SUPER GT

SGT:第4戦SUGO WAKO’S EXE ASTON MARTIN、天候を味方に、願ってもないポジション4位。表彰台を逃すも、前戦に続くポイントの獲得は後半戦への大きな励みに! (Arnage)

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 2014年のSUPER GT は、九州ラウンドからひと月半のブランクを経て、菅生、富士、鈴鹿の三連戦という、今年最大の山場を迎える。その連戦の口火を切る第4戦は、宮城県のスポーツランド菅生での300kmレース。オートポリスに続き菅生サーキットもまた、マシン、ドライバーともに得意とするサーキットであり、前戦では8位で今季初のポイントを獲得し波に乗るArnage Racingは、気合い十分でレースに臨んだ。

 前戦からの長い空き時間を利用して、ガレージでは、普段のメンテナンスではリペアしきれない部分のメンテナンスが行われた。今年で3シーズン目を迎え、フレームに出始めた部分的な傷みが気がかりなAston Martinであるが、エンジンマウントの接着をし直すことで車両の剛性を上げ、より信頼できる状態でみちのくへ送り出された。

gt_r04_arnage-04.jpg  ところが梅雨のまだ明けぬ東北地方、搬入日の金曜日から、雨に出足をくじかれることになる。予選の行なわれる予定だった土曜日になっても空模様は回復せず、9時から開始された公式練習でも全くのウェット状態。チームは安岡選手から練習をスタート、6Lap走行ののち加納選手に交代してコースに車をすすめた。ところが、30分を経過したところで加納選手はS字コーナーの先でスピンしてコースアウト。幸い車両に大きなダメージはなく、1時間ほどで走行に支障のないレベルまで修復されたが、フロントバンパーと右側の翼端板のリペアに走行時間の大半を費やしてしまい、両選手ともほとんど走行できないままに公式練習は終了した。

 天候は予選開始予定の時刻になっても回復の兆しを見せず、雨と霧のなか9000人の観衆が予選のスタートを待った。しかし予選開始予定の14時より1時間遅れて15時過ぎに中止が決まり、予選は翌日の午前中に行われることとなった。

 このあとGT-Aの配慮により、ファンサービスのためピットオープンとなって、無料のピットウォークとキッズウォークを開催、予選を見ることのできなかった観客がピットロードに詰めかけ、雨の中賑わいを見せた。

July 20th Qualifying
  • 天候:雨 路面状況:ウェット
  • 気温:開始時20℃→終了時21℃ / 路面温度:開始時23℃→終了時24℃
  • 入場者:28,000人

gt_r04_arnage-10.jpg  日曜日になっても空模様は捗々しく回復しなかったが、予選が始まる頃には雨は次第に小降りとなり、前日のキャンセルを受けて順延となった予選は予定通り、9時5分よりスタートした。通常の予選と異なり、今回は25分間一本勝負となるため、ライバルチームはすべて一人のドライバーで予選を戦う選択をしている。しかし、前日の公式練習時に起きたアクシデントにより両選手ともにほとんどドライブの機会がなかったため、チームは短い時間の中で加納、安岡両ドライバーを交互にコースに送り出した。両選手がウエットタイヤで感触を確かめた後、ウエット路面に強い安岡選手が、今度はインターミディエイトでアタックに出て、13Lap目に1’28.214をレコード。今季最高の8番グリッドから決勝を戦うチャンスを得た。

  • P1 #10 GAINER Rn-SPORTS SLS 植田 正幸 / 山内 英輝 (1'27.329)
  • P2 #61 SUBARU BRZ R&D SPORT 佐々木 孝太 / 井口 卓人 (1'27.586)
  • P3 #11 GAINER DIXCEL SLS 平中 克幸 / ビヨン・ビルドハイム (1'27.732)
  • P8 #50 WAKO’S Exe ASTON MARTIN 加納政樹 / 安岡秀徒 (1'28.214)
July 20th Race
  • 天候:曇り時々雨 路面状況:ドライ
  • 気温:開始時22℃→終了時21℃ / 路面温度:開始時27℃→終了時23℃

gt_r04_arnage-20.jpg  予選終了後、ピットウォークが開始される頃には薄日が差すほどに回復していた空模様だったが、マシンがグリッドに並ぶ頃には霧雨が降り始める怪しい雲行きとなった。どのチームもタイヤのチョイスが命運を分ける状況だったが、WAKO’S Exe ASTON MARTINは周囲の状況からスリックタイヤに賭け、決勝スタートの時を待った。

 レースは14時定刻にスタート。しかし隊列が揃わなかったためフォーメーションラップが3周となる中、折からフロントガラスを濡らす霧雨に惑わされてインターミディエイトタイヤに交換するチームも出た。フォーメーションラップが終了してレース開始直後、安岡選手操るWAKO’S Aston Martinは前方車両と熾烈に競り合って、団子になっている集団をうまく抜け出し、早くも1Lap目に3位に飛び出す。

gt_r04_arnage-22.jpg  前方には10号車、11号車。安岡選手はハイペースで猛追を始め、まもなく、17Lapで10号車をパスして2位に浮上する。路面を濡らしていた雨脚は思いのほか強くならず、レース開始直後にウェットタイヤに交換したチームもスリックタイヤに戻す中、スタートからスリックで勝負に出ていたWAKO’S Aston Martin は、勝機を手に1分22 秒台の猛追を続け、すぐに11号車もロックオン。19Lap、1コーナーのイン側から11号車を抜きにかかる。ところがアウトから並走する形になった11号車のフロントと接触、11号車をリタイヤに追い込む結果となってしまった。幸いこの接触についてGT-Aから出された判定は「白黒旗提示」(*スポーツ精神に反する行為に提示される)で、トップ争いのなかでおきたレーシングアクシデントということに落ち着いてチームをほっとさせた。頑強なAston Martinは躯体の方のダメージもほとんどなく、トップに躍り出た安岡選手は「とにかく逃げろ」という監督からの無線に加勢されるように、41Lap目に1’21.989 という素晴らしいベストラップをレコードしながら快走を続けた。

gt_r04_arnage-24.jpg  43Lap目に、ドライバー交代と給油のため、チームは車両をピットに呼び戻す。安岡選手は加納選手にステアリングを委ね、チームは当初の予定通りタイヤ交換なしで車両をコースに送り出すべく給油をスタート。ところがオフィシャルより、先ほどの11号車との接触の際にリアの左側のホイルが破損していること指摘され、チームは急きょリアのタイヤ交換を余儀なくされ、予想外に時間を要するピット作業となってしまった。

gt_r04_arnage-27.jpg  こうして、加納選手は実質1位でコースに戻ったが、すぐに88号車にパスされ、その後も数台にパスされてしまった。しかも、折悪しく再び霧雨が降り出して路面コンディションが変化し始め、加納選手はなかなか本来の安定した走りをすることができない。しかし59Lapに4位に落ち着いてからは、温まりきらないリアタイヤをうまくコントロールし、並み居る強豪ドライバーのプレッシャーにも屈することなく、落ち着いたドライビングを披露した。そして、後続車両とのマージンをキープし続けた加納選手は、72Lap目4位でチェッカーを受けた。Arnage Racingは惜しくも表彰台に上るチャンスを逸したが、4位は今季最高位となり、後半戦への大きな励みとなった。

  • P1 #88 マネパ ランボルギーニ GT3 織戸 学 / 青木 孝行
  • P2 #65 LEON SLS 黒澤 治樹 / 黒澤 翼
  • P3 #21 Audi R8 LMS ultra リチャード・ライアン / 藤井 誠暢
  • P4 #50 WAKO’S Exe ASTON MARTIN 加納政樹 / 安岡秀徒
チーム代表 伊藤宗治
 まず全体的に、非常に運のいいレースだったと思います。来場していただいたお客様には申し訳ないですが、天候が不安定で、1Dayになってしまって、うちにとってはラッキーでした。練習走行で思わぬコースアウトをやって初日の走行をほとんど走れず、そのまま予選かと思っていたら(予選が)キャンセルになったのでじっくり修理する時間ができた。また、次の日の天候も、よくはなかったけど大崩れしなかったんで、25分間の予選時間の間で予定通り二人を走らせることができたのもよかったしね。天候のせいで変わっていくストーリーを、うまい具合にうちに合わせて書き換えていけたって感じですか。決勝においても、安岡がある程度頑張って、加納さんがそのポジションキープするといった、自分が描いている、うちのレースのストーリーみたいなのをきっちり実現できたのがよかったです。相変わらず業界最小最弱を自負してるArnage Racingなんですが、2戦連続でポイントを獲れたことは本当に喜ばしく思ってますし、応援してくださるスポンサーやファン、そしてスタッフ、ドライバー、それから何よりも、ヨコハマタイヤ様に心から感謝します。
加納選手のコメント
 とりあえず、おつかれさんでした。もともと金曜日にこんな展開やったらいいね、みたいな話をしてた通りの形になりましたね(笑)前半は安岡くんが頑張ってくれたのと、うまくタイヤをセーブしてもらってたんで、(ドライバー交代して)出っていったときは、何とかポジションを守りたいなと思ったんですけどね~。どうしてもリアがNEWやったときの状態でタイム落としてしまったんで、まあそこは、これからの課題かなと思ってます。ただ、この二人で、チーム一丸となって、ポイント圏内を戦えてるような、その手ごたえをじわじわと、すごく感じてるんで、なんかこう、みんながパワーアップしてきたぞみたいなね。これから三連戦やし、アストンは夏もエンジンのタレがないんで、この勢いで、きちっとポイント圏内走れるような準備ができればいいかなと思ってます。ありがとうございます。
安岡選手のコメント
gt_r04_arnage-15.jpg  個人的には菅生は一番好きなサーキットで、しかも一番好きなスリックで雨が降ってくるっていうコンディションで、もう、嬉しくて、楽しくてしょうがない状態で…(実際にたぶん笑ってたんでしょうけど)たまたま500との絡みでまず10号車を抜けて、もう一回500との絡みでチャンスが来たので、11号車に仕掛けたんですが、ほんとに痛恨なんですけど当たってしまって、結果的にそのせいで11号車がリタイアとなり、こちらもリアタイヤを交換しなきゃいけなくなってしまいました。調子がいいときにキッチリ走れないのが僕のいけないところなので、かなり反省です。でも、その分を加納さんが頑張って取り返してくれて、あともうちょっとで表彰台っていうところまで行けました。やっぱり、今後の照準は次の富士というよりは、鈴鹿だと思います。なので、鈴鹿ラウンドに向けて、次の富士でもポイントをかけた戦いが出来れば、また鈴鹿でも優勝をかけた争いができると思いますので、またナニンくんと頑張れるように、次の富士をがんばりたいと思います。

gt_arnage-junior-aston.jpg  応援してくださったスポンサーの方々には深く感謝しますとともに、来る8 月9 日~8 月10 日に富士スピードウェイで開催される次戦富士ラウンドにおきましても、応援のほど宜しくお願いいたします。

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Arnage Racing 2014 SUPER GT Race report


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