒ストップのペナルティを受けてしまい、大きく順位を落としてしまった。
#31トヨタプリウスaprGTもこのセーフティーカー中に嵯峨宏紀がスピンを喫してしまい、ドライビングスルーペナルティを受ける羽目に。
#7Studie BMW Z4もホワイトラインカットでドライビングスルーペナルティ。
こうした上位陣の後退と、セーフティーカーの導入、自身のピットストップのタイミングがうまく噛み合って着実に順位を上げ、トップに立ったのが#10ゲイナーGT-Rだ。
120周めには#7BMWを駆る荒聖治に1コーナーでトップを奪われたが、その直後に行ったピットインで千代勝正がステアリングを握ると、122周めにはピットアウトしてきた#61BRZ、#7BMWを次々に抜き去ってトップを奪い返した。
しかしそこから7号車をドライブするヨルグ・ミューラーが食い下がってきた。
彼らの履くヨコハマタイヤはウォームアップにやや時間のかかる特性だったようで、一時はトップに3秒以上のリードを許すが、タイヤが本来の性能を発揮し始めるとミューラーはペースを上げて千代に追いつき、次第にプレッシャーをかけ始める。
しかし千代も2年ぶりのGT復帰とはいえブランパン耐久シリーズなどでFIA-GT3を知り尽くした選手。
日産GT-RとBMW Z4の長所短所を的確に把握、押えるべきところをきっちり抑えてミューラーに付け入る隙を与えない。
両者の行き詰る攻防は29周に及び、151周でチェッカーを迎えた時でさえその差は1.09秒に過ぎなかった。
これで#10GAINER TANAX GT-Rは第2戦富士に続いて今季2勝めをものにし、ドライバーズランキング(クート)、チームランキングともに2位以下を大きく突き放した。
次戦の舞台は宮城県のスポーツランドSUGO。
近年は真夏に開催されることの多かったSUGO大会だが、今シーズンは初秋の戦いとなる。
9月20日決勝だ。
Photo: Eiji TAKEUCHI
Motorsprots Forum