'94全日本GT選手権 Rd.2 仙台ハイランド Date 6/11 6月11~12日 GT インサイド・レポート No. 3 for FMOTORT4 7.WESTコルベットの5月 鈴鹿のWESTは、当初コルベットGTを“1”から日本で製作することを考えて いた。 しかし、第2戦のハイランドまでの時間的な余裕がないことと、WESTにとって は初めて製作するGTマシンということもあって、第1戦の終了後にオーナーの金沢 重宝が自らアメリカに渡り、今年のデイトナ24時間で7位に入った(現在最強と言 われている)モリソン・チームのLM・GT仕様コルベットZR-1の購入にあたっ ていた。 ところがモリソン・チームのコルベットは、ナショナル・コルベット・ミュージア ムに入ることとなってしまったため、GMのクルーチーフの協力で、急遽2台のコル ベット・レーサーをアメリカで製作することとなった。 2台共GMワークス・ファクトリーのマリオット・モータースポーツの手で製作さ れているが、目当てのモリソンと同一仕様のコルベットZR-1は新車から、鈴鹿の 500キロと1000キロ用に確保した、6・4リッターOHV・LT1エンジン付 きIMSA・GTS仕様は、昨年、GMワークスが7台だけ用意したGTSモデルの 最後の1台をロサンゼルスのチャック・ハースから購入して、急ピッチで組立ている。 予定通りであれば5月30日に大阪空港に空輸されてくるはずであったが、製作の 遅れから、日本に到着するのは月末となってしまった。 そのために、この第2戦仙台ハイランドでのデビューは諦めなければならなかった。 エースドライバーには関谷正徳を配し、MYZの今西豊もアドバイザーとして加わ るとことから、いきなりトップ争いに加わるものと期待されている。 今回は、3台目のマシンとして日本で製作しているZR-1を、完全な姿ではない がパドック裏で展示している。 8.'94ルマン24時間レース直前情報 13日2の公開車検からスケジュールが始まるルマン24時間レースでは、スターターを国務/内務/国土開発大臣を兼務するシャルル・パスカルが務めることとなった。 サンマリノで死亡したラッツェンバーガーに替わるサードのドライバーは、E・アー バインに決定し、サードは7~8日にマニクールで最終テストを行った。7日はアー バインとクロスノフが、走行を行ったが、アーバインはF1カナダGPに参加するた め、8日はクロスノフ一人で最終確認のテストが行われた。 ホンダNSXを持ち込むチーム・クニミツは、シェイクダウンとなった5/8のル マンテストでは回転数に余裕を残した状態であったため、ユノディエールでの最高速 が約265キロと伸び悩んでいたが、5/17に行われたポールリカールテストで実 力は十分に証明されている。 土屋圭市によると、伝統のサルテサーキットは、ミュルサンヌを立ち上がってイン デイアナポリスにかけての公道部分が、ブラインドでありながら5速~6速全開で走 るため恐いという。 ブガッティやF・コンラッドを含む数チームは、ポルシェ962のエントリーがGT プロトではなく、LM・GTクラスで認められたことに対して不満の意を表明してい る。しかし、ACOからは、現在のところは何のコメントも出ていない。 9.GT選手権タイヤ交換コンテスト・レース第2戦開催 今回もタイヤ交換コンテスト・レースが、日曜日の昼のピットウォークの時間帯に 行われる。クラス分けもコンベンショナルホイールとセンターロックホイールの2部 門が今回も用意され、競技人数も第1戦と同様にジャッキ操作1名とタイヤ交換2名 の3名で競われる。各クラスの優勝者に対しては、レーシングオン誌から高額の賞金 とパネルが授与される。 '94全日本GT選手権 Rd.2 仙台ハイランド Date 6/11 6月11~12日 GT インサイド・レポート No. 4 10.10日フリープラクティス(15:30-16:30)結果 マシン ドライバー タイム ------------------------------------------------------------------------------- 1 #3ユニシア・ジェックス・スカイライン 長谷見昌弘 1’53.30 2 #2 ZEXELスカイライン 鈴木利男 1’54.07 3 #40 タイサン ADVAN F40 A・リード/太田哲也 1’56.53 4 #24 コクピット 館林GTR 山路慎一/袖山誠一 1’56.64 5 #14 CCIあめんぼうシルビア 服部尚貴/大井貴之 1’58.10 6 #9 acomポルシェRSR M・マルティニ 1’58.18 7 *12 FKマツシモERC RX7 川崎哲哉 1’58.44 (タイムは非公式参考タイム) 11.#2 ZEXELスカイライン 第1戦を失ってしまったニスモは、FRスカイラインを徹底的にデベロップして仙 台に乗り込んできた。ハイランドでは最高速が低いだけでなく、これからの夏の気温 を考えてラジエターを大型にした他、第1戦でアルコンに交換されてしまったRブレー キも、クーリングダクトを改良して熱対策が施されたため、計画通りAPが使われる。 FRスカイラインはフロントサスペンションに課題を抱えていたが、より大きなキ ャンバー角がつけられるように、エクステンションアームのブラケットに改良が施さ れて、コーナー出口でのアンダーステアを解決している。タイヤサイズは変更されず、 従来と同じ300㎜の幅のままで今後も参戦する。 12.#9 acomポルシェRSR 金曜の午前中のM・マルティニは、ひたすら曲がらないポルシェのステアリングと 格闘することとなった。昼にノバのエンジニアによって、ショックを軟らかいタイプ に交換したり、フロントの車高を下げる等の対策を行ったことにより、午後のマルテ ィニは笑顔でハイランドを攻めることが出来たようだ。 911RSRはノーズにフューエルタンクを持ち、燃料の量にハンドリングが大き く影響されるという性質を持っているため、この敏感な性格を是正する方向で開発が 行われている。基本的な重量配分をフロントよりにするため、オイルクーラー(元々 は1個のものを2個に)をノーズに追加したり、カーボンファイバーで製作したワン ピースのフロントカウルとサイドカバーを装備して、空力バランスをとることを試みている。 13.新たなフェラーリF40の参加 ローラワークスとして、トヨタやプジョーの怪物マシンとSWC、で闘っていた ユーロレーシングの残党もフェラーリF40GTの開発を行っていることが明らかに なった。 かつてユーロレーシングに在籍していた白阪正之氏を中心とするグループは、今年 終盤のテスト参戦を目指してF40のエンジン開発を行ってきたが、盛況であった第 1戦に触発されて、参戦スケジュールを早めて夏頃の参戦を計画している。 彼らのF40は(N1までの改造範囲であればリストリクター装着が免除される) 今年の特例規定を使わずに、来年以降のことも考えて、31㎜×2のリストリクター をエンジンに装着した状態で開発が行われているが、エンジン本体はF1エンジンの 開発に関わっていた、有力エンジニアが手がけている他、有力チューナーがコンピュー ターの開発を行っている。 この仙台でカメラカーとしてデビューするという案もあったが、準備不足のため見 送られたため、お盆に行われる第3戦の富士250キロあたりに姿を現すこととなる だろう。 提供:GTアソシエーション事務局 古屋 知幸 = MGG01235 =