Japan Touring Car Championship

NAKAJIMA RACING JTCC MINE REPORT

シリーズ名:全日本ツーリングカー選手権
大会名:    第9/10戦・CP MINE SUPER TOURING CAR RACE
距離:      3.23898km×31周×2レース
予選:     7月12日  雨  ・観衆:----
決勝:     7月13日 曇のち晴・観衆:2万1100人(主催者発表)

マシン不調で不本意な予選となったPIAA SN ACCORD
第9戦はレース中に接触してリタイヤするものの、第10戦では6位入賞!
僚友、中子選手とともにメイクスランキングトップを堅持!

 早くもシーズン後半となった全日本ツーリングーカー選手権=JTCC。PIAA 
NAKAJIMA RACINGのJTCCプロジェクトは、前大会から新型マシンを投入するなどして、
さらに戦力を増強。PIAA SN(Satoru Nakajima) ACCORDを操る黒澤琢弥選手も、常に
トップコンテンダー群の一角となった昨シーズン以上の活躍を見せ、第4大会(第7/
8戦)終了時点までですでにドライバーズポイントランキング首位に立つ。また、PIAA 
SN ACCORDが属するTEAM無限HONDAも、メイクスポイントランキングトップに上り詰め
ている。
 しかし、ベテランの星野選手と若手の本山選手を擁する日産が早いペースでマシン
熟成を進めており、ドライバーズ/メイクスとも今後のポイントランキング推移にま
ったく予断を許さない状況の中で、シーズンの折り返し点通過戦とも言うべき第5大
会が行なわれることとなった。
 そして、レースウィークは九州と狭い海峡を隔てただけの山口県セントラルパーク
美祢サーキットも一帯を覆った梅雨前線の影響を受け、金曜の公開練習は時折強い降
雨となる悪コンディションで開始される。梅雨前線は停滞を続け、決勝日も恵まれた
コンディションとならないことが予想されたため、各チームはウエットレースに備え
たマシンのセットアップをメインメニューにしてテストを開始することになる。
 そのテストセッションにおいて、ポイントランキング2番手の本山選手との差を少
しでも広げたいはずのPIAA SN ACCORDだったが、午前中のセッションではいつものよ
うに好調さが見られずに走行を終えることになる。インターバルでセッティングの検
討と入念な各部チェックを試みたPIAA SN ACCORDだったが、やはりここでもラップタ
イムは伸びない。
 一方の日産プリメーラは本山選手が常にトップ陣に加わる速さを見せつけており、
結局、PIAA NAKAJIMA RACINGは夕方近くに設定された3セッション目の走行を見送り、
エンジンを交換するなど抜本的対策を施して翌日の予選に備える展開となった。
 例年であれば酷暑とも言えるコンディションとなる美祢のツーリングカーレースだ
が、間断なく雨が降るサーキットは25℃を下回る気温。前大会までの好成績により
60kgのハンディウエイトを搭載したPIAA SN ACCORDはまず午前中の第9戦予選に臨む。
が、やはりラップタイムは上位陣に加われるに充分な数字とならず10位に終わる。再
び黒澤選手が執拗にタイムアタックした午後の第10戦予選はさらに順位を後退させて
してしまい12位、6列目グリッドという不本意な結果となってしまう。
 2回の予選をともを制したのは、公開練習から好調ぶりを示していた日産プリメー
ラの本山選手。HONDAアコード勢では今季デビューしたギャザーズ童夢アコード(岡田
選手)が2予選とも2位につけるが、黒澤選手のチームメイトであるカストロール無
限アコードの中子選手もPIAA SN ACCORDと同様に、今回は奮わず予選はそれぞれ9/
7位となる。
 多くのチームがウエットレースを覚悟していた決勝当日だったが天候は予想より早
く持ち直し、午前9時20分からフリー走行が開始される時点では路面もドライへと転
化。各マシンは今回のレースウイークで一度も装着していないスリックタイヤで、
レース前の最終チェックを行なう。
 第9戦開催前の空模様は雲が多く一旦は再び雨が降ることが懸念されたものの、時
折陽も射すようになり気温25℃/路面35℃の完全ドライコンディション。そのスター
トはポールポジションの本山選手がどうにか後続群を抑え、その位置をキープしたま
まオープニングラップをこなす。ここで巧みなスタートダッシュを決めたのは、ア
コードドライバー中最年少の道上選手(ジャックスアコード)で、先輩格の岡田選手
をかわして予選4位位置から2番手へと急浮上。
 コンディション変化で順位アップが期待されたPIAA SN ACCORDだったが、黒澤選手
がそうした期待に1周目から応えて、2周目からは早くも前を走る関谷選手(トヨ
タ・チェイサー)と7番手争いを演じるポジションにまで進出。しかしこの直後、
PIAA NAKAJIMA RACINGにとっては手痛い事態が発生。第1コーナー進入をめぐる関谷
選手と黒澤選手が接触してしまい、関谷選手はコースアウトしてそのままリタイヤ。
大会競技委員はこれを黒澤選手によるラフプレイによるものと判断し、ピットエンド
での10秒間停止という極めて厳しい裁定を下したのである。その指示に従ったPIAA 
SN ACCORDは戦列後端に追いやられることとなるが、さらには接触によるマシントラ
ブルが発生して数周後にリタイヤ。すなわち第9戦では1ポイントも取れない結果と
なってしまった。レースは本山選手がトップのまま走り切り、アコード勢では中子選
手が今回も素晴らしい追い上げを見せて2位でゴール。TEAM無限HONDAとしてのメイク
スポイントに貴重な得点をもたらした。
 しかし、レース終了後、PIAA SN ACCORDとTEAM無限HONDAに幸運とも言いたい状況変
化が起こった。優勝した本山選手の走行後マシン重量が規定より少なかったため、本
山選手が失格になり、当然2位以降の順位がすべて繰り上げられたのである。これに
よってドライバーポイントランキングで大きく不利になるはずだった黒澤選手はその
位置を変えることにならず、日産のメイクスポイント増加を星野選手4位入賞分に止
めることができることにもなった。
 第9戦の結果とは無関係に行なわれる第10戦は、やはり予選トップの本山選手がス
タートからレースをリード。第9戦でマシンにダメージを負ったPIAA SN ACCORDも、
どうにか出走規定時間内にグリッドにつき、黒澤選手も12位グリッドスタートながら
オープニングラップで8番手へ順位アップして、いつもの気を吐いた走りを披露。そ
の勢いに乗って、3周目には7番手へと躍進。
 レースは中盤を過ぎても、トップは依然として本山選手のまま。序盤から中盤にか
けては4番手までが僅差でトップを追走するシーンが見られ、また第9戦同様、ア
コードルーキーの道上選手が2番手にまで浮上するという活躍ぶりを示す。しかし、
こうした上位陣の順位争いの中でまさしく確実な仕事を成し遂げたのは、昨シーズン
からその追い上げぶりが定評になっている中子選手だった。10周目過ぎには3番手に
上がり、12周目に2番手となり、そして続く13周目にはあっさりと首位の座を本山選
手から奪う。以降はまったく安定して速い周回を重ね、見事1大会連続優勝という偉
業を達成した。前レースでダメージを負ったため決して本調子とは言えないマシンで
あった黒澤選手も17周目には6番手になり、そのままチェッカーを受けてポイントを
獲得することに成功した。
 すでに「HONDA対日産」の様相をはっきり呈するようになった今季JTCCだが、今回の
中子選手の2戦優勝と、わずかではあってもポイント献上の責務を果たした黒澤選手
によってTEAM無限HONDAはタイトル獲得をより現実的なものとした。

■PIAA SN ACCORD 担当ディレクター:藤井一三のコメント
『走行初日でエンジンがいつもの調子を発揮してくれず、上位マシンと争うためのセ
ッティングができなかったことが、特に予選での不本意な結果の原因です。第9戦中
の競技委員からのピットストップペナルティに関しては、順位争いしている最中での
偶発的な事態を故意的に行なったと判断されたことと、また現在のツーリングカー選
手権レースでは前例のないペナルティが課せられたという点で個人的には納得しがた
いのは正直なところです。いずれにしてもシリーズが残り6戦となった現在では、と
にかくポイントを獲得していくことを目標として戦っていきます。』


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