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SGT:第6戦富士決勝 KEIHIN HSV-010が2位表彰台、ウイダーモデューロHSV-010はチャンピオン争いのトップに! (HONDA)

  • 2013年9月8日(日)・決勝  会場:富士スピードウェイ(4.563km)  天候:曇りときどき雨 気温:29℃(14:00時点) 路面温度:35℃(14:00時点)  コースコンディション:ドライときどきウエット  観客:3万2800人

 9月8日(日)、静岡県駿東郡小山町にある富士スピードウェイにおいて、2013 オートバックス SUPER GT第6戦「FUJI GT 300km RACE」の決勝レースが行われました。

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gt130908001L.jpg  7日(土)の公式予選では、#18 ウイダー モデューロ HSV-010(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ組)が3番手、そして#100 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/小暮卓史組)が4番手となり、2台のHSV-010 GTが2列目グリッドを占める形となりました。さらに#17 KEIHIN HSV-010(塚越広大/金石年弘組)は8番グリッド、#8 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/松浦孝亮組)は11番グリッド、#32 Epson HSV-010(道上龍/中嶋大祐組)は15番グリッドから、決勝レースを戦います。

 決勝レースが行われる日曜日は、朝から小雨がぱらつくあいにくの空模様となりました。フリー走行が始まった午前9時の段階でも路面は完全にウエットで、各車、水しぶきを大きく上げながら走行しました。ここでは#18 ウイダー モデューロ HSV-010が4番手のタイムをマークしてHonda勢のトップに立ったほか、#8 ARTA HSV-010は6番手、#100 RAYBRIG HSV-010は7番手、#17 KEIHIN HSV-010は8番手、#32 Epson HSV-010は11番手となりました。

 フリー走行が終わると、雨はいったん止み、午後になるとコースは完全なドライコンディションとなりました。午後2時、1周のフォーメーションラップに続くローリングタートにより、66周の決勝レースが幕を開けました。スタートドライバーは、#18 ウイダー モデューロ HSV-010は山本選手、#100 RAYBRIG HSV-010は伊沢選手、#17 KEIHIN HSV-010は金石選手、#8 ARTA HSV-010はファーマン選手、#32 Epson HSV-010は道上選手です。

 5名のHondaドライバーは、順調にスタートを切り、山本選手は3番手、伊沢選手は4番手、金石選手は8番手と、予選順位を守ってオープニングラップを走りきりましたが、ファーマン選手は2台を追い抜いて9番手に浮上。道上選手もライバルの1台を攻略し、14番手でオープニングラップを終えました。

 レース序盤、GT500クラスのマシンは、接近戦を展開しながら周回を重ねていきます。そうした中、#100 RAYBRIG HSV-010に乗る伊沢選手は、3番手を走る山本選手の#18 ウイダー モデューロ HSV-010にたびたび接近。8周目の1コーナーで#100 RAYBRIG HSV-010はついに3番手に浮上し、#18 ウイダー モデューロ HSV-010は4番手となります。#18 ウイダー モデューロ HSV-010は、タイヤのグリップに苦しんだために、その後もペースが伸び悩み、9周目には5番手、10周目には8番手、14周目には9番手と後退していきます。

 15周目の段階で#100 RAYBRIG HSV-010は引き続き3番手、#17 KEIHIN HSV-010は8番手、#18 ウイダー モデューロ HSV-010は9番手、#8 ARTA HSV-010は10番手、#32 Epson HSV-010は15番手となりました。

 19周目、ホームストレートを走行していた#32 Epson HSV-010の左リアタイヤに、トラブルが発生。マシンはコントロールを失ってガードレールに接触するというアクシデントが起こります。幸い、ステアリングを握る道上選手は無事でしたが、ストレート上にパーツが散乱したため、20周目にセーフティカーが導入されました。間もなく、各マシンはストレート上にGT500クラスとGT300クラスとが分かれて整列し、GT500クラス、GT300クラスの順で、セーフティカーランが再開されました。これらが終わった22周目、それまで進入禁止とされていたピットレーンがオープンとなり、GT500クラスではライバルの1台を除く全車がピットストップを実施。給油、タイヤ交換、ドライバー交代を済ませてからコースに復帰していきました。

 ここでいち早く作業を終えたのが、#17 KEIHIN HSV-010で、4番手となってピットアウト。それに続いたのが#18 ウイダー モデューロ HSV-010の7番手で、#100 RAYBRIG HSV-010は9番手、#8 ARTA HSV-010は11番手となってセーフティカーが率いる隊列に加わりました。

 24周目が終わったところでセーフティカーランは終了し、競技が再開されます。後半を担当するドライバーは、#17 KEIHIN HSV-010が塚越選手、#18 ウイダー モデューロ HSV-010がマコヴィッキィ選手、#100 RAYBRIG HSV-010が小暮選手、#8 ARTA HSV-010が松浦選手となります。

 25周目、塚越選手はライバルの1台を攻略し、3番手に浮上します。その直後、#100 RAYBRIG HSV-010がピットインします。これは、GT300クラス車両の1台に接触した際にラジエターが破損したことで、そこから冷却水が漏れ出し、その状態で走行を続けるとオーバーヒートを起こす恐れがあったためにとられた措置です。結局、#100 RAYBRIG HSV-010はこのままリタイアとなりました。

 34周目、2番手を走るライバルマシンに、セーフティカーランのあとに反則スタートを行ったとして、ドライブスルーペナルティーが科せられます。この車両が36周目にペナルティーを消化すると、#17 KEIHIN HSV-010は2番手に浮上しました。これと前後して小雨が降り出し、路面はやや湿った状態となります。このコンディションでは、塚越選手が群を抜いて速く、トップを走るライバルにじわじわと迫っていきました。

 一方、#18 ウイダー モデューロ HSV-010はピットストップの際にタイヤ交換を行ったことで、ペースをやや取り戻し、37周目には6番手、40周目には5番手へとポジションを上げます。同じく40周目、ライバルの脱落などに助けられて、#8 ARTA HSV-010もポイント圏内の8番手までポジションを上げていました。

 42周目、セーフティカーランの際に、唯一ピットストップを行わず、トップを走行していたライバルの1台がピットに入りました。このとき、塚越選手はライバルのすぐ後ろを走っていたために、ストレートでの加速が一瞬鈍り、それまで3番手を走行していたライバルに先行を許します。2番手となった塚越選手は、新たにトップに浮上したライバルを懸命に追走。これと前後して、コース上では再び雨が降るようになりますが、コースが濡れ始めると塚越選手は速く、トップとの間隔をじわじわと詰めていき、その差はときに0.5秒ほどまで縮まりました。しかし、雨が止んでコースが乾き始めると、2台の間隔は再び広がってしまいます。もっとも、レースは残り20周近くあり、今後のコンディション次第では、#17 KEIHIN HSV-010がトップに立つ可能性は十分にあると思われました。

 しかしその後は、残念ながら雨脚が強くなることはなく、#17 KEIHIN HSV-010はトップを追い詰めることができないまま周回を重ねていきます。最終的に#17 KEIHIN HSV-010はトップと2.8秒差で66周を走りきり、2位表彰台を手に入れました。そして、#18 ウイダー モデューロ HSV-010は5位、#8 ARTA HSV-010は8位となり、完走を果たした3台のHSV-010 GTがそろってポイントを獲得することとなりました。

 この結果、チャンピオン争いのドライバー部門において、合計46点を獲得した#18 山本/マコヴィッキィ組(ウイダー モデューロ HSV-010)がライバルの1チームと同点でトップに浮上。そして、今回15点を追加して41点とした#17 金石/塚越組(KEIHIN HSV-010)は、チャンピオン争いの5位につけています。#100 伊沢/小暮組(RAYBRIG HSV-010)は、今回リタイアに追い込まれたため総合7位に後退しましたが、それでもポイントリーダーとの差は9点で、逆転タイトルの可能性を残しています。さらに#8 ファーマン/松浦組(ARTA HSV-010)は31点で11位、#32 道上/中嶋組(Epson HSV-010)は3点で15位となっています。優勝はポールポジション(PP)からスタートした#38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平組)でした。

 一方、Hondaが開発したレーシングハイブリッドシステムを搭載する、GT300クラスの#16 MUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中山友貴組)と#55 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志組)は、土曜日の予選で#55 ARTA CR-Z GTがPP、#16 MUGEN CR-Z GTが3番グリッドを獲得。日曜日の決勝レースでも、序盤は2台そろってトップ3のポジションを守ったまま周回を重ねていきました。ただし、#55 ARTA CR-Z GTは他車との接触により、リアディフューザーの一部を破損。これがリアタイヤに干渉していたため、13周目にピットストップを行って応急措置を施しました。この影響で#55 ARTA CR-Z GTは一時、24番手まで後退します。対して、#16 MUGEN CR-Z GTは22周目にトップに浮上する活躍をみせましたが、34周目にピットストップを行うと17番手に後退。それでもあきらめずに追い上げ、結果8位でフィニッシュしました。なお、#55 ARTA CR-Z GTは16位で完走を果たしました。

 次戦は10月5日(土)、6日(日)に大分県のオートポリスで開催されます。

松本雅彦 | Honda GTプロジェクトリーダー
 「今回は、これまで苦手とされてきた富士スピードウェイで、トップチームに負けないスピードを発揮できたことで、自分たちが開発してきたことが間違っていなかったという自信が持てました。#17 KEIHIN HSV-010は、開幕戦以来の2位に入ったことで、大きくポイントを伸ばし、タイトル獲得の可能性を残して残り2戦に挑むことになりました。これでHonda陣営としては、#18 ウイダー モデューロ HSV-010、#100 RAYBRIG HSV-010と合わせて合計3台にチャンピオンの可能性が残されているので、全体的な流れは決して悪くないと思います。ただし、チャンピオン争いの上位は接戦ですので、残る2戦も気を引きしめて挑むつもりです。引き続き、5台のHSV-010 GTに熱い声援をお送りくださいますよう、お願い申し上げます」
塚越広大(2位 #17 KEIHIN HSV-010)
 「予選の結果はあまりよくありませんでしたが、セーフティカーランのタイミングでピットインをした際、チームがすごくいい仕事をしてくれて、ポジションを上げることができました。最終的には2位で、勝てなかったことはすごく悔しいですが、開幕戦以来、ここまで表彰台に上れなかったことを思えば、満足のいく結果だといえます。また、チャンピオンシップの面でもすごくいいポジションにいるので、残り2戦も全力で戦っていきたいと思います。もう、2位は必要ありません。残り2戦では、予選での速さをもっと磨き、さらに突き詰めた戦い方で優勝を狙いたいです」
金石年弘(2位 #17 KEIHIN HSV-010)
 「昨日の予選はセッティングでかなり苦しんだので、今日は大幅にマシンを変更して決勝に臨みました。結果的にこれがいい方向に進み、今日は2位表彰台に上ることができました。開幕戦以降もある程度はポイントを獲得できていましたが、大量得点はありませんでしたので、素直にうれしいです。次戦は得意のオートポリスですので、最低でも表彰台に上ることを目標にしてがんばります」
山本尚貴(5位 #18 ウイダー モデューロ HSV-010)
 「スタート直後は好調でしたが、5周ほど走ったころから、急に前後のグリップが低下して、大きくポジションを落としてしまいました。その後は他車と接触することなく、しっかりとマコヴィッキィ選手にバトンを渡すことが、自分の仕事だと気持ちを切り替えて走り続けました。ピットストップで別のタイプのタイヤに交換したところ、レース後半はとても速いペースで周回できるようになり、マコヴィッキィ選手のがんばりもあって、ポイントを積むことができました。残り2戦にはポイントリーダーとして挑めるので、タイトル獲得のチャンスも十分にあると思います。けれども、決して余裕はないので、気を引きしめてしっかり戦っていくつもりです」
フレデリック・マコヴィッキィ(5位 #18 ウイダー モデューロ HSV-010)
 「自分にとっては少し難しいレースでした。特に、ドライバーが交代してからは、タイヤをウォームアップさせるのにやや時間がかかってしまいました。タイヤが温まってからはペースも上がり、ライバルのマシンに追いつきつつありましたが、その後はややドライビングしにくい状況となり、タイムをロスしてしまいました。昨日はこのような問題が起きていなかったので、なにが原因だったかをよく検討しなければいけないと考えています。ただし、ポイントリーダーに立てたことはとてもうれしく思っています。僕たちにはチャンピオンになるポテンシャルがあるので、残り2レースでも力強くプッシュして戦っていきます」
Text & Photo: HONDA


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