全日本GT選手権

GTインサイドレポート Rd.1/4

ALL JAPAN GT CHAMPIONSHIP
'95全日本GT選手権                                   Rd.1 SUZUKA GT 300
GTインサイド・レポート            No.  12        1995/ 4/ 2  FMOTOR4版
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62.エンジンチューナーのアイテック居島稔氏
 GT2クラスでポールポジションを獲得した牧口エンジニアリングや東名スポー
ツのエンジンをチューニングしている居島氏は、「結局は人間が扱うものですから、
無駄にあるパワーは栄養の採りすぎのようなものです。本当にその車とドライバー
で生かせるパワー以上は無意味だと思います。ドライバーの能力の方が、マシンよ
りも上回っていることが大切です。ドライバー、シャシー、エンジンの3者がバラ
ンスが取れていないとレースで勝つことは出来ません」
63.大盛況のピットウォーク
 GT決勝の前の昼休みにピットを解放して、ピットウォークが行われた。いつも
はマシンが走り抜けるピットレーンもこの時ばかりは、GTファンに解放された。
チャリティオークション等も行われ、ドライバーのサイン入りブルゾンやTシャツ
が最高2万2000円で競り落とされるなど、どこのピット前も黒山の人だかりだった。
64.#2ZEXEL WISE スカイライン
 #2は朝のフリー走行でエンジンのガスケットを飛ばしてしまい、急遽エンジン
の交換を決意した。作業はスタート直前まで行われ、終了した時には他のマシンは
ダミーグリッドをスタートしていた。結局、ピットスタートなり最高尾からの追い
上げを図る。
65.#36カストロールスープラ
 スタート直前のダミーグリッド上でクラッチの不調が見つかった。チームは修理
している時間ないと判断し、応急処置で送りだしたが案の定、関谷はマシンをスター
トさせることが出来ず、オフィシャルに押されてやっと走りだした。走り出すと2
分13秒台と他車に遜色ないスピードで、関谷はスープラを走らせている。
66.#100BPオイルポルシェ
 スタート直後からパワーステアリングのオイル漏れが生じ、土屋圭市はわずか1
周で緊急ピットイン。オイル漏れはパイプ部分からで、このパイプの交換を行った。
作業には10分余りかかり、再スタートを切った。
67.#40タイサン スターカードF40
 リタイア第1号になったのはララウリのドライブするF40だった。序盤は4位を
まで順位を上げたが、9周を過ぎたあたりから急速にスピードダウン。4速がダメ
になり、思うように走れなくなったためだ。このため、ララウリはピットに戻り、
状況を説明。ごまかして走ることも不可能ではなかったが、最終的には他のギアも
痛めるのは間違いないと判断し、千葉監督はリタイアを即断した。
68.#34 タイサン スターカードF40
 同じチームの#40がリタイアを決めた直後、#34もピットに戻ってきた。リード
はエンジンのミスファイアを訴え、取り合えずコンピューターを交換し、コースに
戻った。
69.#36カストロール  スープラ
スタートの際にクラッチトラブルが発覚した#36カストロール スープラは、ルー
ティンのピットインの際にもエンジンストール。タイヤ交換、給油の作業が終わっ
てからリアをジャッキアップし直してエンジンをかけるがタイヤも回ってしまう。
そこで路面に水をまいて滑りやすくしたところへジャッキをストンと落とし、わざ
とホイールスピンを誘って再スタートしていった。レース巧者らしい、とっさの機
転が功を奏した形。
ALL JAPAN GT CHAMPIONSHIP
'95全日本GT選手権                                   Rd.1 SUZUKA GT 300
GTインサイド・レポート            No.  13        1995/ 4/ 2  FMOTOR4版
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70.#1影山正彦(GT1クラス優勝)
みごとに開幕戦優勝を飾ったディフェンディングチャンピオンの#1カルソニッ
クスカイライン。マシンを降りてきた影山は金子監督とがっちり握手。今回はTV
レポーター役の服部尚貴がマイクを向けると「なにやってんの?」とからかう余裕
をみせた。「序盤はフェラーリやスープラがストレートで速くて先にいかれてしまっ
たけれど、はじめからジックリいこうと決めてたから。タイヤ交換してから右リア
に振動が出るなどノートラブルではなかった。次から新型で頑張ります」
71.*70外国屋スカイライン(GT2クラス優勝)
 石橋義三:2クラスだろうが3クラスだろうがやってるときは真剣なんです。
次のレースも勝つつもりで走ります。
 星野薫  :今回は遅いクルマでしたから、みんなに迷惑がかからないように遅い
なりにがんばって走りました。ラッキーな優勝です。
72.#55JOMO R33スカイライン(GT1クラス2位)
 一見順調に走りきっての2位に見えたが、実は冷や汗もののゴールだったようだ。
「実はスタート直前にエンジンにトラブルが出ちゃって、レスポンスが悪くなちゃっ
たんです。S字では後ろから迫られて、ドライバーには悪いことしちゃった」と水
野監督。一方の鈴木利男も「車を降りたとたんに鼻がグズちゃって」と一気に緊張
が解けたようだ。「スタート前は走れるかどうか心配だったくらい。まあ、結果オー
ライだね。曇ってたからエンジンも助かったんじゃないかな。予選でサスペンショ
ンの問題点も洗い出せたしよかった。ホント、ほっとしたよ」
73.#39J.クロスノフ(GT1クラス3位)
 昨年あった問題は解決して、マシンは乗りやすくなった。でも、今年はタイヤの
ブランドが替わったんで、マッチングの問題があったんだ。数ラップは良かったけ
ど、だんだんグリップが落ちてしまった。これはタイヤの問題と言うより、テスト
不足だね。今回は英国のUKダンロップからタイヤの供給を受け、日本ダンロップ
でアレンジしたんだ。神戸の震災を乗り越えて、ダンロップのみんなはよくやって
くれたと思う。サード、ダンロップ、トヨタ、TRDのチームワークもいいし、きっ
と勝てるはずだよ。
74.*6八代俊二(GT2クラス3位)
 今回は町内会のチームなのでまったくの遊びです。でも2分33秒で十分と言われ
ていたのに33秒台がでましたから大満足です。4輪レースは初めてでしたけど、仕
事で行っている2輪レースとは違う意味で十分に楽しめました。チームは富士と鈴
鹿1000kmにも出る予定ですけれど、私自身は仕事の都合がありますから、うまく調
整を付けて出たいですね。
75.#36カストロール  スープラ
 クラッチのトラブルを抱えて、果敢な走行を続けた関谷正徳は「クラッチトラブ
ルはともかく、クルマがもうちょっと仕上がってれば上位争いに加われたんだけど
ね。まあ次には期待がもてると思います」と、苦労を少しも見せず早くも次のレー
スへと気持ちを切り替えていた。「いやあ、クラッチがなくて6位ならバンバンザ
イですよ。ピットストップで水をまいて再スタートしたのは、以前Cカーでやって
まして、そのときの経験が生きました。後はもう帰って寝たいです」とは中里チー
ムマネージャー。
86.#39サードスープラGT
 GT1クラス3位に入ったサードは、レース後ファクトリーには戻らずにT&I
サーキットに直接向かい、ルマン24時間レースのための耐久テストに参加する。ル
マンでは、今日のレースでNーGT1仕様で走ったスープラGTそのものをルマンG
T1仕様に改造して出走するため、チームは明日1日でエンジンとボディ・ワーク
をルマンGT1仕様に改造しなければならない。T&Iでは、トラスト・チームの
スープラGTと2台でテストが行われる。セルモの'94バージョンを除いた4台の
スープラGTはトムスとFETの2台が日本専用マシンであり、サードとトラスト
の2台はルマンを闘うことを考慮して強化されたフレームをもっている。
ALL JAPAN GT CHAMPIONSHIP
'95全日本GT選手権                                   Rd.1 SUZUKA GT 300
GTインサイド・レポート            No.  14        1995/ 4/ 2  FMOTOR4版
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87.#39J.クロスノフ
 サードのドライバーであるJ.クロスノフは先週のMINEサーキットでのF3000
テスト、このスズカのGT、そしてT&Iサーキットでの24時間テストと今週の木
曜日まで走り詰めである。そのため、彼はM.マルティニと一緒に車で移動している
が、マルティニはクロスノフの運転手と化しているようだ。
89.ポルシェ993GT2
 期待のニューマシンである993GT2で闘ったチームは貴重な経験をしたようだ。
いずれのチームもピッチングが激しく、ブレーキングではABSが顔を出してしま
うのである。カレラカップに代表されるポルシェレーサーに慣れたドライバーであ
れば、積極的にABSを作動させてマシンをコントロールしている。昨年のカレラ
カップ・チャンピオンである柏原浩一は「僕はABSとパワステを使って走ること
に慣れていますけど違和感があることも事実ですし、今後きちんと開発していかな
ければいけない部分です」。ゴムブッシュを多用しているマルチリンクサスペンショ
ンやバウンドとリバウンドの2つあるスプリングについても、各チームにとっては
これから課題として残る部分だろう。
90.*32ランティックスカイライン(GT2クラス2位)
 観客で埋まるスタンドを見上げて「いやー、全日本選手権なんですね」とGTC
紅一点の岡野谷。彼女はスタート・ドライバーの大役を担ってクラス2位入賞に貢
献した。「速い車にコースを譲るタイミングがつかめなくて苦労しました。私は大
山さんに無事マシンを渡すことだけを考えて、大事に走りました」。大山は「いや、
ラッキーですよ。車は決して速くないし。もっと速くしたいけど予算をなんとかし
なきゃね」と入賞にも浮かない顔だった。
91.#38エリック・コマス
 ローリングスタートは生まれて初めてなんです。あんまり、好きになれないなぁ。
幸い、このシリーズだけだからまあ我慢するよ。それと右ハンドルの車も実は初め
て。でも、左シフトでもシーケンシャルだからあんまり苦にならなかったね。
92.#34アンソニー・リード
 コンピュータなのか、ブーストが上がらなくなってしまってストレートでスピー
ドが出なくて困った。フロントタイヤのモデファイはいい感じにきまってきてるか
ら、次はね。
93.#40太田哲也
 昨年のMINEでは決勝を走ることができず、今回は乗れる予定だった太田だが、
#40はわずか12周でレースを終えてしまった。「今日は乗れると思ったのね。うー
ん、最近雑誌の仕事ばっかりでレーサーじゃなくてモータージャーナリスト状態で
すよ」。リタイアしたとたん、このレースのレポートをどう書こうか雑誌編集者と
相談し、頭を悩ませる彼だった。
以上
                         GTアソシエイション事務局
                         インサイドレポート担当
                         古屋 知幸 = MGG01235=


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