S-FJ日本一決定戦

日本一決定戦もてぎ決勝 小田優が白崎稜との死闘を制して日本一の座に ドラゴコルセ2連覇

優勝した小田優(AUTOBACS Drago CORSE KK-SII)

 2023年スーパーFJ日本一決定戦がモビリティリゾートもてぎで開催され、31台が参加したファイナルレースはポールポジションからスタートの小田優(AUTOBACS Drago CORSE)と2番グリッドの白崎稜(TAKE FIRSTスタッフリソース & QUICK羽生)が10周のレースに渡って激しくトップを争い、0.174秒という僅差で小田が先着、日本一の栄冠を手にした。

 スーパーFJ日本一決定戦はA、Bグループごとの予選、第1レグを経てついにファイナルを迎えた。前日に続いて冬晴れに恵まれたモビリティリゾートもてぎは 12時10分のコースインの時点で気温18度、路面温度23度という絶好のコンディションとなった。

 本大会では2セットのタイヤを使用できるが、多くの選手が午前9時から20分間のフリー走行で新品タイヤの皮剥きを行い、万全の状態でレースを迎えた。

 前日のA/B組セミファイナルの結果、1位のレースタイムが速かったB組トップの小田がポールポジション、A組トップの白崎が右サイドの2番グリッドに着き、以下各組の着順にスターティンググリッドについた。

 12時30分フォーメーションラップ開始、全車グリッドに戻るとレッドライトが消えて10周のファイナルが開始された。

 フロントロウの2台が蹴り出し良く加速すると、小田がホールショットを奪い第1コーナーへ進入。白崎が続く。後方では4番グリッドから出た村田悠磨(Rn-sports制動屋Vieureka)の加速がよく、3番手の田中風輝(24systemタイヤサービスM2 KK-SII)を第2コーナーでかわして3位に上がる。さらに第3コーナーでは内田涼風(群馬トヨペットRiNoA ED)が田中の前にいったん出るが、すぐに田中が4位を取り返す。さらに6位を争う渡会太一(FTKレヴレーシングガレージ)、元山泰成(Ecotech Racing F)、堂園鷲(Kデンタルオフィス☆ミスト)が激しくポジションを争いながら第4コーナー~第5コーナーへと走りぬけ、元山6位、堂園7位、渡会8位の順に。そんな中S字の入り口で10位付近を走っていた角間光起(ELEVレーシング10VED)が姿勢を乱しスピン、すぐに立て直してレースに復帰するが順位を大きく落とした。角間によると追突されたとのことだ。

 トップに立った小田は1車身の間合いを保って白崎に先行、0.319秒のリードでオープニングラップを終える。3位村田は0.940秒の差、以下4位田中0.203秒差、5位内田0.418秒差と3位グループが僅差だ。

 2周目に入ると白崎が反撃に出て、テール・ツー・ノーズ状態で小田にプレッシャーをかけるとメインストレートでは左サイドから並びかけて0.058秒差でコントロールラインを通過。3周目の第1コーナーではアウトから小田に仕掛ける。ここは小田がポジションを守ったが、続く第3コーナーへのブレーキングでは白崎がインを奪って前に出てトップが交代する。この間に迫隆眞(EAGLE ERS S-FJ)がピットイン。迫はセミファイナルでトップを争いながらマシントラブルでリタイヤし、ファイナルは30番グリッドからスタートしてオープニングラップで大きく中団あたりまで順位を上げていたのだが、今回もトラブルに見舞われてリタイヤとなった。電気系の問題だとのことで、デビューから僅か3レースでトップに肩を並べる速さを見せてきたルーキーはトラブル続きの週末となってしまった。

 トップに立った白崎だが今度は小田がプレッシャーをかける側にまわり、 ダウンヒルストレートではスリップストリームから右サイドに並びかけて90度コーナーでの勝負に持ち込むが、ここは白崎が抑える。3位争いも田中が村田のインを差してこちらはオーバーテイクに成功、ポジション奪還に成功する。小田はなおも白崎に食い下がり、0.110秒のギャップでコントロールラインを通過。このバトルに乗じて3位に上がった田中も0.445秒の間合いにつける。4位村田に続く5位には内田を仕留めた堂園が浮上している

 4周目の第1コーナーでは小田がインから白崎の前に出てトップを奪い返すが、白崎は第2コーナーの立ち上がりでアウトの縁石ぎりぎりのラインから加速して第3コーナーでは前の周と同じようにインからオーバーテイク、トップを奪い返す。25歳の先輩と18歳の後輩のバトルは息つく暇も与えない。5コーナーから両者はサイド・バイ・サイドで130Rを通過、S字の切り返しでは小田が僅かに前に出るも、ヘアピンへのブレーキングで白崎がインを取ると再びサイド・バイ・サイドでダウンヒルストレートへ、小田は今度はアウト側から90度コーナー勝負に出るが、ここは白崎がポジションを守る。そして3位争いも村田がインから田中を仕留めて順位を奪い返す。

 4周目を終えてトップ白崎と2位小田は0.197秒の差、3位村田は約1秒遅れて4位田中とは0.097秒差。さらに0.53秒の差で渡会が続いている。白崎は続く5周目に2分4秒099のファステストラップを出して小田との間合いを0.286秒と僅かにひろげる。ここで3位争いが激しさを増し、第1コーナーで田中が村田をオーバーテイク、このバトルの間に渡会、堂園も接近。4台がワンパックになって第3コーナーを通過。第5コーナーでは村田が再度田中を抜き返し、さらに渡会がS字の入り口で田中から4位を奪うとV字コーナー進入で村田も仕留めて3位に浮上する。予選までの不調が嘘のように速くて強い渡会が戻って来た。そして90度では堂園と内田も参戦し5台がブレーキング勝負。田中と渡会、堂園と村田がサイド・バイ・サイドでセカンドアンダーブリッジを通過、さらには内田をかわした池内比悠(群馬トヨペットRiNoA ED)が続き最終コーナーへ。コントロールライン上では3位田中、以下0.129秒で渡会、0.320秒で村田、0.364秒で池内という順。

 6周目、白崎と小田は依然としてテール・ツー・ノーズ状態。白崎は突き放せず、小田も突破口を見いだせないジリジリとした展開だ。そこから後ろはバトルの間に大きく遅れ、この2台のマッチレースの様相を呈してくる。その3位争いは6周目も続き、第1コーナーで渡会がインから田中をオーバーテイク、再び3位へ返り咲く。後ろでも堂園が池内を抜いて6位へ。

 7周目、0.202秒差で白崎を追う小田が再び臨戦態勢に、第1コーナーでインを窺う素振りを見せると、第3、第4コーナーでもプレッシャーをかけて立ち上がり、白崎の左サイドから並びかけて加速、続く第5コーナーへのブレーキングでアウトから大外刈り、ついにオーバーテイクに成功する。3位渡会、4位田中と続いて5位に堂園、6位に内田が上がっている。

 8周目、白崎は0.153秒差で小田を追い、第5コーナーでは前の周の小田のように大外刈りを見せるが、ここは小田がポジションを死守する。3位争いも激しく、V字では田中が再び3位へ戻す。

 ダウンヒルストレートでは小田のスリップストリームから抜け出た白崎がインから90度コーナーへ飛び込みみたびトップの座を奪い返す。2台はもつれあうように0.063秒の差で9周目に突入。

 9周目の第1コーナーでは小田がアウトに振って並びかけるが白崎が守る。S字から再びサイド・バイ・サイドとなり、並んでV字を通過、ヘアピンでは白崎が前へ出るがダウンヒルストレートでは再び並んで駆け降りる。90度コーナーへのブレーキングでは小田がインから僅かに前に出てターンイン。しかし白崎もアウト側で踏ん張り、サイド・バイ・サイドのままビクトリーコーナーを通過すると、最終コーナーでは白崎が前へ出て0.048秒差でファイナルラップへと突入する。3位田中と4位堂園は0.298秒、5位渡会も0.494秒差と予断を許さない差だ。

 ファイナルラップ、9周目のリプレイのように小田がアウトから仕掛け白崎が守る。そして第5コーナー、小田は今度は白崎のインを差して行く。白崎もアウト側縁石で踏みとどまるが、小田が圧をかけつつ加速して前に出る。白崎は再逆転を狙って攻め続けるがチャンスが訪れないままヘアピンを通過しダウンヒルストレートへ。90度コーナー勝負を封じるように小田がラインを変えてからターンイン。そこからは落ちついた動きでビクトリーコーナー~最終コーナーを抜けてチェカードフラッグの下を通過、スーパーFJ参戦5レース目で日本一の座を射止めた。昨年の清水啓伸に続いてドラゴコルセが2連覇を果たした。

 2位白崎、3度目の日本一決定戦でスーパーFJ卒業を公言して、鈴鹿/岡山シリーズ、ジャパンリーグを制して目指した3冠は成らなかった。3位田中、4位堂園と高校生ドライバーが続き、6位には池内がチームメイト内田とのバトルを制して入賞した。

 今回4台がエントリーのジェントルマンクラスは総合11位と健闘したベテランの吉田宣弘(EXTREME☆MYST☆GY☆KKS-II)がクラス優勝、以下クラス2位は総合25位の太田浩(ミスト・セキグチ・制動屋)、クラス3位は総合28位の柴田泰知(ZAP SPEED RD10V ED)という結果になった。

 ポディウムに戻って来た小田はシートベルトを外すとゆっくりとマシンから降り立ち、ヘルメットを脱ぐ間も惜しんでスタッフと握手。それからヘルメットを脱ぐと10周の激戦の名残を感じさせる上気した表情で笑顔をつくった。

 2023年のスーパーFJはこれにて全て終了。来シーズンに向けてステップアップを模索する者、巻き返しを目指す者、そして新たな道を探す者などそれぞれのシーズンオフが始まる。

 来年の日本一決定戦は鈴鹿サーキットで開催予定だ。

決勝がスタートした

小田優と白崎稜のし烈なトップ争い

優勝は小田優(AUTOBACS Drago CORSE KK-SII)

決勝2位は白崎稜(TAKE FIRSTスタッフリソース&QUICK羽生)

決勝3位は田中風輝(24systemタイヤサービスM2 KK-SII)

決勝4位は堂園鷲(Kデンタルオフィス☆ミスト)

決勝5位は渡会太一(FTKレヴレーシングガレージ)

決勝6位は池内比悠(群馬トヨペットRiNoA ED)

ゴールシーン

表彰式

ジェントルマンクラスの表彰式

Text: Junichi SEKINE
Photo: Kazuhiro NOINE
Mizue NOINE
Asako SHIMA


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