2025年Formula Beat(F-Be)地方選手権第8戦決勝は7月19日(土)にスポーツランドSUGOで行われ、ポールポジションからスタートの酒井翔太(ファーストガレージ FG108)がオープニングラップから後続をちぎって15周を走り切り優勝した。
梅雨明け翌日のスポーツランドSUGOは朝から気温がどんどん上昇し、12時15分のフォーメーションラップ開始時点で気温31度、路面温度56.5度という厳しいコンディション。走る前からスリックタイヤが溶け出すのではないかというくらい熱いグリッド上では少しでもドライバーに涼をとらせようと小型扇風機やハンディファンが活躍している。決勝は15周もしくは30分で争われるが、朝の予選で赤旗の原因となり予選タイムが抹消された金井亮忠(チームNATS 正義 001)は最後尾から出走が認められ、10台(うちジェントルマンクラス8台)がレースをスタートした。
スタートでジャンプアップしたのはその金井で、レッドライト消灯と同時に鋭い蹴り出しで前方のマシンに襲い掛かり、ピットウォールぎりぎりに寄せて加速。第1コーナーまでに3台を仕留めて7位に上がる。ポールシッターの酒井は無難なスタートでフロントロウに並んだKAMIKAZE(ファーストガレージ&Rd04W)を抑えてホールショットを奪う。3番手スタートの植田正幸(Rnsports制動屋KKZS)に対して4番グリッドの舩井俊仁(ファーストガレージ FG108)と5番グリッドの長嶋重登(ミスト☆T.U.C.GROUP)が並びかけてストレートを加速。3ワイドで第1コーナーに飛び込むとイン側の舩井が3位に浮上、真ん中の長嶋が4位を確保し、アウト側の植田は競り負ける格好で5位に後退する。
金井の勢いはとどまることがなく、第2コーナーで渡邊義人(チームNATS エクシズWXR)をオーバーテイクして6位。予選後のコメントで「後ろから金井先生が来るので少しでも絡みたい」と言っていた渡邊だったが邂逅は僅かな時間だった。さらに第3コーナー出口で植田のインを差して5位、上り勾配のS字で長嶋の背後につけるとハイポイントコーナー進入でインから仕留めて4位までポジションを上げる。
トップ酒井はKAMIKAZEに対して早くも2.151秒のリードでオープニングラップを終了。KAMIKAZEと3位舩井は0.939秒の差。さらに金井が舩井に0.334秒差まで迫り2周目に入るとストレートエンドで舩井をロックオン。第2セクターで前に出て3位まで進出する。6位まで落ちた植田だが長嶋とは0.536秒差で追走しており挽回のチャンスを伺う。
2周目の酒井は1分22秒654と早くも後続の予選タイムより速いペースでぐいぐいと引き離しにかかり、2位KAMIKAZEとは4.495秒の差。3位に上がった金井は0.426秒差とKAMIKAZEを射程に捕らえると、3周目のハイポイントコーナーでインから攻略。ついに2位まで順位を上げる。
4周目、酒井はこの周1分21秒871まで最速ラップを更新。追う金井もセクター2、3と最速タイムを出し1分22秒103でこの周を終えるが、セクター4でも最速を出した酒井は21秒871とこれを上回り金井との差を6.222秒までひろげる。3位KAMIKAZEは2台のペースについて行けず酒井から10秒以上離される。5周目も酒井がセクター1で最速タイムを出すと金井がセクター2、3でタイムを出して応酬するが、コントロールラインに戻ってくると6.308秒差と僅かだがギャップが拡大する。この周のセクタータイムを比較すると、セクター1で酒井が0.233秒のゲイン。セクター2と3で金井が0.318秒、0.080秒を挽回しているが、最終コーナーからメインストレートにかけての10%の急こう配があるセクター4で酒井の方が0.426秒速く、金井はここで差をつけられている。
酒井は6周目1分21秒768、さらに8周目21秒724とハイペースで金井との差を7.084秒まで拡大する。3位KAMIKAZEは19秒以上の差があるがジェントルマンクラスのトップ。以下4位舩井と5位植田の0.672秒差、6位長嶋と7位渡邊0.768秒差とジェントルマンクラスの戦いが厳しい。9周目に植田がセクター3で舩井を攻略、総合4位、ジェントルマンクラスの2位に上がる。
トップを走る酒井は手綱を緩めることなく9周目1分21秒500、10周目には21秒322とこの日のファステストラップをマークするとようやく僅かにペースダウン。金井は7秒以上に開いた差を12周目6.562秒、14周目6.141秒と削り取るがすでに勝負あったという状態で、酒井は一度もその座を脅かされることなく15周を走り切ってフィニッシュ。優勝を飾った。2位金井は酒井にこそ手が届かなかったが最後尾スタートからここまで挽回して、予選後の短いインターバルでマシンを修復した生徒たちに報いた。3位KAMIKAZEは酒井からは37秒差と大差をつけられたがジェントルマンクラス優勝、以下4位植田がクラス2位、5位舩井がクラス3位、6位長嶋がクラス4位という結果になった。
なお第8戦決勝の各選手のベストタイムが明日第9戦のスターティンググリッドを決めることとなっており、ポールポジションが酒井、2番手金井、以下KAMIKAZE~植田~舩井~長嶋~渡辺~杉山~みきてぃ~松本隆行(SHOUEI☆ミスト)という順になった。
F-Be第9戦は明日7月20日(日)にスポーツランドSUGOで開催。第8戦をぶっちぎった酒井に死角はあるのか。今度はフロントロウからスタートする金井がどう挑むか注目だ。
Text: Junichi SEKINEPhoto: Kazuhiro SEKINE










