「日本の友人達の事を今も思い続けています」 フォルカー・バイドラー ノバエンジニアリングのドライバーであったフォルカー・バイドラーが、耳の病気 の為に日本のレース界を去ってから、早くも1年が経ちました。彼の耳鳴りの症状は まだ続いている様ですが、今週来日して富士スピードウェイを訪れた彼のマネージャ ーであるオートウィン・ボドリッチ氏が、彼のドイツでの近況を伝えてくれました。 以下に氏の言葉を借りて、その近況について記したいと思います。 この富士スピードウェイに来て、いかに多くの人々が、フォルカーの事を思い、気 に掛けて下さっていたか知りました。そこで今回、ファン並びに友人の皆様に彼の近 況をお伝えしたいと思います。 当初より、彼の病気の治療は非常に難しいと言われていましたが、ドイツに帰国し て以来、彼は考え得る全ての治療を受けてきました。最近では、1月の末までに6週 間に渡って治療を受けました。精神的なストレスが症状の悪化につながる為、自分自 身をリラックスさせ、症状を軽減させる方法を学び、普通に生活ができる様、努力を 続けてきました。 その甲斐あってか、4月からは、家業を手伝い始め、仕事量、労働時間等はまだ自 分で制限を加えている様ですが、コンピューターを扱うパートを担当し、無事働いて おります。しかし、レースの事を思い出す時等は特に、今の生活に対して疑問を持っ てしまうことがある様です。 最も愛する物の一つであるレースに、身を投じる事ができない現実を受け入れる事 は、彼にとって非常に辛い事ですが、近い将来に再び日本を訪れ、多くの友人の皆様 に再会したいという希望も持っています。しかし今少し、療養の為の時間が必要な様 で、それが実現するのは、もう少し先の事になりそうです。私の来日前には、日本の ファン並びに友人の皆様に対し、くれぐれも宜しくと申しており、全日本F3000 選手権シリーズに参加している全てのドライバー並びにチーム、特にノバエンジニア リングとそのドライバーであるM.マルティニ、H-H.フィレンツェンの好運を祈 っていました。 1993年8月15日 富士スピードウェイにて 提供:ノバエンジニアリング