全日本GT選手権

GTインサイドレポート 99Rd.3/5

■ 1999 AUTOBACS CUP ALL JAPAN GT CHAMPIONSHIP
■ GT INSIDE REPORT
■ Round 3  SUGO GT CHAMPIONSHIP                           FMOTOR4 EDITION
   GT INSIDE REPORT      インサイドレポート3       99/05/30
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'99AUTOBACS CUP GTC第3戦SUGO SUGO GT選手権(5/29,30)

■タイヤメーカーに訊く
ブリヂストン
「今回持ってきたタイヤは2種類。ソフトとハードという分けかたになりますが、
この気温、路温を想定してのソフトでありハードですから、富士のときとは違うも
のです。金曜日と今日の朝にロングのテストをやって、耐久性は確認できています。
ソフトでも、路温が40度を超えるような状況になっても大丈夫です。スカイライン
勢は前回同様、前後同サイズのタイヤを履いています」
(各チームのチョイスはスカイライン勢とスープラ勢は全車ソフト、NSX勢は#100 
RAYBRIG NSXと#64 Mobil 1 NSXがハード、#16 Castrol無限NSXと#18TAKATA童夢NSX
はソフト、#30綜警McLaren GTRはハード:以上インサイドレポート班調べ)

ヨコハマ
「GT500はハード、ミディアム、ソフトの3種類を用意しましたが、全車ソフトを
選んでいます。路温が高くなっても、金曜日にテストしたときと走りかたが極端に
変わらないかぎり耐久性は大丈夫です。GT300は富士のときと同じタイヤです。基
本的にはワンスペックですが、FFのセリカ(*19ウェッズスポーツセリカ)はやや
ハード目のもの、*77クスコスバルインプレッサはコンパウンドは同じですが構造
が異なるものを装着しています。GT300でも全車交換は必要となります。チームに
よっては無交換でいきたいと考えているところもあるようですが…」

トーヨー
「今回からハチロク(*86 BP-KRAFT-トレノ)が加わってユーザーが1台増えまし
た。用意してきたタイヤは、GT500用がソフトとミディアムの2種。選んだのはミ
ディアムのほうです。GT300はFTO(*61テイボン・トランピオ・FTO)用が構造違い
を含めて4種、BMW(*21 BP-トランピオ-BMW)とハチロク用がソフトとミディアム
の2種です。BMWとハチロクではサイズが異なり、ハチロクのほうが外径の大きい
ものを履いています。チームが選んだのはFTOが一番ハードなもの、BMWがミディア
ム、ハチロクはソフトです」

ミシュラン
「今回からフロントタイヤの外径が大きくなり、トヨタの推奨値に合わせられるよ
うになりました。これまでは推奨値より小さかったんです。内径(リム径)は19イ
ンチです。18インチよりレスポンスがよく、ステアリングの舵角を小さくして摩耗
を減らすこともできます。コンパウンドは2種類用意していますが、#35(マツモト
キヨシ・トムススープラ)がミディアムソフト、#36と#37(カストロール・トムス
・スープラ)がミディアムハードを選んでいます。(この時期のSUGOは)JTCCと同
じスケジュールですので、気温などのデータはあります。金曜日にロングのテスト
をやって、耐久性に問題がないのは確認していますが、路温が40度を超えるようだ
とミディアムソフトのほうはちょっとだけ心配です」

☆決勝スタート直前情報
 天気:晴れ  路面状況:ドライ  気温:26度  路面温度:36度
 入場者数 5月30日:4万0600人    5月29日:9,300人


■レース中のコメント
#39 デンソーサードスープラGT(13周リタイア)
土屋圭市「原因はミッションかデフ。走りはじめはよかったんだけど、フロントタ
イヤがタレてよれ始めて、ヤバイと思ったから自分のペースで走ろうとした。でも
ハイポイントコーナーでアクセルを踏んだら突然駆動が路面に伝わらなくなってし
まった」

*7 RE雨宮マツモトキヨシRX7(33周リタイア)
松本晴彦「原因はデフです。シケインの手前のヘアピンでデフオイルっぽい匂いが
したんだけど自分だとは思わなかったんです。その少し先で後ろを見たら煙が出て
たんでピットインしたんですが、ピットロードの入り口でデフがロックして止まっ
ちゃった。そのあとなんとかピットに戻ったんですけど、もう完璧に壊れていてダ
メでした」

*19ウェッズスポーツセリカ(47周リタイア)
織戸学「今日は暑いせいなのかタイヤがたれてきたとたんにロールがすごくなった。
この3日間で一番バランスが悪かった」
原「ドライバー交代のときにエンジンがかからなくなって、その後も警告ランプが
ずっとついていた。突然電気が全部落ちた」

#12カルソニックスカイライン
星野一義「朝は(ブレーキトラブルで)走れなかったけど、今はまったくノープロ
ブレム。ポジション的には目一杯いってあれ。ミスもないし文句はない。あれがホ
ントの力だよ。ピット作業も(約28秒と)早いのに、もっと力つけないとダメだな。
スカイラインは遅いよ」

#36カストロール・トムス・スープラ
関谷正徳「調子はいいよ。なにも問題はないし、タイヤも暑さも問題はない。でも
#6(ESSO Tiger Supra)は速いね。ちょっと今日は手に負えないな」

#16 Castrol無限 NSX
道上龍「ウチは完走していないんで、ここで完走しとかないと。タイヤのせいなの
か、フロントが曲がらない。我慢して淡々と完走ねらいで走ってます」


*リタイヤ(GTインサイドレポート班調べ

No.   原因        周回数
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*910  エンジントラブル     3L
*355  #26と接触        6L
#39  ミッショントラブル   13L
#18  クラッシュ       15L
*26  接触の影響       18L
*7   デフ          33L
#38  プロペラシャフト    45L
*19  電気系         47L
*99  電気系         59L



■レース後のコメント

#35 マツモトキヨシ・トムススープラ(総合2位)
ピエール・アンリ・ラファネル「すごくうれしいよ。今日の結果には大満足だ。自
分が乗っているとき、35周目すぎにミスファイアが出てしまって、これじゃムリだ
と思ったら直ったり、また出たり。後半にはABSが効かなくなってしまった。ペー
スカーが入る前は後ろに10秒先行していたが、レース再開したときには差がなくなっ
たうえにABSが使えなくなっていた。彼(山路慎一選手)はすごくよく走ったよ。
あの難しい状況のなかでミスもなかったし、クルマはいい状態ではなかったのにトッ
プとあまり変わらないペースで走ったし。残るは優勝しかないけど、去年の菅生は
ボクは事故で病院に入院して、その後で今日のいい結果を残せたんだから、よかっ
たよ。これで事故のことは忘れられるよ」
山路慎一「トラブル自体は早くから出ていたので対処できたんですが、ペースカー
が入ったのが良かったのか悪かったのか…。結果的にポジションはキープできたの
でよかったんですが。最後はかなりハードに攻められたんですけど、こちらはベス
トな状態じゃなかった。でもありったけの力でがんばりました。みんなの顔が目に
浮かびましたよ。今回はラッキーなところもありましたし、チームのみんなががん
ばってくれました。今回の表彰台でがんばればいい結果が得られるという自信につ
ながりましたし、次への励みにもなります。結果には本当に満足しています」

#16 Castrol無限NSX(総合3位)
中子修「クルマは問題なかったけど、途中でSOKのマクラーレン(#30綜警McLaren 
GTR)を抜くときに4コーナーあたりでブレーキをロックさせてしまって、その後
は気分的に攻めきれなかったね。セーフティーカーが入って差が詰まっていたの
に、#35のスープラ(マツモトキヨシ・トムススープラ)を抜けなくて残念だった。
うまくブレーキを使っていたらもっと違うレースができたんじゃないかと思うけ
ど。今までの2戦でドジを踏んでるから、気持ち的にドンドン行けるような雰囲気
じゃなかったんだ。次はもっと自分を盛り上げていかないとね。ファイナルラップ
はもうねらってなかったよ。あのポジションでゴールしようと決めてたし、チーム
とも無線でそういうやりとりをしていた。でも、道上もオレも、だれも抜かないで
淡々と走って3位になれるレースなんだから、いいよね」

#64 Mobil 1 NSX(総合4位)
トム・コロネル「いいポイントを獲得できたし、いいレースができたと思う。はじ
めはハードコンパウンドのタイヤで出ていったのもいい作戦だったと思う。はじめ
は少しスライドしたけど前へ前へとプッシュしていった。セーフティーカーが入ら
なければ表彰台に立てたと思う。次のレースに向けて自信を持ったよ。最後に周回
遅れのマシンが間に入ってしまったけど、あれがなければヤマニシ(山西康司選手)
は#16(Castrol 無限NSX)にチャレンジできたはずだ。残念だけど、これもレース
のうちだよ。ボクらのチームが勝つ能力を持っていることを知っているからね。ノー
プロブレムだよ」
山西康司「最後のあれはちょっと…。(#11エンドレスアドバンGTRのドライバーが)
ちゃんと見てないんじゃないかな。ちゃんと見てないとね。あれがなければ前と争っ
ていたと思うんですよ。クルマは悪くなかったです。次がんばります」

#12カルソニックスカイライン(総合5位)
星野一義「ポイントを獲って重量が減って一番よかったと思う。正美の走り(#1ペン
ズオイル・ニスモGT-Rとのバトル)は、オレはブロックだと思っていないよ。#64の
NSX(Mobil 1 NSX)とやりあったときにタイヤも傷めていただろうけど、セーフ
ティーカーが入ってしばらく休めて、その後の周回はよくがんばってくれた。それ
よりも、とにかくスカイラインのポテンシャルを上げないとマズイね」
影山正美「5位というポジションはよかったが、内容的には納得がいきませんでし
た。最後の5周は、完全に本山をブロックしていたかたち。できればああいうレー
スはしたくないですね。先週のMINE(フォーミュラ・ニッポン)で光貞とやったよ
うなフェアなバトルが理想なんだけどな」

*25モモコルセ・アペックスMR2(GT300 2位)
新田守男「自分が思っていたよりトップについていけた。もっと離されるかと思っ
た。コーナーで詰まるとストレートで離される感じ。タイヤを痛めるわけにはいか
なかったから、プッシュはそこそこで、差すまではいけない。2位に入れたけど、
ストレートが遅いのがつらい。このへんでシルビアがポイントを獲るだろうってい
う計算はあったけど、(自分たちも)できるだけたくさんポイントがほしかった」
高木真一「前半はきびしかった。(セーフティカーラン中のピットインは)スロー
パンクチャーていうんですか、あれがそうだったんだって、初めて経験しました。
タイヤを温めるためにクルマを左右に振ると揺れがだんだん大きくなる。タイヤが
なにかを踏んだんでしょうけど…。ピットアウトしてペースカーラン中に最後尾に
つけたんですが、まあ、結果はオーライで、超ラッキーでしたね」

*81ダイシンシルビア(GT300 3位)
福山英朗「チームから(セーフティカーラン中に)タイヤを換えても(前車に)追
いつく可能性があるという無線連絡を受けてピットインしました。前後の関係に気
づいたチームの勝利です。後ろのクルマ(#61テイボン・トランピオ・FTO)は周回
遅れになっていて、前のインプレッサ(#77クスコスバルインプレッサ)はタイヤ
がきつそうだったんです。途中からブレーキが効かなくなってきて、29秒台でいけ
るはずだったのが30秒台でしかいけなかったというこちらの事情もあって、そのま
まいったらあきらめるしかなかったところで、思わぬチャンスを生かしきったチー
ムに感謝します」
大八木信行「やりました。自分としても満足です」

*77 クスコスバルインプレッサ(GT300 4位)
小林且雄「ペースカーのこの野郎って感じですね(笑)。リスタート手前ぐらいで
急に3速がいっちゃって全然ダメ! ここからスタートっていうときだった。谷川
くんはがんばってくれていいポジションにいた。後ろとの差が30秒ぐらいあったか
ら、3位キープでいければと思ってたんだけど…。ダイシンも同じペースだったか
らね。今季初完走で4位。残り全戦完走をめざして、さらに上をねらいます」

*71 シグマテック911(GT300 6位)
城内政樹「バックストレートエンドで抜かせようとよけたのに、脇阪選手(#18 
TAKATA童夢NSX)が左に寄せてきて、右のフロントホイールと当たった。ピットイン
してフロントを2本交換したので1周ぐらい遅れた。フロントだけ新品で(前後の)
バランスが崩れたけど、10周ぐらいで平均化しました」


#100 RAYBRIG NSX
飯田章「1回目のピットインは、タイヤのバランスがおかしくなってまともに走れ
なくなっちゃったんで急いで入った。このときはリヤしか換えなかったんですけど、
換えときゃよかったですね。2回目のピットのときはロックナットがゆるまなくて
時間がかかっちゃいましたから。ポイントはとれないし、そのくせウェイトは10kg
しか減らない(インサイドレポート班注:暫定結果によれば決勝ラップベスト3に
入っているため軽減はゼロ)し、もう最悪」

#6 ESSO Tiger Supra
ワイン・ガードナー「おそらく燃料系のトラブルだと思う。裏のストレートで急に
ブルブルブルってパワーがなくなって…。そしたら無線で『ファイアー、ファイ
アー!』って言われてバックミラーを見たら、オーッ! どこか止まれるところを
探したんだ。燃料のにおいがして目が痛くなって手探りでドアを開けてスイッチ
切った。オフィシャルが消火器を持って来たんだけど、もたついているのでそれを
取り上げて自分で消火した。ボク自身にケガはない。大丈夫だよ。ほんとうにほん
とうに、ほんっとうにガックリだよ。クルマの調子はどのセッションもよかったし、
ノダ(野田英樹選手)も速いし。信じられないよ。すごくいいチームだし、クルマは
すばらしいし、ドライバーも速い。勝てるチームだと思うよ。でもいつになるか…」


■勝利者インタビュー
GT500ウイナー
#36カストロール・トムス・スープラ
関谷正徳「95年にミハエル・クルムと仙台で勝って以来。ぶっちぎって勝ったわけ
じゃなくていろんな要素がからんで優勝できたんですけども、大きな要因としては
メカニックがピットの仕事を一番短くやってくれたんじゃないかと思うんですよ。
それが勝敗を分けたと思います。われわれのクルマはトラブルがまったくなく、ク
ルマは完璧だし、作業も完璧だし、運転手もミスがなかったし、みんながちゃんと
自分たちの仕事をした結果なので、今日はほんとうによかったと思います。とはい
え#6(ESSO Tiger Supra)のほうが速かったというのは事実として残って、順調に
いってたら#6のスーブラが勝ってたわけですから、そういう意味では悔しい思いも
課題も残しましたね。スープラがNSXを凌駕したとはまだ思えないですよね。MINEや
TIのようなところでスープラが速いか遅いか、テストにいってみないと現実はわか
らないですから」
黒澤琢弥「最終ラップにちょっとこみあげてくるものがあって集中するのが大変で
した。まあ、今年はいろんなことがあってトムスに入ったんで…。すべてが完璧だっ
たんでボクがミスしたらなんにもならないですから。すべてがいい方向に回ったと
思います。ただ、実際最初から1位にいたわけじゃないんで、まだ課題はあると思う
んですけど、こういう方向に向いてきたっていうのは、この後すごくいい展開になっ
たと思います。ガートナー選手の火災のときは、ボクもオイルにのって危なかった
んで、すぐわかりました。彼が消火作業をしているのが見えたのでドライバーが無
事でよかったなとまず思いました。(トップに立って)やったという感覚はなかっ
たですね。ボクらのクルマも朝のウォームアップでちょっとトラブルがあったので、
最終ラップの最終コーナーから坂を上るまでは気持ちをゆるめないようにしていま
した」

GT300ウイナー
*15ザナヴィARTAシルビア
土屋武士「前回ですごく悔しい思いをしたので、その気持ちが今回のレースに集約
されて勝ててよかったです。とにかくチーム全体の気持ちがすごくはいっていたの
で、ボクも井出君も絶対結果を出そうと思ってたんです。MR2(*25 モモコルセ・ア
ペックスMR2)はボクが開発したクルマなんで、どういう展開になるか予想がついた
なかで、ま、決勝はきびしいだろうなと思ってました。とにかくどこかでスパート
をかけてかわそうと思ってたんですけれど、幸いにも周回遅れの処理で1秒くらい開
いたときがあって、そのときにプッシュした差を開いて集中力を切れさせようとが
んばりました。完璧な勝利だと思います。井出選手はハコでは初めてのドライのレー
スだったんですが、まったくミスをおかさずに完璧だったと思います」
井出有治「前回土屋さんが一番悔しい思いをしていると思います。メカニックの人
も一生懸命やってるし、とにかくボクは迷惑をかけないようにきちっと仕事をした
かったので、今日それができてうれしいです。途中(ピットで)モニターを見てい
るときはすごくプレッシャーを感じたんですけど、ヘルメット被って交替の準備を
しているときに『絶対勝ってやる』という気持ちに変わったんで負ける気はしなかっ
たです」


*その4に続く

                       GTアソシエイション事務局
                        GTインサイドレポート班
                        古屋 知幸 = QYB04322 =


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