SUPER FORMULA

SF:第7戦鈴鹿 JRPサタデーミーティング第二部 「SF14は誰が乗っても速いクルマ」

サタデーミーティング第2部は白井裕JRP社長を始め、坂井典次氏(本田技研スーパーフォーミュラプロジェクトリーダー)、佐伯昌浩氏(本田技研スーパーフォーミュラ・プロジェクトリーダー代行) 、永井洋治氏(トヨタ自動車スーパーフォーミュラプロジェクトリーダー)、田中耕太郎氏(チームダンデライアンチーフエンジニア)、東條力(チームトムスチーフエンジニア)、らが出席して今まで携わってきたSF13への思いとSF14の開発状況、最終戦にかける意気込みなどを語った。

白井裕氏のコメント
sf_r05_sm-shirai 「昨日一昨日といいテストが出来ました。心配していた音もかなりレベルが上がってきましたから、ある意味安心しています。
SF13は5年目ということで熟成してきて、今回も高いレベルのレースが出来そうだということで期待しています。
SF14は今まで5回のテストをしてきました。今月中旬にはダラーラで開幕時の仕様を決めてきて、12月の18-19に富士でテストを行い、年内に半分以上の台数をチームにデリバリーし、年明け早々に残りを入れる予定で、2月の中旬に富士でチーム合同のシェイクダウンを行う予定、続いて3月のファン感の後で鈴鹿で合同テストを行い、その後また富士、と開幕前に3回のテストを行う予定です」
坂井典次氏のコメント
sf_r05_sm-sakai 「実は3.4リッターというのは白井さんが仕込んだものでして、僕が2006年にF1をやめて帰ってきた時に白井さんに言われて3.4リッターエンジンを設計しました。自分にとってもエポックメイキングな瞬間だったなと。2007年にだいたいの骨格が出来て鈴鹿でクルマの格好が決まりました。ここではじまって、ここが最終レースになります。毎年改良を重ねてここまで来ましたが、今日も目標より高いタイムが出ています。
6月中旬にダラーラに行って、SF14をくみ上げて火入れをし、7月から富士で走り始め、もてぎ、菅生、鈴鹿とテストをしてきました。鈴鹿は一番チャレンジングでテクニカルということでクルマのバランスを確かめるのがここでのテストでした。もてぎはブレーキに厳しい。世界一厳しいと思っていますが、そこでのカーボンブレーキのテスト、などと目標を決めてやってきました。今週もいいテストが出来ていまして、ブリヂストンさんから『次はこれに合わせたタイヤを作ってこないといけないね』と言われています。一日目は雨だったので、やり残したメニューがあり、それを二日目にやり切りました。いいテストが出来たと思います」
佐伯昌浩氏のコメント
sf_r05_sm-saeki 「3.4リッターは私も開発初期から携わってきたエンジンで非常に愛着があります。過去のレースエンジンの中では一番熱効率の高いエンジンです。これが無くなっちゃうのは寂しいですが、これからはターボをつけたエンジンでこれを上回っていくのがエンジンメーカーのあり方だと思っています。
SF14のテストでは、とにかくエンジンの距離を稼ぎたいということで、基本骨格を変えないでこれまできています。2000キロ以上走ってきて、耐久性については見込みがつきました。前回の菅生の時にあまりウェットでの走行が出来ませんでしたが、今回一日ウェットで走ることが出来て、ウェット時のトルクの出方など過給のコントロールができました。全開パワーではまだトヨタさんに及んでないなと思っているので、開幕までに追いつきたいですね」
永井洋治氏のコメント
sf_r05_sm-nagai 「SF13は今まで皆さんにアメ車アメ車と言われ続けてきましたが、今日のタイムを見て『アメ車もこんなに速くなるんだな』という感慨深い思いです。またリーマンショックの後新型車両になって、13台からスタートした時は『これでもう終わりかな』と思ったんですが、今日は沢山のクルマがいて、これも嬉しいです。
このエンジンには僕も色んな思い出があって、RV8ファミリーは20台が世界中で頑張っています。スーパーフォーミュラでもチャンピオンを獲って終わりたいなと思います。
今までSF14のテストを5回やってきました。来年の開幕に向けて、チームが一斉に走り出せるように、エンジンが足を引っ張らないように最低限のテストを今までやってきまして、やっとレースが出来るレベルになってきたかなと。これからはホンダさんに差を付けるべく頑張っていこうという段階に入っています」
田中耕太郎氏のコメント
sf_r05_sm-tanaka 「新しく導入されたダラーラのシャシーと、SF13を比較すると、スウィフトさんのシャシーは非常に重い。ダウンフォースは強くて速かったんですが、重いというところで随分苦労した思い出があります。それに比べましてダラーラさんのシャシーは世界中のシングルシーターを席巻しているだけあって非常に扱いやすい。よく出来てると思います。
テストは坂井さんが仰ったようなプログラムで進めてきました。車体の方もダラーラさんから戴きましたマニュアルを検証する形で実走結果と風洞実験の結果の整合性を取っています。そうした面でもかなりしっかりしており、マニュアルの数値を信用してセットアップを進めても間違いが無く、癖というか強いキャラを持っていない気がします。
ベーシックな部分でハイレベルなので、速いドライバーが乗ればすぐにタイムが出ちゃう。マニュアル通り組み上げてすぐ走ってもタイムが出るイメージです。
来年一からシャッフルされちゃうことで、これまでスウィフトのセットアップで苦労してきて東條さんが凄くいい思いをしてきたわけですが(笑)、私もしっぺ返しを食うかも知れない(笑)新しいチームでも充分勝ち目があると思います。チームの考えがしっかりしていて、ドライバーがちゃんとフィードバックできれば大いにチャンスがあります」
東條力氏のコメント
sf_r05_sm-tojo 「08年の最後にFN09の初号機をトムスで組み立てさせていただきました。僕もこの業界に携わってからレイナードやローラ、ダラーラなどを手がけてきましたが、最初に受け取った時は衝撃的というか『大丈夫かな?』という状況でしたが、割と丈夫だし、割と走るということが判ってきて、毎年時間をかけてセットアップを進めてからは、タイヤの変更に合わせるだけでいい状態になりました。
今回またSF14の初号車を組み立てさせていただきましたが、非常にそつのない作りで、シンプルと言いますか、簡単に組み立てさせていただきました。富士でシェイクダウンした時は初日にエレクトロニクスなどのトラブルがありましたが、二日目からはもう全然止まること無く走ることが出来ました。
マニュアルの検証やエアロダイナミクスの検証をしたところ、どんな状況でもよく走ることがわかりました。
車高を上げても下げても、前傾させても走る。誰がやってもあっという間に高いレベルに到達できます。
もてぎでは満タンでロングランをやって、ピット作業をしてまた走ったんですが、カーボンブレーキの熱の面が厳しくて、ピットアウトの直後に問題が出やすい気がしています」
まとめ: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Yoshinori OHNISHI


トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

検索

最新ニュース