2024年JAF地方選手権、スーパーFJ筑波/富士シリーズが開幕を迎え、昨年とは大幅に選手が入れ替わった。今回は新人やカムバック組など8名について前日のスポーツ走行の合間にインタビューを行った。
まずは今回スーパーFJのデビューレースを迎えた6名のドライバー。
72号車「ELEVレーシング制動屋S2」をドライブする横田康志朗。前田代表率いるELEVレーシングはエースの91号車角間と、各レースでスポット参戦する選手の2台体制でレースに出場する。横田は普段はメカニックを行っているが、その合間のトレーニングで成果が見られたことでフォーミュラマシンでのレース参戦とあいなった。
――レース参戦は初めて?
「JAF戦が初めてなので、緊張しています。レーシングカートも遊び程度でした。
――練習やってみての感想は?
「だいぶうまくなったなって感じると、もっと速い方がたくさん、上には上がいるんだなっていう感じでいて、心が折れちゃうような時もあるんですけれど。ただ、楽しもうと思っています」
――練習はかなり積んだ?
「8か月ぐらいの間で月に1回とか2か月に1回とかでした。タイムは59秒7とかやっと入れたって感じですね」
――今後の参戦については?
「いまのとこと考えていないですね。ただ今年はELEVさんのところで整備やチームのサポートというかたちで1年間続けて行こうとは思っています。後は今日(練習)と明日(レース)の結果次第で、自分はもっと伸びると思っているので、楽しみながら成長したいです。速い方がたくさんいるので学びながら成長できればと思います」
39号車「F-BrainウインズS2ED」の塚本凛世。2022年には全日本カート選手権に出場していた。
――練習はかなり積んだ?
「今回の為に練習はかなりしました。だいたいいい感じには仕上がってきたので、結果が出せるといいな、という感じです」
――ここまで練習走行での調子は?
「悪くはなかったかなーとは思います」
――カート出身という事でフォーミュラとの違いは苦労しなかった?
「かなり苦労して、車重が重い分コントロールの難しさがより強くなって、そこにかなり苦戦していました」
――本番に向けて自信のほどは?
「(自信は)あるかな(笑)。やれるだけがんばります」
53号車「ファーストガレージ制動屋S2」の石井大雅はSIMレース出身だ。
――もともとはSIMレーサーだった?
「グランツーリスモ中心にやって、その後iRacingとかやっていて、オーディションがあったのでファーストガレージさんを受けた、という感じです。マツ耐っていうマツダ車のレースには出ていましたが、JAF戦のレースは初めてです」
――実車に慣れるのは大変だった?
「けっこう(クルマの)動かし方とかが違ったりとか、そのへんがけっこう難しいなとは思っています」
――その点は克服した?
「半年間練習してきたので、そこはもう自信もってやって行きたいと思っています」
――明日のレースに向けては?
「けっこう強敵ぞろいなので、がむしゃらにという訳ではないですけれど、自分の走りを見せて、優勝めざしてがんばりたいと思います」
52号車「ファーストガレージKK-SⅡ」の津田充輝はカートレース経験者。
――カートレースは何年ぐらいやった?
「中学1年から始めて高校2年まで5年間やっていました。今19歳です」
――練習はかなり積んだ?
「カートの練習は地元のサーキットでやっていたのですけれど、スーパーFJに関しては、1月くらいから本格的に始めて、月2,3回練習していたので、カートよりは練習回数少なくなってしまったです。その中でも全力を出せるようにがんばります」
――カートとフォーミュラの違いは大きい?
「大きく感じます。特に車重が4倍くらいあるので、挙動の変化が自分の感覚とずれていて、そこにけっこう苦しんでいる面もあるので」
――そこはまだ慣れ切っていない
「ただちょっと使いこなせてないところがちょっとある感じです」
――明日の目標は?
「もちろん優勝です」
18号車「HC桶川MRPYTTZAPED」水谷誠はカートはじめモータスポーツ経験がまったくない状態でのレースデビューだ。
――今までレースに経験は?
「何もないです(笑)、初レースになります」
――練習はけっこう積んだ?
「走りましたね。ZAPさんのオーディションの時から2年ぐらい練習して」
――ここまで調子は? 「まだぜんぜん、58秒台に入れていないので、未経験な部分が多いです。そこを経験積んで勉強していきたいなと思います」
――明日の目標は?
「まず完走というのがひとつと、真ん中ぐらい(の順位)に入れればいいなとは思います」
38号車「ZAP SPEED KKS-Ⅱ」畠山退三は主にサーキットトライアルで活躍してきた。
――今回がレースデビュー?
「そうです、タイムアタックは経験あります」
――フォーミュラの練習はどのくらい積んだ?
「1年くらいですね」
――タイムアタックとフォーミュラの違いはどう感じる?
「ヨーを出してどう曲がるかというのがスーパーFJは必要なのですけれど、ハコ車は逆にそういうのはないので、旋回のしかたとかがまったく違いますね」
――筑波自体は慣れたコース?
「1年練習しましたからね。それまではあまり」
――明日の目標は?
「58秒台に入れたいですね、今は59秒2がベストです」
――決勝は18周と長いが大丈夫そう?
「初めてなんでわからないですね(笑)。タイムアタックとは集中のしかたも違うと思うので。レースに出て課題が見えれば成長できるかなと思います」
そして今回がデビューではないが注目の2選手。
55号車「ファーストガレージKK-S2」の酒井翔太は筑波では初レースだが2月の鈴鹿クラブマンレースでデビューし、Formula-BeatとスーパーFJにダブルエントリー。雨の中F-Beでは2位に55秒の大差をつけて優勝と鮮烈なデビューを飾る一方で、同日のスーパーFJではトップから56秒の遅れで13位と真逆のリザルトとなり周囲を驚かせている。
――筑波の印象は?
「普通のコースと違うライン取りだとか、コース独特のラインが今ちょっと苦戦しているところです。練習ではあまりいい結果残せていないのですよ。明日のレースに向けて今日調整できればなと思っています」
――練習はけっこうできた?
「練習行ける時に行っていたので、ちょくちょくは来られていました」
――先月の鈴鹿はF-BeとS-FJで対照的な結果だったが原因は?
「(マシンの)乗り換えだったり、ラインも少し違っていて、タイヤの太さも全然ちがうので、そこで一番苦戦しちゃったかな、と思います」
――カートの経験は?
「2年くらいですね」
――カートからフォーミュラへの乗り換えは苦労しなかった?
「(切り替えは)スムーズだったのかなという感じです。ギアの操作の違和感とかはあったのですけれど、そこさえ慣れれば、後は大丈夫でした」
――明日に向けての抱負は?
「筑波で初めてのレースですけれど、周りのみんなに負けないように、ぶっちぎっての優勝目指して頑張ります」
14号車「ZAP SPEED 10VED」の伊藤駿は2020年の筑波S-FJチャピオン。新型コロナの影響で4戦に縮小されたシリーズの3戦に出て全勝という強さを見せた。今回4シーズンぶりのレース参戦となる。
――4年ぶりのS-FJでのレースで、その間に何かレースはしていた?
「そうですね、公式のレースは出ていなくて、個人的にクルマ乗り回したりKT100(レーシングカート)は乗ったりしていました」
――当時の調子は取り戻せている?
「タイヤがついていればみんな同じなので、時になんの問題もないですから。ただ今年はけっこう速い人が多いらしくて、さすがに自信を持って優勝できるとは思わないですけれど、いいところまで行けたらな、と思います」
――今シーズンはフル参戦の予定?
「そうです。あとはどこかしらスポットで遠征もしたいです」
カートレース、SIMレース、サーキットトライアル、はたまた未経験からのレースデビューなど様々なルートからスターティンググリッドに並ぶ彼らの活躍に期待したい。
Text: Junichi SEKINEPhoto: Asako SHIMA