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Japanese F3

JF3:コラム 海外チームが引き起こした波紋〜いま全日本F3でなにが起きているのか〜

今シーズンからモトパークやカーリン・モータースポーツなどの海外チームが参戦して、より一層ハイレベルな戦いが繰り広げられている全日本F3選手権。

しかし先日行われた第10戦SUGOにおいて、その海外チームが投げかけた疑問が、関係者を困惑させる事態となっている。

トムスのリアウイング・キャンバープレート

トムスのリアウイング・キャンバープレート

モトパークのリアウイングキャンバープレート

モトパークのリアウイングキャンバープレート


ことの経緯はこうだ。

第10戦決勝が終わった時点でB-Maxレーシングwithモトパーク(以下、モトパーク)より、宮田莉朋のドライブする36号車が車両規則に違反しているのではないかという抗議が出された。その根拠として彼らが示したものがFIAの発行する「ホモロゲーションフォーム」なる書類だった。

しかしその時点では審査委員会やF3協会を含め、日本の関係者の誰一人としてその書類の存在を知らなかった。日本でのダラーラシャシーの輸入代理店であるルマン商会の担当者ですら把握していなかったという。

そこでF3協会からFIAの技術代表であるロバート・マース氏に「これは何だ」と問い合わせたところ、「ダラーラシャシーの大幅なアップデートがあった2017年に、ヨーロッパ選手権向けに発給したものだ」との回答があった。ヨーロピアンF3に参戦するすべてのチームに対して配布されているとのことだ。

そこには使用が義務付けられる公認パーツの一覧が記載されており、第10戦で問題となったリヤウィングのキャンバープレート(翼端板内側に取り付けられている、ウィング角度を調整するための部品)も含まれていた。

しかし、それまで全日本F3選手権の運用に用いられてきたFIA国際モータースポーツ競技規則附則J項275条(フォーミュラ3技術規定)やFIAテクニカルリストNo.11(F3で公認された構成部品)にはその記載はなかったため、トムスではこのパーツを自作して使用していた。ただしこの自作パーツはダラーラの純正品を忠実にコピーしたものであり、ウィング角度を調整するための穴の位置や数などは全く同じに作られている。調整幅を広げてより多くのダウンフォースを得るなどの機能は全くない。チーム側に違法パーツであるとの認識はこれまでなかったし、昨年このクルマで参戦したマカオGPにおいても、この件が問題になることはなかったという。

SUGOの大会審査委員会はこの件についてJAFに裁定を仰ぐこととした。F3協会からも、ヨーロッパ向けに発給された書類である旨をJAFには伝えたという。

同時に、F3協会としては今後も同様の事態が起きないよう、ホモロゲーションフォームを印刷して各チームに配布し、自己防衛を呼びかけた。
つまり、今まではFIA国際モータースポーツ競技規則附則J項275条とFIAテクニカルリストNo.11に基づいて運営を行ってきたが、今後はこのホモロゲーションフォームにも法っていないと失格になる可能性があるということ。

そして7月11日。JAFの回答を得てSUGOの審査委員会が裁定を下した。モトパークの抗議が受け入れられ、宮田莉朋は車両規則違反により失格に。F3協会の懸念は現実となった。

JAFとしては、このホモロゲーションフォームはFIA発行の公式なものであり、全日本選手権においても有効であると判断したようだ。
技術代表は「ヨーロッパ向け」と発言しているものの、書類自体に"Only for European Championship"などの記述がなく、しかもFIAの捺印と技術代表の署名がされている以上、これは附則J項同様に尊重されるべき規則であると解釈したと推測される。

今後、同選手権に参戦するチームはホモロゲーションフォームに記載されている公認パーツを使用して競技に臨まなければならないことが決定的となった。

「今後」についてはそれでやむを得ないのかもしれない。すでに次のモデルが発表されてしまった現在、ダラーラが現行車両のパーツをどれだけストックしているのか、そのうちのどれだけが日本へ供給可能なのか、残りわずか3大会となった今、チームにさらなる負担を強いることにどれほどの正義があるのかといった疑問はあるものの、裁定が出た以上は従わざるを得ない。

しかし宮田を失格とすることが適当であったのかは大いに疑問だ。すでにヨーロッパ選手権では2017年から運用されていたとはいえ、これまで全日本選手権では全く知られていなかった規則書である。レース終了時点で大会審査委員会ですら把握していなかったものを根拠に裁定を下すことはいわば法の遡及ではないのか。

ここは「今回は良しとするが、次回からは許されない」とすべきだったのではないだろうか。「ヨーロッパ選手権向けの規則書であり、本選手権においては無効である」という判断もできたのではないか。

この裁定を受け、富士大会では第12戦決勝が行われた14日午前9時30分より大会の技術委員がJAFの技術部会立ち会いのもとで参加車両すべてのチェックを行い、「問題なし」との結論を出したという。宮田もそのクルマで第12戦を戦い、3位という正式結果を得ている。モトパークからの抗議は出なかった。

なお、宮田は第11戦決勝においてもモトパークからの抗議により、車両規則違反で失格となっているが、これはフロントウィングの公認部品の一部に面取り加工をしていたことが違法と判定されたもので、今回の件とは全く別のものだ。本人がそう思ったかどうかは定かでないが。

ともあれ、残り3大会はコース上のみで決着がつくことを切に願う。将来を担う若者たちの研鑽の場に、政治的な争いごとは相応しくない。

次戦の舞台はスポーツランドSUGO。7月27-28日開催だ。

Text & Photo: Kazuhisa SUEHIRO


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