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第5戦鈴鹿決勝 ホンダNSXが両クラス制覇! GT500は16号車ARTA MUGEN NSX-GTが今季初優勝

GT500クラス優勝はARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹)

GT300クラス優勝はUPGARAGE NSX GT3(小林崇志/小出峻)

 2023オートバックス スーパーGT第5戦「鈴鹿GT450kmレース」の決勝が8月27日、三重県の鈴鹿サーキットで行われ、GT500クラスは16号車ARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹)、GT300クラスは18号車UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/小出峻)が優勝、両クラスをホンダNSXが制するという結果となった。

(天候:晴れ コース:ドライ 観客動員数:予選日12,500人/決勝日20,500人/大会総入場者数31,000人)

 第5戦決勝は午後2時45分、三重県警の白バイ8台、パトカー3台の先導で始まった。周回数は77(447.139km)。スタート時の気温は31℃、路面温度は50℃だ。

GT500クラスのスタートシーン

 スタートでトップに立ったのはポールの大津弘樹(ARTA MUGEN NSX-GT)。ロニー・クインタレッリ(MOTUL AUTECH Z)が2位で続く。3位は松下信治(Astemo NSX-GT)だ。

 16大津のリードは1周目0秒355、2周目には1秒624、3周目には2秒239とわずかながら着実に広がっていき、5周を終えた時点で3秒062となる。その頃にはGT500の上位陣が次々にGT300車両を周回遅れにし始める。

 ここでポイントリーダーの千代勝正(Niterra MOTUL Z)がわずか6周で最初の給油作業を行う作戦に出た。3号車はサクセスウェイトとリストリクター制限の影響からか予選が振るわず10番手スタートとなっており、これで上位進出を図る狙いだ。野尻智紀(ARTA MUGEN NSX-GT)も8周目に最初のピットイン。狙いは3号車と同じだろう。

 そして上位陣が11周目に入ったところでGT300クラスの片山義章(DOBOT Audi R8 LMS)の左リヤホイールが脱落するアクシデントが発生。6号車DOBOT Audi R8 LMSはS字でコースを飛び出し、グラベルに捕まった。

 これによりこの日最初のフルコースイエロー(FCY)が宣言されるが、ここでトップの16号車はピットレーンが閉鎖される寸前にピットに飛び込み、最初の給油作業を行った。この時6位を走っていた平手晃平(リアライズコーポレーションADVAN Z)も同様に給油を行ったが、こちらはピットクローズ後の作業と判定され、60秒のペナルティストップを課せられて勝負権を失うことに。

 隊列が12周目に入ったところでFCYは解除となる。この時点の順位は23号車MOTUL AUTECH Zがトップで17号車Astemo NSX-GTが2位、以下64号車Modulo NSX-GT、38号車ZENT CERUMO GR Supra、1号車MARELLI IMPUL Zと続き、16号車は12位、3号車は14位、8号車は15位だ。

 15周目には立川祐路(ZENT CERUMO GR Supra)が1コーナーで伊沢拓也(Modulo NSX-GT)を捉えて3位に浮上した。そしてここで7位を走っていた関口雄飛(DENSO KOBELCO SARD GR Supra)が最初の給油作業を行った。

 17周目には大嶋和也(ENEOS X PRIME GR Supra)も最初のピット作業を行う。

 トップに立った23号車は15周終わって3秒512、16周終わって3秒685と着実にリードを広げていたが、こちらも18周目にピット作業を行ったため、ここで17号車がトップに浮上、2位は38号車、3位64号車、4位1号車、5位が19号車WedsSport ADVAN GR Supraとなり、すでに最初の給油を終えた16号車が6位、23号車は9位。以下3号車、14号車、39号車、100号車STANLEY NSX-GT、37号車Deloitte TOM'S GR Supraと続き、8号車が最後尾の15位だ。

 トップの17号車は19周終了時点で2位の38号車に8秒570差をつけていたが、その後徐々に38号車との差が詰まり始め、25周目には5秒305となる。

 この間に16号車は21周目のヘアピンで国本雄資(WedsSport ADVAN GR Supra)のインに飛び込んで5位に浮上していた。

 26周終わりで3位を走っていた64号車がピットイン。伊沢から太田格之進に交代する。これで1号車が3位に浮上したが、27周目には17号車、38号車、1号車の上位3台が同時にピットイン、そのままの順位でコースに戻っていく。38号車と1号車はここでドライバー交代を行い、スタートドライバーを務めた立川祐路は観客に手を振って鈴鹿でのラストランを終えた。

 これにより16号車が再びトップに。まだ給油を終えていない宮田莉朋(au TOM'S GR Supra)を挟んで23号車が3位となる。この時点での両者の差は40秒757。FCYの直前でピット作業を行った16号車の目論見は見事に的中している。

 以下、3号車が4位、20周目に14号車を抜いてきた39号車が5位だ。また17号車はアウトラップで100号車、14号車の先行を許し、8位となっている。

 36号車は29周目にピットに入り、23号車が2位に。16号車との差は38秒405と縮まっている。ここはタイヤの消耗度合いの差か。

 32周目には1コーナーで39号車の関口が3号車の千代を大外がら抜き去って3位に上がってきた。

 その後も3号車はペースが上がらず、35周目の西ストレートで14号車の大嶋と山本尚貴(STANLEY NSX-GT)に立て続けに抜かれ、シケインでは17号車、36周目の1コーナーでは笹原右京(Deloitte TOM'S GR Supra)がイン、太田格之進(Modulo NSX-GT)がアウトから3号車を抜き去っていった。太田はここで笹原をも抜いて7位に浮上している。

 さらに36周目には石浦宏明(ZENT CERUMO GR Supra)も3号車を抜いて9位に浮上している。

 その後も3号車の千代は38周目の130Rで平峰一貴(MARELLI IMPUL Z)にも抜かれ、39周目に2度目のピット作業を行って高星明誠に交代した。

 これを皮切りに、各チームが相次いで2度目の給油作業を行うことになる。

 41周目に38号車がピットイン。42周目に23号車と17号車がピットイン。ここで23号車は松田次生、17号車は塚越広大に交代。43周目に39号車がピットインして中山雄一に交代。そして44周目にはトップの16号車がピットインし福住仁嶺に交代した。このほか14号車、8号車、24号車もここでドライバーを交代した。

 45周目に100号車が2度目のピットイン。山本から牧野任祐に交代した。牧野にとっては今週末初めてのドライブだ。46周目に64号車と19がピットイン。48周目には37号車がピットイン。ここでジュリアーノ・アレジに交代した。

 そしてトップが50周目に入ったところでこの日2度目のFCYが宣言される。GT300クラスのジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(リアライズ 日産メカニックチャレンジGT-R)が45周目を走行中に西ストレートで右リヤホイールが脱落、これによりコントロールを失った56号車は130Rを飛び出してクラッシュしたためだ。

 51周目にFCYは解除となり、この周で1号車がピット作業を行った。

 54周目に36がピットイン。これでGT500は全車が給油義務を消化した。順位は16号車がトップ、23号車が2位で39号車が3位。以下17号車、38号車、14号車の順だ。

 57周目のシケインでは山下健太(ENEOS X PRIME GR Supra)が大外から38号車を捉えて5位に浮上。塚越広大(Astemo NSX-GT)も39号車を追い上げていたが、塚越は58周目のデグナーで勢い余って片岡龍也(グッドスマイル初音ミクAMG)を押し出してしまい、黒白旗を受けてしまう。ここですかさず前に出た山下は、すぐさま39号車のテールに食らいつく。

 59周終わって16号車は12.983のリード。23号車との差はかなり詰まってきた。

 61周目のヘアピンでは大湯都史樹(ARTA MUGEN NSX-GT)がジュリアーノ・アレジ(Deloitte TOM'S GR Supra)のインをこじ開けて一時10位に浮上するも、この時の接触で右フロントタイヤにダメージを負ってしまう。この影響で8号車はスプーンカーブでコースを逸脱。さらに130R出口でも飛び出してしまう。これにより3度目のFCYが宣言されたが、大湯はスロー走行でなんとかピットに戻ってきたため、直ちに解除となったが、8号車はFCY中にタイヤ交換を行ったということで60秒のペナルティストップを課せられてしまった。

 63周目には、ここまで苦しい走りを強いられてきた坪井翔(au TOM'S GR Supra)が37号車を抜いて11位に。さらに阪口晴南(WedsSport ADVAN GR Supra)に迫っていく。

 結局、16号車ARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹)は23号車の猛追を受けながらも10秒045の大差のまま77周を逃げ切り、ARTAとNSXにとっての今季初、福住にとっては自身通算5勝目をものにした。大津にとってはこれがGT500初優勝だ。

 23号車MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)は2番目にチェッカーを受けたが、レース後の車検でスキッドブロックの厚みが規定を下回っていることが判明し、失格となってしまった。

GT500クラス決勝2位はZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明)

GT500クラス決勝3位はENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)

 これにより39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一)は2位、14号車ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)が3位という結果となった。

 ポイントリーダーの3号車Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)は12位でノーポイントに終わったものの依然としてドライバーズランキングトップの49ポイント。36号車au TOM'S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)は10位で1ポイントを獲得して45ポイントとその差は4ポイントに詰まった。今回優勝の福住仁嶺/大津弘樹組が37ポイントで3位に浮上した。

GT300クラスのスタートシーン

 GT300は山内英輝(SUBARU BRZ R&D SPORT)がスタートからトップを快走、2位に新田守男(K-tunes RC F GT3)、3位に片岡龍也(グッドスマイル初音ミクAMG)とここまでは予選順位のままだったが、その後方では5周を過ぎたあたりから最初の給油義務を消化するチームが相次ぐ。

 5周目には50号車、5号車、7号車、2号車、360号車、6周目には65号車、31号車、52号車。7周目には20号車がピットインして上位進出を目論む。

 10周目にはFCYが宣言されたが、GT300ではこれに乗じるチームは現れなかった。

 11周目には4号車が96号車を捉えて2位に。13周目のNippoコーナーでは坂口夏月(Bamboo AirwaysランボルギーニGT3)が96号車のインにねじ込んで3位に、その後方では元嶋佑弥(JLOCランボルギーニGT3)がスプーンで吉本大樹(Syntium LMcorsa GR Supra GT)を捉えて5位に浮上してきた。

 96号車は15周目に88号車の先行を許す。さらに名取鉄平(リアライズ 日産メカニックチャレンジGT-R)も16周目の逆バンク立ち上がりでインから96号車を抜き去っていった。

 トップの61号車は16周目に最初のピットイン。2位の4号車は18周目にピットイン。これにより87号車がトップに浮上し、88号車が2位。以下56号車、18号車、10号車と続き、この時点で96号車は6位まで後退してしまった。61号車はこの時点で14位につけていた。

 20周目のスプーンではタイヤ交換をした61号車がタイヤを交換しなかった20号車をインから抜いて13位に。

 21周目に4位の18小林がピットイン。トップの87号車と3位の56号車は24周目、2位の88号車は25周目に最初のピット作業を行った。

 26周目には61号車が荒聖治(Studie BMW M4)をNippoコーナーでパス。これで5位まで挽回してきた。さらに32周目のシケインで50号車を抜いて3位に浮上すると、41周目には88号車をも捉えてトップに復帰し、そのままピットに飛び込み、2度目のピット作業を行って井口卓人に交代した。

 そして上位陣が45周目に入ったところで、それまで3位を走っていた56号車のアクシデントが発生する。ここですかさずピットに飛び込んだのがこの時点で4位と5位を走っていた87号車と18号車。直後にレースコントロールからはFCYが宣言され、この2台は大きなアドバンテージを得ることとなった。

 FCYが解除されると、トップを走行していた88号車と4号車は47周目にピットイン。

 これで松浦孝亮(Bamboo AirwaysランボルギーニGT3)に先んじてコースに戻った小出峻(UPGARAGE NSX GT3)がトップに浮上する。

 松浦は激しく小出を追い上げるが、小出は最後まで松浦に付け入る隙を与えず、18号車UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/小出峻)が開幕戦岡山以来の今季2勝目を挙げた。

GT300クラス決勝2位はBamboo AirwaysランボルギーニGT3(松浦孝亮/坂口夏月)

GT300クラス決勝3位はSUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)

 2位は87号車Bamboo AirwaysランボルギーニGT3(松浦孝亮/坂口夏月)、3位には3度目のFCYが解除されたタイミングですかさず88号車を捉えた61号車SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)が入った。

 次戦の舞台は宮城県のスポーツランドSUGO。9月17日決勝だ。

GT500クラスの表彰式

GT300クラスの表彰式

レース終了後の花火

Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI


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