LAP6 「世界3大レース制覇より、勝ち点1」
ハンマー伊澤
2026ル・マン24時間
下馬評を覆し、TOYOTA RACINGが1位と3位という見事な結果を残した。
今回はテレビ中継ではなく、ネットで情報を追いながらレースの行方を見ていたが、それでも十分にドラマチックな展開は伝わってきた。
刻一刻と変わる天候と路面状況。
各陣営の戦略、ピットインのタイミング、突然襲ってくるマシントラブル。 順調に走っていたはずのマシンが、ひとつのトラブルで大きく後退する。
逆に、苦しいポジションにいたマシンが、気がつけば優勝争いに加わっている。
24時間という長いレースでは、最後まで何が起こるかわからない。
速いだけでは勝てないし、壊れないだけでも勝てない。
ドライバー、マシン、チーム、戦略。 そして、少しばかりの運。
それらがすべて噛み合って、ようやくル・マンの頂点に手が届く。
やはりル・マンには、ル・マンにしかないドラマがある。
今季のトヨタを取り巻く状況や事前の評判を考えれば、今回はとてつもない大きな勝利と言ってよいものだったらしい。
フェラーリ、BMW、キャデラック、プジョー、アルピーヌ、アストンマーティン。 名だたるメーカーが一堂に集まり、それぞれの技術と威信を懸けて24時間を戦う。
単なる一レースではない。 自動車メーカー同士の技術競争であり、ブランドの誇りを懸けた戦いでもある。
その舞台で、日本の自動車メーカーであるトヨタが下馬評を覆し、1位と3位を獲得した。
テレビでも、そのゴールシーンを観たいと思いながら、翌朝のニュースを観ていた。当然、少しくらいは報じられるものだと思っていた。
ところが、ニュースはサッカーワールドカップの予選リーグ初戦、日本代表が引き分けて勝ち点1を獲得したという話題が大きく取り上げられていた。
もちろん、サッカーは多くの人に支持されている人気スポーツである。
日本代表の試合が大きく報じられることに異論はないし、多くの人が結果を知りたいのだから、ニュース番組が時間を割くのも当然だと思う。
ただ、世界三大レースのひとつといわれるル・マン24時間で、トヨタが優勝したという事実には、私が見たニュースでは1秒たりとも触れられなかった。
サッカーの報道が多いことを嘆いたわけではない。
ただ、モータースポーツは一般のニュースの中では、存在していないも同然なのだと感じた。
自動車産業は、日本を代表する産業のひとつである。
そこには技術があり、人がいて、長い時間をかけて積み重ねてきたものづくりがある。
その日本のメーカーが世界の舞台で戦い、歴史ある大レースで頂点に立った。
その価値は、一競技の勝敗だけに収まるものではない。
日本の技術力、組織力、そして現場の力が、世界最高峰の舞台で結果として表れた出来事でもあるはずだ。
それでも、テレビのニュースの中では何も起きなかったことになってしまう。
モータースポーツに関わる者や、長年見続けてきたファンにとっては大きな出来事でも、その世界から一歩外に出れば、ほとんど届かない。
トヨタの快挙以上に、報じられなかったという事実が、強く心に残った朝だった。
2026/06/27
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