筑波・富士S-FJ選手権

S-FJ:第6戦筑波公式予選 ランキング2位の安田が逆転の布石となるポールポジションを獲得

 2021年JAF筑波/富士スーパーFJ選手権シリーズ地方選手権第6戦予選が10月24日(日)に筑波サーキットで開催され、前回第5戦の勝者でシリーズランキング2位の52号車・安田航(Fガレージ&SウインズSII)がポールポジションを獲得した。

ポールポジションは安田航(Fガレージ&SウインズSII) 予選2位は関根陽幹(オートルック☆10V) 予選3位は野島遼葵(Deep-R・10V・ED) 予選4位は本田千啓(オートルック☆モダン☆10V) 予選5位は宇高希(TAKE FIRST 10V) 予選6位は澤井良太朗(ELEVレーシング10V ED) 予選7位は田上蒼竜(ZAP SPEED 10V ED) 予選8位、マスタークラスポールポジションの秋山健也(スーパーウインズKKS・ED)

 好天気に恵まれた筑波サーキットは朝4度まで冷え込んだが温度は上昇傾向にある。筑波での最終レースという事もあり各車好タイムが期待された。前日の練習走行では、前回も指摘があった舗装の切れ目について、特に第1ヘアピンへの進入箇所で新→旧と路面が変わる部分の段差で姿勢を乱すマシンが散見された。今回のレースに出場するマシンは東京R&Dの「RD10V」とMYSTの「KK-S II」の2車種だが、比較的足がしなやかなKK-S IIの方がこの段差をうまくいなしているのに対し、足が堅めの10Vの方が苦労するという声があった。

 それでもレース当日となると各チームうまく合わせ込みを行い、出場17台中なんとトップから14位までが1分を切って0.889秒以内の差に収まるという接近した予選となった。

 今回野島と安田のチャンピオンシップの争いとは別に注目なのが4人の初出場選手だ。ZAP SPEEDから2名、9号車・山下友基(ZAP SPEED 10VED)と13号車・田上蒼竜(ZAP SPEED 10VED)、共にレーシングカートからのステップアップだ。

 そして今年のもてぎ・菅生シリーズを制したRiNoA Racing projectから39号車・内田涼風(RiNoA NRS ED)、こちらもレーシングカート出身ドライバー。

 さらにELEV RacingDreamからは、72号車・川戸育真(ELEVレーシングKKSII)。彼はSIMレース出身で参戦に向けてレーシングカートでトレーニングはしたが実車でのレース経験はほぼない。

 内田はもてぎ・菅生シリーズ、川戸筑波シリーズと、すでに来年のシリーズ参戦が予定されており、今回はそれに向けて実戦経験を積むのが目標である。

 午前10時10分、前回優勝の安田を先頭に全車スリックタイヤでコースイン。20分間の予選が開始された。インラップの途中でランキング首位、前回2位で安田に続いてコースインした66号車・野島遼葵(Deep-R・10V ・ED)が安田に誇示するかのように前に出て、先頭で計測ラップを開始する。

 2分が経過して、まずは1号車・関根陽幹(☆オートルック10V☆)が1分0秒436でトップタイムをマーク、2番手野島1分0秒733、3番手安田1分0秒988と上位はいきなり1分0秒台からの入りとなった。

4分経過し野島がまっさきに59秒711と1分を切るが、直後にコントロールラインを通過した関根が59秒598でトップの座を奪い返す。安田に続く4番手にはルーキー田上。田上は続く周回で早くも59秒台に入れてくる。

 6分経過時点で安田が59秒324でトップに立ち、関根は59秒351までタイムを刻むが2番手にドロップ、3番手は59秒490で野島、さらに7号車・本田千啓(オートルック☆モダン☆10V)が59秒574で4番手に上がってくる。マスターズクラストップの3号車・秋山健也(スーパーウインズKKS・ED)が59秒731で5番手、91号車・澤井良太朗(ELEVレーシング10V ED)が59秒736で6番手へとそれぞれ浮上し田上7番手、続いてルーキー内田も59秒999と1分を切って8番手に進出。同じくルーキーの川戸は13番手、山下15番手で共に1分を切れずにいる。

 7分30秒経過時点で関根が59秒248を出し再びトップに立ち安田2番手へ。さらに田上が59秒637で5番手へ挽回する。そして8分20秒経過時点で安田がベストタイムとなる59秒108を叩き出してトップ奪回。2番手関根は0.14秒差。3番手野島も59秒318と自己ベスト更新し3番手を保持。本田、田上、秋山と続く。

 ここからしばらくトップグループは順位変動が起きないが、その後方では田上が59秒464までタイムを短縮して4番手へ上がるも 13分経過時点で澤井が59秒449で4番手へ進出、今年春のデビュー以来、予選の一発が課題だった澤井だが1年間の成長ぶりを見せる。SIMレーサー川戸も59秒864と1分を切って11番手に上がる。

 さらに73号車・下村剛司(SウィンズKENS2 ED)と、今年3月のもてぎで優勝を飾って以来のスーパーFJレースになる33号車・宇髙希(TAKE FIRST 10V)が59秒台に入れて9番手、10番手へと浮上する。宇高はこの後周回の都度タイムを詰めて、59秒744で8番手→59秒689で7番手→59秒522で6番手へ。ベテランとは言え、このレースウィークに初めてスーパーFJで筑波を走ったとは思えない習熟の早さで順位を上げていく。

 17分経過、4位以下のグループの順位変動でポジションを落としていた本田が59秒363を出して再び4番手へ浮上、澤井以下を押しのけると次の周回で59秒340の自己ベストを出してその座を守る。さらに勢いに乗る宇高が59秒373までタイムを削り取り5番手へ。澤井、田上は6番手、7番手へ後退。

 結局トップ3は中盤でのタイムで順位が決着。連勝でチャンピオンシップ逆転の布石を打ちたい安田がポールポジションを獲得。上位ランカーだがまだ優勝経験のない関根が0.14秒差でフロントロウに並び、安田の背後3番手にランキング首位の野島、その隣4番手にこのところ予選でコンスタントに速い本田が並び、ここまで安田から僅かに0.232秒の差。3列目には筑波初レースの宇高と始めてのシーズンの決算となる澤井が並んだ。それ以下なんと14番手内田までが59秒台に入るという最近になく接近した予選となった。

 マスターズクラスは全体8位の秋山が唯一59秒台に入れてトップ。全体15位の46号車・本間隆史(MAT Racing10VED)、全体16位の71号車・ハヤシヒロキ(真不同ゼンカイレーシングED)、同17位の82号車・稲生 幸敏(NRS TWS-ED KKSⅡ)。という順になった。

■予選後のコメント

ポールポジション 52号車・安田航(Fガレージ&SウインズSII) 59秒108

ポールポジションの安田航(Fガレージ&SウインズSII)

 「久しぶりのポールポジションです(笑)。(58秒台行けそうだった?)目指してはいたが、正直なところ59秒1が出るとは思っていなかった。昨日までの練習の調子でも行けて59秒前半かなと思っていて、なので予想外のタイムだ。(ポイントリーダー野島選手を後ろに従えてのスタートになるが?)逃げ切るしかない。チャンピオン争いは次の富士まで決着つかないと思うが、今回でポイント逆転できるように頑張る」

2位 1号車・関根陽幹(☆オートルック10V☆) 59秒248 トップと0.140秒差

予選2位の関根陽幹(オートルック☆10V)

 「(接戦の予選だったが?)掲示タワー見てなかったので・・、タイムを見たら2番手だとわかった。昨日から調子がよくて、練習通りに走ればトップ狙えるかな、という感じだった。決勝に向けては、まずスタートを失敗しないようにすることだ」

3位 66号車・野島遼葵(Deep-R・10V ED) 59秒307 トップと0.199秒差

予選3位の野島遼葵(Deep-R・10V・ED)

 「(調子はいい?)感触的にはすごくよかったのだが、第2セクターのまとまりが悪かった。事前に指摘されていた修正点もうまく対応できなかったのでこのタイムで終わってしまった。決勝に向けてはタイム差がないので(トップの)後ろについてチャンスはいっぱいあると思う」

4位 7号車・本田千啓(オートルック☆モダン☆10V) 59秒340 トップと0.232秒差

予選4位の本田千啓(オートルック☆モダン☆10V)

 「(拮抗した予選だったが?)59秒5を出しても7番手だったので、これは厳しい予選だと思っていた。最後の方で(他のマシンに)引っかかりながらもベストタイムが出せたので、(あのタイムを)もうちょい早く出しておけば(もっと上位に行けたか)な、と思う。(シリーズも終盤だが?)決勝に向けてはこれだけタイムが接近していると、拮抗したレースになると思う。自分はあまり拮抗すると気持ちに余裕が無くなるので、そこは余裕を持って走りたい。そのうえでもうちょい頑張りたいと思う」

5位 33号車・宇髙希(TAKE FIRST 10V) 59秒397 トップと0.289秒差

予選5位の宇高希(TAKE FIRST 10V)

 「(終盤にポンとタイムが上がってきたが?)他の選手と自分で走るラインが違っていて、正直まだ練習のつもりで走っていた。それで結果的に59秒4が切れたので、5番手で悔しいがちょっと安心もした。(決勝に向けては?)自分はレース経験が結構あるので、うまく展開を読んで、上位にあがれたらなと思う」

6位 19号車・澤井良太朗(ELEVレーシング10V ED)59秒449 トップと0.341秒差

予選6位の澤井良太朗(ELEVレーシング10V ED)

 「(59秒台に入れたが?)計測器壊れてるのかと思った(笑)。それほど手応えなくて、それがこんなタイムだったので・・。それなりに(走りを)まとめはしたのだが、まだベストな走りという訳ではなかったし、ミスも何か所かあった。その中でのこのタイムだったので、トップの59秒1は狙うことができそうな乗り心地だった。(途中からタイムが向上しだした印象だが?)自分はニュータイヤの経験があまりなくて、しっかり使い切れていない部分があると思う。それで少し走った後でグリップ落ちてきた時の方が、扱いやすい印象がある。決勝はいまだにスタートが課題なので、今回こそロケットスタート決められるように頑張る」

12位 72号車・川戸育真(ELEVレーシングKKSII) 59秒864 トップと0.756秒差

予選12位の川戸育真(ELEVレーシングKKSII)

 「(始めての予選を終えての感想は?)順位は低かったが1分を切ることができた。ニュータイヤで走るのは初めてだったが、しっかりアジャストできて、自分のベストタイムを出すことができたのでよかった。(ニュータイヤの感触はすぐに掴めた?)最初の2~3周で掴んで、いつもより(コーナーで)突っ込んでみたり試したら丁度いい感じで、いいタイムが出せた。(SIMレースと違う点は?)SIMだといつも最初から新品タイヤでスタートなので(笑)、ユーズドとの違いはあまりわからない。実車は中古タイヤで練習していたので新品タイヤとの差というのがずいぶんあるという事を知った。想像以上のグリップだった。決勝に向けては12番手スタートだが一つでも上の順位でゴールできるように、積極的にオーバーテイクしてみようと思う」

チーム監督 前田大道

 「川戸選手はSIMレース出身、それもドリフトを主に行っていたので、他のマシンに揉まれて戦う実戦経験がない。下位から混戦の中でスタートになるので、その点がちょっと心配ではある」

14位 39号車・内田涼風(RiNoA NRS ED) 59秒999 トップと0.881秒差

予選14位の内田涼風(RiNoA NRS ED)

 「昨日からちょっとセッティングに悩んでいて、ニュータイヤでコンマ5秒くらいはタイム上がったが、まだちょっと踏み切れていない部分がある。初めてニュータイヤ履いたので、データもなかったので厳しかった。練習では雨が多くて、雨だとトップタイムが出せたりもしたが、ドライでニュータイヤというのは経験なかったのでセッティングも合わせ込めなかった部分がある。(後方からのスタートになるが?)気合入れて空いてるところを突いて、どんどん入っていくしかない。トップ集団は遠いが、スタートの1周目で勝負仕掛けて行こうと思う」

 決勝は13時45分スタート予定。ポールスタートの安田が連勝でランキングトップの野島を逆転できるか。逆に野島が突き放すか、あるいは新たな勝者が現れるのか。拮抗したタイム差はスタートから目が離せない展開を予想させる。注目だ。

Text: Junichi SEKINE
Photo: Kazuhiro NOINE
Asako SHIMA


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