Japanese F3

ANABUKIレーシングチーム リリース Rd.9

            ANABUKIレーシングチーム
     1995年 全日本F3選手権シリーズ第9戦 レースレポート
         「雨の激戦!本山 哲、復活の2位表彰台へ!」
 大会名:SUZUKA N1-500
 日時:1995年9月24日(予選23日)
 場所:三重県 鈴鹿サーキットランド(5.86403 km)×17周
 天候:雨
 気温:26℃
 コースコンディション:ウェット
 観客数:15,000人(決勝日)
 9月24日、三重県の鈴鹿サーキットで開催された全日本F3選手権シリーズ第9戦「SUZUKA N1-500」において、ANABUKIレーシングチームの本山 哲選手(ダラーラ395/無限)は、予選5番手からスタートし、激しい雨で困難なコース・コンディションのなか着実に順位を上げて、最後は2位でチェッカーを受けることとなりました。
 過去2戦、不本意な結果に苦しんだ本山選手および童夢チームですが、今回の結果に勇気付けられ、気持ちに弾みをつけてシリーズ最終戦に臨みます。
〔公式予選〕
 シリーズもいよいよ終盤戦をむかえた全日本F3選手権。
 すでにタイトルが決定したとはいえ、選手権に参加する各チーム・ドライバーとも、この一年間の闘いで学んだ成果を形にしようと、開幕当初に勝るとも劣らない意気込みをもって今年三度目の鈴鹿にやってきた。
 もちろん、ANABUKIレーシングチームの本山 哲選手だって例外ではない。
 過去2戦いわゆるスランプ状態に陥り、持ち前の明るさもややもすれば失われがちだったが、済んだことは済んだことと、心機一転、気持ちを切り換えての鈴鹿入りである。
 木・金曜日と行われた練習走行では、これまでは今ひとつ噛み合ってないように感じられたマシンとエンジンが、力を取り戻して自分を後押ししているように思える。
 土曜日午前・午後に行われた公式予選でも、本山はここ2戦のスランプもどこへやら、キレのいいリズミカルな走りを見せ、チームの面々もひと安心だ。
 翌日曜日の決勝レースは、台風の接近で天候が崩れ、レインタイヤで走る公算が高い。 各チームとも予選・決勝を通じて使用が許されている6本のドライ・タイヤ全てを予選に投じ、ドライバー達は積極的にタイムアタックを繰り返した。
 本山は直線区間での加速が少し物足りず、予選一回目は2分06秒079、風が吹いてコース・コンディションが荒れた予選2回目はタイムアップならず。総合5番手の予選結果に留まったものの、過去2戦何となくちぐはぐだった自分とマシンの息があってきたことを確信できて気分は上々。「前のレースは9番手だったんだから大進歩だよ(笑)!」と本山お得意のジョークも飛びだし、ピットに笑いが戻ってきた。
〔決勝レース〕
 予報通り、日曜日は朝から雨風が吹き荒れる天候となった。
 F3のスタート時刻が近づき、風はおさまりつつあったが、雨の方は一向に止む気配がない。主催者よりスタート予定時刻の遅延とウェット・レースが宣言され、レインタイヤの装着許可が各チームに通達された。
 各チームがレイン・タイヤでのマシン最終調整を行い、ドライバーはコース状況を確認するためのフリー走行時間も設けられた。本山も、深い溝が刻まれたレイン・タイヤを履き、前後ウイング、車高などセッティングを調整しなおしたマシンで数ラップを走行。
 雨が吹きつけるコースはどこもかしこも水たまりだらけで、ドライバーとしては嬉しくない状況だが、レイン・セッティングに変更したマシンの調子はなかなか、悪くない。
 路面が滑りやすくなりスピードを落とさざるを得ない雨のレースでは、ハード面の能力格差が減って、ソフト面、つまりドライバーの腕が勝負になる。
 木曜日からこちら自信を取り戻しつつあった本山にとって雨のレースは、自分の調子を試す意味でも、むしろ大歓迎の気分だった。
 そしていよいよレースが始まり、本山は無難なスタートから5番手のままで、まずは1周目を終了。2周目、3周目と本山はすぐ前の加藤寛規選手との差をつめて、4周目にはこれをパス。勢いづく本山のラップタイムは前方でトップを争う3台、道上 龍、ペドロ・デ・ラ・ロサ、西宮圭一の三選手の誰よりも速く、1周ごとに前の3台に追いついていく様子がモニター画面でもハッキリ分かる。
 雨は少しおさまりつつあったが、マシンがけたてる水しぶきはまだまだ激しい。
 7周目には完全に前の3台に追いついたものの、誰かが何らかのミスを犯さない限り、3台を抜くのはのは容易でないのは誰の目にも明らかだった。
 しかし、相手のミスを誘いだして抜きさるチャンスを作るのもまたドライバーの技量であり、前を走る三選手も、何とか相手からチャンスを奪おうと、一瞬の気も許せないギリギリのバトルを展開している。
 背後から3選手の様子を冷静に見ていて、本山は彼らが精神的にもかなりヒートアップしていると感じた。こういう時はコースの状態が状態だけに、一触即発でアクシデントが起きやすい。
 少し様子をうかがうべく本山が3台からわざと間隔をおいた9周目、スプーン・カーブでまずは道上選手とロサ選手が接触し、アウト側にいた道上選手はコースアウト。続いてロサ選手と西宮選手が接触して西宮選手は失速。ロサ選手はたぐい稀なマシンコントロールでトップを奪うことに成功し、間隔をおいていて難を逃れた本山は、まさに予感が的中した形で2番手に浮上したのである。
 久方ぶりのデ・ラ・ロサ選手の後ろ姿は、本山の闘争本能を思いっきり揺さぶった。
 本山のラップタイムは完全にロサ選手を上回り、2台の間隔は10分の1秒単位で縮まっていく。
 このところ独走レースばかりだったロサ選手も、存分にやり合える好敵手の復活に対し、技の限りを尽くしてその進撃を抑えようと必死で応戦してくる。
 コーナリングは本山の方がやや速くてロサ選手に近づくのだが、ウォータースクリーンで前が全く見えなくなる直線区間では、ロサ選手が辛うじて本山を引き離す。
 2コーナーからS字にかけてロサ選手の真後ろに追いつく本山は、滑りやすい危険を承知であえて走行ラインをはずし、ロサ選手のアウト側に並びかけるのだが、次のコーナーでロサ選手はきっちりイン側の走行ラインを守り、全く本山につけいるスキを与えない。 抜くか抜かれるか、死力を尽くした両者の闘いはチェッカー・フラッグが降り下ろされるその瞬間まで続けられ、本山は3レースぶりで2位表彰台へ。
 スランプに苦しんでいた本山の、堂々の復活を宣言する2位獲得に、観客から惜しみない拍手が送られていた。
◇本山 哲選手のコメント◇
 ロサ選手を抜ききれないままに終わって、とても悔しい!
 でも、今日は久しぶりに自分の走りが出来たというか、思う存分に闘えたので納得している部分もあります。
 このところ沈みがちだったチームの雰囲気も、今回のレースで上向いてきたのが何よりです。
 今季もあと残り1戦ですが、全力を尽くして最上の結果を目指します!
 次戦はいよいよ最終戦。10月8日、仙台ハイランドで開催されます。
・エ


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