SUPER GT

SGT:第2戦富士 伊藤大輔/J.ロシター組 LEXUS RC Fが3位表彰台獲得、GT300クラスでは最後までバトルを繰り広げたプリウスが惜しくも4位 (TOYOTA)

 好天に恵まれた富士スピードウェイでSUPER GT第2戦が行われ、伊藤大輔/ジェームス・ロシター組 PETRONAS TOM'S RC F 36号車が3位表彰台を獲得。GT300クラスではTOYOTA PRIUS apr GT 31号車が最後までバトルを繰り広げ観客を沸かせたが、惜しくも4位に終わった。

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3位表彰台を獲得した伊藤大輔(左)とジェームス・ロシター(右)

 5月2日(土)~3日(日)の両日、静岡県駿東郡小山町に位置する富士スピードウェイでSUPER GTの第2戦「FUJI GT 500km RACE」が開催された。

 富士スピードウェイでのSUPER GTは春と夏の2回開催されるが、春の今大会は500kmの長丁場で争われるため、ピットが通常の1回に対し、最低2回義務づけられる。戦略及びチーム力もいつも以上に要求されるタフなレースとなる。

 約1ヶ月前に行われた開幕戦岡山では、めまぐるしく変わる天候に翻弄される、荒れたレースの中、アンドレア・カルダレッリ/平川亮組KeePer TOM'S RC F 37号車が勝利。立川祐路/石浦宏明組ZENT CERUMO RC F 38号車が3位表彰台という好成績を挙げた。

 2年目を迎えたLEXUS RC Fは、昨年全8戦中最多の4勝を挙げるも、LEXUS GAZOO Racingにとってのホームコースである富士では未勝利。3月末に富士で行われたメーカー合同テストでは、LEXUS RC F勢がトップ3を占めるなど速さを見せており、念願の「ホーム」初勝利を目指し、LEXUS GAZOO Racingは一丸となって挑んだ。

◆予選◆

 好天に見舞われた2日(土)、予選日にもかかわらず富士スピードウェイには3万人を超えるモータースポーツファンが集まり、SUPER GTの迫力ある予選アタックに酔いしれた。

 気温24度、路面温度38度と、初夏を思わせるコンディションの下、午後2時15分より、15分ずつのQ1が実施された。GT500クラスのQ1は、先に行われたGT300クラスでの赤旗中断の影響で、やや遅れた午後2時41分に開始。

 セッションが6分ほどを過ぎたところで関口雄飛のWedsSport ADVAN RC F 19号車がコースイン。その後、他の車両も続々とアタックのためコースに向かった。

 各車充分にタイヤを温め、残り4分を切ったあたりからアタック開始。36号車の伊藤が、従来のコースレコードを上回るタイムをマークし、タイムシートのトップに躍り出た。その後、ライバルにかわされたものの36号車は3番手。午前中の公式練習走行で苦戦した38号車は、その後の見直しで改善され、石浦が5番手タイム。平手晃平のDENSO KOBELCO SARD RC F 39号車が7番手でQ2への進出を決めた。

 このセッション、3番手から最後尾15番手まで1秒以内という僅差の戦いとなり、国本雄資がアタックしたENEOS SUSTINA RC F 6号車は、8番手に0.13秒及ばず10番手。開幕戦で勝利を挙げた37号車は、カルダレッリがアタックしたが、40kgというウェイトハンデが響き、14番手。関口の19号車は、決勝を見据えてのタイヤ選択が裏目に出てタイムが伸ばせず、15番手で決勝グリッドが決定した。

 上位8台が進出したQ2は、セッションスタートから5分ほどが経過したところで各車コースイン。2周にわたり念入りにタイヤを温め、アタックが開始された。

 38号車の立川、36号車のロシターは共にコースレコードを上回る好タイムをマーク。立川に0.023秒届かなかったロシターは、続く周回で更なるタイムアップを狙ったが、スローダウンしていた車両に阻まれ叶わず。その後、ライバルにかわされたものの、38号車と36号車は3番手、4番手となり、LEXUS RC Fは「ホーム」富士での決勝レースを、2列目に並んでスタートを切ることとなった。

 注目の元F1ドライバー、ヘイッキ・コバライネンの39号車は7番手タイム。この予選Q2では、上位6台が従来のコースレコードを更新した。

 GT300クラスでは、TOYOTA PRIUS apr GT 31号車が朝の公式練習走行でトラブルに見舞われ、あまり走行出来なかったこともあり、Q1アタックを担当した中山雄一が、セッション序盤から積極的に周回を重ねていった。中山雄一は、残り6分ほどになったところで、長いストレートで上手く他車のスリップストリームも利用し、これまでのコースレコードタイムを上回るトップタイムをマーク。その後、コース内停止車両による赤旗中断などもあったが、最後までこのタイムを上回るものは出ず、31号車は2番手に1秒以上の大差をつけてトップでのQ2進出を決めた。

 一方、今季より参戦、デビュー2戦目となるSYNTIUM LMcorsa RC F GT3 60号車は、トラブルに苦しみ25番手となった。  Q2では、今大会31号車の3人目のドライバーとして出場する、ベテランの佐々木孝太が担当。佐々木は残り3分で一旦トップに。その後、ライバル2台に上回られるものの、最後に一人1分36秒台に入れ、トップを奪い返し、ポールポジションを獲得。佐々木にとっては、自身の持つGT300クラス最多ポールポジション記録を13へと伸ばすことに。今季よりGT300クラスにフル参戦する中山雄一とっては初のポールポジション獲得となった。

◆決勝◆

 3日(日)も晴天。まだ雪の残る富士に見守られ、気温25度、路面温度39度というコンディションの下、午後2時19分に、静岡県警の白バイ隊、パトカー隊先導の下でのパレードラップ、フォーメーションラップに続き、500kmの長いレースのスタートが切られた。

 3位の38号車、4位の36号車を含む上位4台はポジションをキープ。その後方で、7番手スタートの39号車が5位へジャンプアップ。

 2周目に入ったストレートではロシターの36号車が立川の38号車をパスし、3位へ。これで4位へ後退した38号車は、GT300車両との接触で操舵系統にダメージを負い、8周目に緊急ピットイン。長い修復を余儀なくされてしまった。

 10周目、1コーナーでタイヤバーストした車両からオイルが出たため、これを清掃するためにセーフティカーが導入。隊列を整え直し、ここまでに築かれたギャップはリセット。15周目に再スタートが切られることとなった。

 この再スタートでは、8位につけていた大嶋の6号車が、他車と接触しスピン。コース上に止まったところで後続のGT300車両にもかわされることとなり、ほぼ最後尾へと後退。また、6号車はこの接触でドライブスルーペナルティも科されることとなってしまった。

 この混乱を上手く切り抜け順位を上げたのが、開幕戦勝利もウェイトハンデに苦しみ14番手スタートとなったカルダレッリの37号車。一気に8位へとポジションアップを果たした。

 再スタート時には36号車に続く4位につけていた平手の39号車だったが、セーフティカーランの最中にタイヤが冷えたことでハンドリングの不調に見舞われ、徐々にポジションダウン。6位走行中の35周目に、LEXUS RC F勢では最初のルーティンピット1回目へと向かい、給油、タイヤ交換と共に、コバライネンへとドライバーチェンジを行った。

 続いて、他の車両も続々とピットイン。全車がピットを終えた42周目には再び36号車が3位、39号車が6位、37号車が7位、最後尾スタートから追い上げてきた19号車が8位へと順位を上げての中盤戦となった。

 52周目に、5位走行中のGT-R 46号車がタイヤバーストによりコースオフ。これで6位の39号車以下がひとつずつポジションアップ。63周目には8位走行中のNSX 64号車もタイヤバースト。暑さと長丁場の戦いに、GT300クラスも含め、タイヤバーストが多発するレースとなった。

 ほぼレースが3分の2を消化した75周過ぎあたりから各車2度目のピット作業。全車がピットを終えた時点で順位は再びピットイン前と同様に戻り、終盤戦を迎えた。

 最後のスティントでLEXUS RC F勢はソフトタイヤを装着、追い上げを狙ったが、レコードライン外に発生したタイヤカスのピックアップなどにも苦しめられ、逆転は果たせず。

 後半戦は大きな順位変動は無いまま、着実に走り抜き、最後はファステストラップもマークした36号車が3位表彰台を獲得。39号車が5位、37号車が6位、19号車が7位、序盤最後尾近くまで後退しながら追い上げた6号車が9位に入り、LEXUS RC Fは「ホーム」富士での初勝利は叶わなかったものの、完走した5台全車がトップ10フィニッシュでポイント獲得を果たした。

 GT300クラスでは、ポールポジションのプリウス31号車がポジションをキープ。しかし、ストレートスピードで勝るFIA GT3車両との首位争いの中で惜しくも先行を許し2位後退。

 2位走行中の35周目にピットへ向かい、佐々木から中山雄一へと交代した。この1回目のピット作業で、31号車はピットを遅らせたライバル勢の先行を許し、全車が1回目のピットを終えた時点で4位へポジションを落としてしまった。

 中山雄一の31号車は、SLS 11号車と抜きつ抜かれつの3位争いを展開。首位を走行していたGT-R 10号車が早めのピット、変わって首位に立ったGT-R 3号車がタイヤバーストで後退したため、31号車は首位で、70周目にピットイン。嵯峨に最後のスティントを托すこととなった。

 嵯峨の31号車は、全車が2度目のピットを終えた時点で2位となっていたが、僅差の後続が猛追。残り10周を切った時点で、3台によるテール・トゥ・ノーズの2位争いが展開された。

 富士の長いストレートでの最高速で勝るライバルに、コーナーで詰め寄る31号車は、サイド・バイ・サイドでのバトルを展開。3時間にわたるレースの終盤、1秒以内での表彰台を賭けたバトルに、観客の目は釘付けに。

 残り2周、後半のテクニカルセクションで並んだ嵯峨の31号車は、ついにこのバトルを制し、2位でファイナルラップへ。しかし、ストレートエンドのブレーキングバトルで、痛恨のスピン。ライバルの先行を許し、4位でフィニッシュとなった。

 25番手スタートとなった60号車は、19周目にタイヤバーストに見舞われ後退。その後16位まで追い上げたが、2度目のピットイン時に駆動系トラブルが発生し、レースを終えた。

 好天に恵まれたゴールデンウィーク開催のSUPER GT富士大会は、2日間を通して計9万人以上のモータースポーツファンが集まり、大盛況のうちに幕を閉じた。

 LEXUS GAZOO Racing、TOYOTA GAZOO Racingへのご声援、ありがとうございました。次戦も応援の程よろしくお願いいたします。

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3位表彰台を獲得したPETRONAS TOM'S RC F 36号車
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最後までバトルを繰り広げたが、
4位となったTOYOTA PRIUS apr GT 31号車
PETRONAS TOM'S RC F 36号車 ドライバー 伊藤大輔:
 悔しいが、結果的に表彰台に乗ることができて良かった。スタートしてすぐは、ジェームスもライバルにくらいついて行けたのだが、セーフティカー導入後はライバルにじりじり引き離されてしまった。ギャップが広がっている展開を打開するため、自分のスティントを伸ばし、最後のジェームスを短くしてソフトタイヤを投入することにした。ファステストラップを獲れるだけのポテンシャルはあったが、ライバルとの差を詰めるまでは行かなかった。作戦に間違いはなかったが、クルマ的に差があると感じた。このままでは終われないので、逆襲すべく、更にみんなで努力して頑張りたい。
PETRONAS TOM'S RC F 36号車 ドライバー ジェームス・ロシター:
 今日はバトルを楽しんだ。ライバルには大きく水をあけられ、残念ながら追いつく事が出来なかった。終盤はタイヤが厳しくなり、タイム差も大きくなっていたので、途中からは、無理を避け安全に走り切ることを心掛けた。しかし、最後にソフトタイヤで、ファステストラップは獲得出来た。最後の5周は非常にエキサイティングだった。開幕戦は不運で結果は良くなかったが、常に我々のクルマの仕上がりは良いし、強いトムスと共にタイトルを狙いたい。
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