シリーズタイトル争いは最終戦もてぎラウンドへ
- 決勝 2009年10月18日(日)
- 会場:オートポリス・インターナショナルレーシングコース(4.674km)
- 天候:予選/曇り、決勝/晴れ
- 気温:17℃(14:00現在)
- 路面温度:27℃(14:00現在)
- 決勝レース:65周(303.81km)
- 観客:2万8050人(主催者発表)
10月18日(日)、大分県・オートポリス・インターナショナルレーシングコースにおいて、2009 オートバックス SUPER GT第8戦「SUPER GT IN KYUSHU 300km」の決勝レースが開催された。
この第8戦を含め、残り2戦となった2009シーズンは、チャンピオンシップ争いのドライバー部門において、#8 ラルフ・ファーマン/伊沢拓也組がトップと10ポイント差の53ポイントでランキング3位につけ、#18 道上龍/小暮卓史組が43ポイントの6位。チーム部門では#8 オートバックス・レーシング・チーム・アグリが68ポイント(トップと14ポイント差)の3位、#18 TEAM YOSHIKI & 童夢 PROJECTが62ポイントの5位につけている。
17日(土)に開催された公式予選の天候は曇り、気温16℃のドライコンディションでスターティンググリッドが争われた。この結果、#8 R.ファーマン/伊沢組(ARTA NSX)がスーパーラップで1分41秒893のタイムを記録し、6番グリッドを獲得した。同じくスーパーラップに出場した#100 RAYBRIG NSXは、体調不良により欠場となった細川慎弥選手に代わり、松浦孝亮選手が第2ドライバーとして登録され、井出有治選手のタイムアタックで7番グリッドを獲得した。#18 道上/小暮組(ROCKSTAR 童夢 NSX)は10番手。#17 金石年弘/塚越広大組(KEIHIN NSX)は12番手、#32 ロイック・デュバル/中山友貴組(EPSON NSX)は14番手から決勝レースを迎えることとなった。
18日(日)の決勝日も天候に恵まれ、九州唯一のSUPER GTレースを観戦するために大勢のファンがオートポリスに駆けつけた。決勝スタート時点で気温は17℃、路面温度27℃という絶好のコンディションのもと、総勢33台(GT500クラス計14台)のマシンが午後2時3分にローリングスタートを切った。
好スタートを切った#8 ARTA NSXのR.ファーマン選手と#100 RAYBRIG NSXの井出選手は、それぞれポジションを1つ上げて5-6位を走行する。#17 KEIHIN NSXの金石選手は他車との接触によりマシンが損傷を受けたためにリタイアとなった。
5周を終えて、#8 ARTA NSXが5位、#100 RAYBRIG NSXは1つポジションを下げて7位、#18 ROCKSTAR 童夢 NSXの道上選手が11位、#32 EPSON NSXの中山選手が12位を走行する。
10周目に#8 ARTA NSXは6位へポジションを下げるが、R.ファーマン選手は安定したペースで走行を重ねる。17周目を過ぎ、#8 ARTA NSXを含めた3台による4位争いは激しさを増してテール・トゥ・ノーズのバトルを繰り広げていく。23周目の8コーナーでR.ファーマン選手は再び5位に浮上し、前を走るマシンが1回目のピットインを敢行したために4位にポジションを上げた。26周目には#100 RAYBRIG NSXが5位に浮上する。
#8 ARTA NSXのR.ファーマン選手は他車より長いスティントでタイムを稼ぐ作戦を選んでいたが、32周目にGT300クラスのマシンと接触した影響で、ホイールが破損してスローパンクチャーが発生したため、予定より少し早めの33周終了時に伊沢選手へドライバー交替を行った。#100 RAYBRIG NSXの井出選手は38周目にコースアウトを喫しながらも長いスティントを走りきって、松浦選手に交代した。
ほぼ全車がドライバー交代を終えた41周終了時点で、NSX-GTは#100 RAYBRIG NSXが5位、#18 ROCKSTAR 童夢 NSXが7位に浮上。インラップからピット作業までのタイムロスが影響した#8 ARTA NSXは8位に後退し、#32 EPSON NSXは10位を走行する。
ばん回を図る#8 ARTA NSXの伊沢選手はアグレッシブな走りを見せて42周目に一気に6位へ浮上、#18 ROCKSTAR 童夢 NSXの小暮選手が7位に続いた。
50周目、#8 ARTA NSXが#100 RAYBRIG NSXをパスして5位に浮上する。59周目に2番手のマシンがリタイアとなったため、4位に浮上した#8 ARTA NSXの伊沢選手はさらに3位のマシンの背後に迫る。そして60周目のホームストレートで並びかけるものの、1コーナーのブレーキング争いで少しコースアウトを喫したため、#18 ROCKSTAR 童夢 NSXの小暮選手が代わって4位に浮上した。伊沢選手は64周目に4位のポジションを奪い返し、再び3位のマシンに迫るものの追い上げ及ばず4位でチェッカーフラッグを受けた。5位に#18 ROCKSTAR 童夢 NSX、6位に#100 RAYBRIG NSX、9位に#32 EPSON NSXとなった。
この結果、シリーズタイトル争いでは、ドライバー部門においてR.ファーマン選手/伊沢選手が計61ポイントの4位、小暮選手/道上選手が計49ポイントの6位となった。チーム部門では、#8 AUTOBACS RACING TEAM AGURIが計79ポイントで3位、#18 TEAM YOSHIKI & 童夢 PROJECTが計71ポイントで4位につけ、両部門ともシリーズタイトル争いは最終戦に持ち越された。
- 白井 裕(Hiroshi Shirai)|NSX-GTプロジェクト・プロジェクトリーダー
- 「来年はオートポリスでの開催がないので、ファンの皆様にはいい結果を報告したいと思っていましたが、残念ながら表彰台を獲得することができませんでした。予選では路面温度とタイヤのマッチングがなかなか見出せず、スーパーラップに進出できたのは8号車と100号車2台だけでしたので、当初考えていた以上に厳しい状況で決勝を迎えることになりました。決勝では8号車のファーマン選手がいいペースで走行し、上位を獲得できると確信していましたが、GT300のマシンと接触した際に左フロントホイールに亀裂が入り、その影響で数周後に空気圧が急に低下したため、緊急ピットインを強いられました。通常よりもタイムをロスしたため貴重なポイントを失ったことが悔やまれます。また、6位に入賞した100号車は細川選手の急病により、松浦孝亮選手がドライブすることになりました。SUPER GTでの経験が浅いながらも松浦選手も大変よくがんばり、また井出選手もよくバックアップしてくれた結果だと思います。今年はHondaのホームコースであるもてぎで最終戦を迎えます。ポイントの差はありますが最後の最後まであきらめずに優勝し、シリーズタイトル獲得を目指します。皆様からのご声援をお願いします」
- ラルフ・ファーマン選手(4位 #8 ARTA NSX)
- 「ウエイトハンデの影響もあって我慢のレースになりました。序盤はあせらずに落ち着いてタイヤを消費しないように走りました。そして、中盤から徐々にペースを上げて作戦通りの展開になったのですが、GT300クラスとの接触で左フロントタイヤとホイールにダメージを負ってしまい、ペースを落としたままピットへ戻りました。この大きなタイムロスは本当に残念でした。でも、伊沢選手がすばらしい走りで4位を獲得してくれたことは最終戦に向けて大きなポイントになると思います。最終戦はゴールまであきらめずにチャンピオンを目指して全力を尽くします」
- 伊沢拓也選手(4位 #8 ARTA NSX)
- 「決勝レースでのペースが大変よかったので、ラルフのスローパンクチャーが無ければと思うと残念です。自分自身も表彰台を目指し何度かアタックを試みましたが、抜けそうで抜けなかったのは、非常に悔しく思っています。ただ、シリーズタイトルの可能性が全くゼロになったわけではないので、最後までタイトルを目指してがんばります。最終戦のもてぎは、NSXの得意コースなので応援をお願いします」 Text & Photo: HONDA