SUPER FORMULA

第7戦もてぎ決勝 王者復活!! 野尻智紀がポール・トゥ・ウィンで今季2勝目を挙げる

トップでゴールする野尻智紀(Red Bull MOTUL MUGEN SF23)

 2023年全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦の決勝が8月20日、栃木県茂木町のモビリティリゾートもてぎで行われ、ポールポジションからスタートした野尻智紀(Red Bull MOTUL MUGEN SF23)が第2戦富士以来の今季2勝目を挙げた。

 併催の全日本ロードレースJSB1000クラスで赤旗中断があった影響で、第7戦決勝は当初予定より15分遅れの午後3時15分より37周で行われた。気温33℃、路面温度46℃の猛暑のなか、序盤からアクシデントの相次ぐ大荒れの戦いとなった。

決勝レースがスタートした

 スタートではポールポジションの野尻がトップで1コーナーに飛び込む一方で、予選2番手の太田格之進(DOCOMO DANDELION M6Y SF23)、予選8番手スタートの宮田莉朋(VANTELIN TOM'S SF23)がまさかのストールで後方に沈む。さらに2コーナーを立ち上がったところで縁石に乗り上げた予選3番手のリアム・ローソン(Red Bull MOTUL MUGEN SF23)のスピンに牧野任祐(DOCOMO DANDELION M5S SF23)、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF23)、松下信治(BYOUBUGAURA B-MAX SF23)が巻き込まれる多重クラッシュが発生したため、ポストからは直ちに赤旗が提示され、レースは中断となった。

スタート直後マルチクラッシュの事故現場

 牧野はメディカルセンターで診断を受け、腰の痛みを訴えたが深刻な状況ではなかった模様。他の3人に大きな怪我はなく、ローソンはリヤウィングを失いながらも自走でピットに戻ってきたが、関口、牧野、松下はここでレースを終えることになった。

 レースは午後3時50分にセーフティーカーの先導により、1周終了時点の順位で再開された。トップはポールポジションの野尻、2番手に大湯都史樹(TGM GP SF23)。以下、平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF23)、小林可夢偉(Kids com KCMG Cayman SF23)、山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING SF23)、佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING SF23)そして山下健太(REALIZE Corporation KONDO SF23)の順だ。ピットガレージで懸命の修復作業に取り組んでいたローソンの15号車も作業が間に合い、ピットレーンから最後尾でレースに加わった。

 セーフティーカーは3周目にピットイン。4周目から追い越しが可能となった。上位7台の順位はそのまま。後方では宮田がここでラウル・ハイマン(BYOUBUGAURA B-MAX SF23)をかわして16位。続いて5周目にジェム・ブリュックバシェ(TGM GP SF23)を捉えて15位まで挽回してきた。その後方ではローソンも5周を終えた時点で18位に。しかしローソンはその直後に赤旗中の作業違反ということでドライビングスルーペナルティを消化することになった。宮田は6周目に笹原右京(VANTELIN TOM'S SF23)、8周目には国本雄資(Kids com KCMG Cayman SF23)をも捉え、坪井翔(P. MU/CERUMO・INGING SF23)がトラブルに見舞われたこともあって12位まで挽回してきた。

 一方上位陣は大湯と太田、佐藤、阪口晴南(P. MU/CERUMO・INGING SF23)が10周目にタイヤ交換を敢行。

 ところがピットアウトしようとする佐藤とピットインしようとした太田が接触。これで太田はノーズ交換を強いられる。そのままコースに戻った佐藤もタイヤに不調を訴えて13周目にピットに戻ってきた。作業を終えてコースに出て行った太田も14周目にガレージにクルマを戻している。

 続いて小林、小高一斗(REALIZE Corporation KONDO SF23)、大嶋和也(docomo business ROOKIE SF23)は11周目にピットに戻ったが、ここで小林はリヤタイヤの交換に手間取り、順位を失うことになる。

 これによりトップの野尻に続いて2位に平川、3位に山本、4位に山下が続き、宮田は5位。10位でコースに復帰した大湯は16周目までに6位に順位を上げてきた。トップの野尻とは18周を終えたところで30秒080の差だ。ここで野尻との差を詰めていきたい大湯だったが、スタート時より下がり始めた路面温度の影響からか、なかなかペースが上がらず、22周目には31秒607と逆に差を広げられてしまう。この時点で路面温度は39℃に低下していた。

 24周目に3位の山本がピットイン。トップの野尻と4位の山下も25周目にピットへ。これで平川がトップ、宮田が2位に浮上したが、その平川も26周目にはピットに戻ってきたが、右リヤタイヤの交換に手間取り、ピット出口で野尻と大湯の先行を許してしまった。さらに山本もタイヤに熱の入り切らない平川を90度コーナーでインから抜き去ろうとしたが、ここでインを閉めようとした平川と接触、左前輪にダメージを負って28周目の1コーナーでコースを飛び出し、そのままレースを終えることになった。

 この間に暫定トップを走っていた宮田は29周目にピットイン。これで再び野尻がトップに復帰、2位大湯、3位に平川が続き、宮田はアウトラップの3周目に阪口に抜かれ、5位でコントロールラインに戻ってきた。宮田はすかさず31周目の3コーナーで阪口をアウトから抜き去り、4位に浮上する。

 その前方では33周目のS字で平川が大湯を攻略して2位に上がってきた。しかし34周を終えた時点での野尻との差は10秒470。流石に残り3周で追いつくのは難しい状況。

 結局、レースは野尻智紀が後続に7秒439の大差をつけてチェッカーを受け、今季2勝目をものにした。2位は平川亮、3位に大湯都史樹が続き、宮田莉朋が4位でフィニッシュした。

 一方、宮田とチャンピオンを争うリアム・ローソンはタイヤ交換を29周目まで引っ張る作戦に出たが、これは実を結ばず14位ノーポイントでレースを終えた。

 この結果、ドライバーズランキングは宮田が94ポイント、ローソンは86ポイントで再び宮田が単独トップとなった。

 次戦のはいよいよ最終戦鈴鹿大会。10月28、29日に第8戦と第9戦がJAF鈴鹿グランプリとして行われる。

優勝は野尻智紀(Red Bull MOTUL MUGEN SF23)

決勝2位は平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF23)

決勝3位は大湯都史樹(TGM GP SF23)

表彰式

Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI
Kazuhiro NOINE


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