SUPER GT

SGT:第2戦富士 SUPER GT開幕。荒天の富士でLEXUS SC430が2位から6位を占める (TOYOTA)

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惜しくも優勝は叶わなかったが、ENEOS SUSTINA SC430 6号車の
伊藤大輔/大嶋和也組(左)が2位、GT500クラスデビュー戦となった
WedsSport ADVAN SC430 19号車の片岡龍也/荒聖治(右)が
3位に入り表彰台を獲得した

 SUPER GT第2戦「FUJI GT 400km RACE」が4月30日(土)、5月1日(日)の両日、 静岡県の富士スピードウェイで開催された。

 今季のSUPER GTは4月の岡山大会が第1戦として予定されていたが、東日本大震災の影響で延期されたため、第2戦として予定されていたこの富士大会が実質的な開幕戦となる。

 今大会、レース名は予定されていた400kmのままだが、レース距離は300kmに短縮されて開催されることとなった。今季のSUPER GTは「がんばろう!日本」の応援メッセージを掲げ、全大会で東日本大震災支援大会として、被災者支援活動も行う。

 昨年の富士大会では、ホームコースでもある富士を得意とするLEXUS SC430がトップ4を独占。GT300クラスでもカローラアクシオが勝利を挙げるなど、完全制覇を果たしている。今季はLEXUSチーム内でもドライバーの入れ替わりがあった他、新たに加わったドライバーにも注目が集まった。

 開幕戦ということでウェイトハンデはなし。テストも行えなかったチームが多いことから、特別に29日(金)に練習走行日が設けられた。

 今季は、GT500クラスにレクサスチームからの参戦車両が一台増加し、6台のLEXUS SC430が参戦。また、GT300クラスに1台のLEXUS IS350と2台のカローラアクシオが出場する。

◆予選◆

 30日(土)はドライコンディションながら、かなりの強風に見舞われる一日となった。午前中の公式練習走行を経て、午後1時15分からスーパーラップへの進出権をかけた予選1回目が行われた。

 予選1回目では、DENSO SARD SC430 39号車がLEXUS勢最上位の4番手。ENEOS SUSTINA SC430 6号車が7番手、PETRONAS TOM'S SC430 36号車が10番手でスーパーラップ進出を決めた。

 ZENT CERUMO SC430 38号車は11番手、今季より新規参戦となったWedsSport ADVAN SC430 19号車が14番手、D'STATION KeePer SC430 35号車はステアリング系のトラブルでアタックできず、最後尾15番手グリッドが確定した。

 GT300クラスでは、TDPドライバーの国本雄資がアタックを担当したCOROLLA Axio apr GT 74号車が13番手。ハセプロMA イワサキ aprカローラ 31号車が16番手、SG CHANGI IS350 14号車が17番手から決勝に進むこととなった。

 午後3時よりスーパーラップが開始。アンドレ・ロッテラーのドライブで最初にコースインした36号車は8番手タイムをマーク。6号車のアタッカーを担当するTDPドライバーの大嶋和也が4台目に出走。予選1回目よりもタイムを縮め、昨年自らがマークしたポールポジションのタイムを上回る好走を見せたが、他車もタイムを伸ばし、5番手となった。

 7台目に39号車がTDPドライバー 石浦宏明のドライブでアタックを開始。石浦はすばらしい走りでトップタイムをたたき出し、見事ポールポジションを獲得した。石浦にとっても、自身がアタックした予選では初のポール獲得。チームサードに15年8ヶ月ぶりとなるポールポジションをもたらした。

◆決勝◆

 5月1日(日)は未明からの雨で、朝のフリー走行はウェットコンディション。

 決勝開始の時間になっても雨はやまず、ウェットコンディションでの決勝レーススタートとなった。

 レース開始前には黙祷が捧げられ、雨が若干強まる中、午後2時に66周のレースがスタート。悪天候のため、通常のローリングスタートではなく、セーフティカーの先導で走行、5周を終えたところでセーフティカーがピットへ戻り、本格戦が開始された。

 ポールポジションからスタートを切った39号車は、降雨量に対するタイヤ選択があわず、ペースダウン。一気に後続の先行を許し、7位まで後退。その後ピットでタイヤを交換したため、最後尾まで落ちてしまった。

 その後は、2台のGT-Rが首位を争う後方で、3位以降にレクサス勢が続いた。18周目にカルソニック IMPUL GT-R 12号車が接触を喫し後退すると、大嶋がスタートを担当した6号車が2位、38号車3位、テール・トゥ・ノーズでのバトルの末に36号車をパスした19号車が4位、36号車が5位、最後尾スタートから追い上げてきた35号車が6位へと浮上してきた。

 その後は膠着状態が続くが、36号車は先陣を切ってアンドレ・ロッテラーから今季6年ぶりの国内レース復帰となるTDPドライバー 中嶋一貴へとドライバー交代。

 他のチームは規定ぎりぎりとなる43周目から44周目に一斉にピットイン。ここで、首位を追う6号車は大嶋から伊藤大輔へとドライバーチェンジを行ったが、タイヤ交換を行わず最後まで走りきるという作戦に出た。

 これを受けてか、首位を逃げるMOTUL AUTECH GT-R 23号車もタイヤ交換なしでピットアウト。伊藤はここから猛追を見せ、ヘビーウェットの難コンディションにもかかわらず、ピットイン前は17秒近くあった差を、55周目には4.7秒まで詰めていき、終盤の逆転に期待がかかった。

 レースも残り10周を切り、さらに雨脚が強まると、上位勢も大きくペースが落ち、コースの各所でスピンする車両が多発。

 結局、残り6周の時点で、競技長はこれ以上のレース続行は危険と判断し、赤旗が出され、レースは中断。まもなく、59周目終了時点での順位でレースが成立、終了することが発表された。

 この結果、6号車は惜しくも2位。3位にはチームとしてGT500クラスデビュー戦となった19号車が入り、初表彰台を獲得。この日誕生日を迎えた片岡龍也、5日に誕生日を迎える荒聖治のコンビにとって嬉しい表彰台となった。4位に36号車、5位に38号車、6位には序盤最後尾に落ちながらも見事なリカバリーを見せた39号車が入り、LEXUS勢は優勝こそ叶わなかったものの、2位から6位をを占める結果となった。

 GT300クラスでは、16番手スタートの31号車が好走を見せ、ストレートスピードに勝る海外勢と激しいバトルを展開。表彰台には後一歩及ばなかったが、4位フィニッシュを果たした。74号車が7位、14号車はトップ10圏内を走行していたが他車との接触でスピンを喫し、16位に終わった。

 次戦は延期となった第1戦岡山大会が5月21日(土)、22日(日)の日程で開催される。

NEOS SUSTINA SC430 6号車 ドライバー 伊藤大輔:
 今日の結果は本当に悔しいが、悪天候で荒れた展開の中で、今シーズン2位というスタートを切れたことは良かったと思う。タイヤの選択も迷うところではあったが、自分にクルマをバトンタッチしてくれれば、なんとかチェッカーを受けポイントを獲得するつもりだった。リスクの高いコンディションでレーサーとしてアクセルを緩められない状況ではあったが、最終的に赤旗が出た時は、レーサーとしてクルマを走らせる状況ではなかったので、正しい判断だったと思う。レース中ずっと応援してくださったみなさまへお礼が言いたい。そして東日本大震災で被災された方々が、この我々が走る姿を見て、元気になって欲しいと願っている。
ENEOS SUSTINA SC430 6号車 ドライバー 大嶋和也:
 久しぶりの雨のレースでデータもあまりなく、また状況を探りながら走ったので、とても緊張した。選択したタイヤと、雨用のセッティングがうまくいき、この不安定な天候の中、結果を出すことができた。今のチームの雰囲気がとても良く、監督・エンジニア・スタッフの信頼関係も築けていることが結果に繋がったと思う。開幕戦が延期になり、この富士のレースをたくさんの方が待ち望んでいた。その方々のために、精一杯の走りを見せることで、日本が少しでも元気になってくれればと思う。
WedsSport ADVAN SC430 19号車 ドライバー 片岡龍也:
 予選14番手で決勝の日の朝を迎え、天候はあいにくの雨天。クルマは、ドライセッティングであったため、初めてのレインセッティングへ変更ということで、TRDに相談しながら、決勝に向け準備をした。“雨のヨコハマ”と例えられるように、レース開始3周でのタイヤのパフォーマンスは、トップクラスと実感。無交換作戦を視野にいれ、20周からは、タイヤを労り走り続けた。雨量が減ってしまうと、苦しい展開になり心配もしたが、自分自身のGT500クラス復帰戦、誕生日をこのような形で迎えることができて、本当に嬉しい。
WedsSport ADVAN SC430 19号車 ドライバー 荒聖治:
 スタートから片岡選手が素晴らしい走りを披露し、改めて横浜タイヤのパフォーマンスの素晴らしさを実感すると共に、今後のレースで、着実に我々の武器となると思った。自分のスティントは雨量が多く大変危険で、片岡選手が築いたリードを失わないよう、自分なりに努力した。バタバタのシェイクダウンから、何とか今日のこの日を迎え、表彰台に上がるという幸先の良いスタートが切れて良かった。
Text & Photo: トヨタ自動車株式会社


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