SUPER FORMULA

SF:第3戦富士 J.P.デ・オリベイラが昨年の雪辱を果たす圧勝、中嶋一貴、石浦宏明が後方スタートから表彰台。トヨタ勢トップ7独占 (TOYOTA)

  • コース:富士スピードウェイ(4.563km)
  • 予選:7月18日(土)雨:ウェット
  • 決勝:7月19日(日)曇:ドライ

 富士スピードウェイでスーパーフォーミュラの第3戦が行われ、2番手グリッドから好スタートを切ったジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(LENOVO TEAM IMPUL)が独走で圧勝。2位に8番手グリッドから抜群のスタートでポジションを上げた中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)、3位には前戦優勝の石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)が入り、連続表彰台獲得。トヨタエンジン搭載車は「ホーム」富士でトップ7を占める速さを見せた。

ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(中央)が今季初勝利。中嶋一貴(左)が2位、石浦宏明(右)が3位に入り、トヨタ勢が表彰台を独占した

ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(中央)が今季初勝利。中嶋一貴(左)が2位、石浦宏明(右)が3位に入り、トヨタ勢が表彰台を独占した

 スーパーフォーミュラの第3戦が7月18日(土)、19日(日)の両日、静岡県の富士スピードウェイで行われた。

 前戦岡山から約2ヶ月のインターバルを置いての第3戦の舞台は、長いストレートが特徴の富士。昨年は第2戦、第3戦と富士で連戦、第2戦はスプリントの2レース制で行われ、第3戦は終盤突然の雨に見舞われたため、大荒れのレース展開となった。

 その荒れた昨年の富士を制し、シリーズチャンピオンにも輝いた中嶋一貴は、負傷により第2戦を欠場したが、今大会より復帰。前戦岡山では石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)が初優勝、小林可夢偉(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)が2位に入るなど調子を上げており、富士を得意とする外国人ドライバー勢との熱いバトルに期待がかかった。

予選

 18日(土)は懸念されていた台風こそ通り過ぎたものの、まだその影響が残りウェットコンディション。午前中のフリー走行時は雨は止み、ウェットから乾きつつある中で行われたが、その後も降ったりやんだりを繰り返し、風も強いコンディション。

 午後2時45分の予選開始時には、雨は止んでいたがコースはウェット。そして、Q1(20分)のセッションが開始される頃に再び雨がぱらつき始めたため、全車セッションスタートと同時にコースインし、序盤から積極的にアタックを開始した。

 Q1のセッション後半に入ると雨量が増してきたため、タイムアップは困難に。トヨタ勢は前半から着実にタイムを刻んでいき、11台全車がトップ14に入ってQ2進出を果たした。

 Q2(7分)も序盤から水煙を上げながら各車アタックしていったが、セッションが進むにつれ路面が回復していき、タイムも向上。終盤、チェッカー目前の最後のアタックでめまぐるしく順位が入れ替わっていった。しかし、チェッカーと前後したこのタイミングで再び雨が強くなり始め、コンディションが変化。タイヤ選択やセッティングをあわせきれなかった車両が僅差でQ3進出条件であるトップ8に届かず。

 復帰戦の中嶋一貴が7番手、小林が8番手と苦しみながらもQ3進出を果たす一方で、前戦ポール・トゥ・ウィンで初優勝を飾った石浦が10番手、開幕戦勝利のアンドレ・ロッテラー(PETRONASTEAM TOM'S)が12番手と、開幕からの2戦の勝者が揃ってQ2敗退となってしまった。

 また、午前中のフリー走行から好調だったウィリアム・ブラー(KONDO RACING)とジェームス・ロシター(KONDO RACING)も9番手、11番手と僅差ながらQ3に進めず。フリー2番手の国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)も13番手となってしまった。

 大波乱の展開となったQ2だが、2年目の中山雄一(KCMG)が6番手と好タイムをマークし、自身初となるQ3進出を果たした。

 Q3(7分間)の開始時には、更に雨量が増したように見え、タイヤを温めるセッション序盤では、挙動を乱す車両も出るなど難しいコンディションとなったが、LENOVO TEAM IMPULの2台はセッティングとタイヤ選択が決まり、他車を大きく引き離すタイムをマーク。Q1、Q2共にトップタイムと絶好調のアンドレア・カルダレッリ(LENOVO TEAM IMPUL)は、唯一1分40秒台に入れる速さを見せ、昨年スポット参戦ながらポールポジションを獲得した富士で、2年連続となるポールポジションを獲得した。  チームメイトのオリベイラは僅か0.13秒及ばなかったものの最前列2番手グリッドを獲得し、LENOVO TEAM IMPULが最前列グリッドを独占。中山が2列目4番手に入り、自身キャリア最高位グリッドにつけることとなった。

 小林、平川亮(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)、中嶋一貴の3台は、午前中のフリー走行とは異なるコンディションとなったこのセッションでタイヤ選択が合わず、6番手、7番手、8番手から明日の決勝に挑むこととなった。

決勝

 19日(日)は雲がかかっているものの路面はドライ。気温28度、路面温度37度というコンディションの下、午後2時に55周で争われる決勝レースのフォーメーションラップが開始された。

 スタートではポールポジションのカルダレッリがやや出遅れ、2番手グリッドのオリベイラが首位へ。後方では8番手グリッドの中嶋一貴、6番手グリッドの小林が好ダッシュを決め、オリベイラに次ぐ2-3位に浮上した。

 カルダレッリは1コーナー進入で行き場を失い他車と接触し、フロントウィングを破損。素晴らしいスタートダッシュからこの混乱を上手く切り抜けた国本が、13番手グリッドから一気に4位へとポジションを上げた。

 このスタートの混乱で、クラッシュした車両がコース脇に止まってしまったため、この車両排除のため1周目からセーフティカーが導入された。

 6周目にレース再開。中嶋一貴はオーバーテイクシステムを使い、首位のオリベイラに迫ったが、逆転には至らず。その後、オリベイラは後続との差を広げていった。

 12番手スタートから7位まで順位を上げていたロッテラーは、10周目終了で早くもピットイン。タイヤを交換せず、給油のみで追い上げる戦略を採った。

 翌周にはスタート直後の接触でフロントウィングの交換を強いられ、14位まで後退していたカルダレッリもピットイン。こちらも給油のみでコースへ復帰した。

 20周目、3位走行中の小林がピットへ。タイヤを4本交換し、ロッテラーの前でコースへ復帰。その後、24周目の中嶋一貴に続き、他の上位勢も続々とピットへ向かった。

 3位につけていた国本は、ややタイヤ交換で手間取り、ピットアウト直後に小林にかわされポジションダウン。しかし、国本も諦めず、2台は激しいバトルを展開。29周目に共にオーバーテイクシステムを使い合いながらのバトルを見せたが、ここはかろうじて小林がポジションをキープ。しかし、32周目、ストレートでのサイド・バイ・サイドから1コーナーの進入で国本が先行。前の周のブレーキング競争でタイヤにフラットスポットを作ってしまった小林は国本の先行を許したのみならず、その後もずるずると後続にかわされることとなってしまった。

 一方、中盤にほとんどの車両がピットを終える中、唯一ピットインのタイミングを遅らせ、ハイペースで周回を重ねていった石浦は、41周目にピットイン。タイヤを4本交換し、ロッテラーの前、3位でコースに復帰した。

 オリベイラ、中嶋一貴、石浦のトップ3台は間隔が大きく開き、それぞれ単独走状態。しかし、タイヤ無交換でペースの上がらない4位のロッテラーに、タイヤを交換した国本、平川らが迫り4位争いを展開。45周目、国本は、巧みなブロックで抑え続けたロッテラーをようやくパス。4位へ浮上した。

 その後方では、スタートでの不運な接触で最後尾近く17位まで順位を落としながらも追い上げてきたカルダレッリが、苦しい小林を猛追。しかし、小林も一歩も譲らず、巧みなブロックを見せ、数周にわたってテール・トゥ・ノーズでのバトルが展開された。

 残り2周となる53周目の最終コーナーで、攻めるカルダレッリが前の小林に僅かに接触。立ち上がりで小林のスリップストリームに入ったカルダレッリは、ストレート中盤で並ぶと、サイド・バイ・サイドのまま1コーナーへ。テクニックを駆使し粘った小林だったが、ここでインをつかれ、カルダレッリが先行。ポイント圏内には届かないバトルながら、トップドライバー2人の意地がぶつかり合ったバトルに観客は酔いしれた。

 首位のオリベイラは、最終的に2位に15秒もの大差をつけ、トップチェッカー。今季初勝利、昨年、独走しながらも終盤の雨による不運なアクシデントで勝利を失った富士で、見事雪辱を果たして見せた。

 2位は8番手スタートから好ダッシュでポジションを上げ、着実に走り切った中嶋一貴。3位に10番手スタートながらピット作戦を決めた石浦が入り、石浦はランキング首位の座を守ることとなった。

 4位に国本が入り、セルモ・インギングは3-4位と好フィニッシュ。ロッテラーはタイヤ無交換ながら平川らの追撃を凌ぎきり5位。平川が6位、ロシターが7位に入り、トヨタエンジンはトップ7を独占する結果となった。終盤のバトルで観客を沸かせたカルダレッリは9位、小林は10位フィニッシュとなった。

 TOYOTA GAZOO Racingへのご声援、ありがとうございました。次戦も応援の程よろしくお願いいたします。

独走で今季初勝利を飾ったジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(LENOVO TEAM IMPUL #19)

独走で今季初勝利を飾ったジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(LENOVO TEAM IMPUL #19)

2位フィニッシュを果たした中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S #1)

2位フィニッシュを果たした中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S #1)

追い上げて3位に入り、連続表彰台獲得となった石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING #38)

追い上げて3位に入り、連続表彰台獲得となった石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING #38)

スタートでは2番手グリッドのオリベイラが首位へ。8番手グリッドの中嶋一貴、6番手グリッドの小林可夢偉(KYGNUS SUNOCO Team LeMans #8)が好ダッシュを決め2,3位に浮上した

スタートでは2番手グリッドのオリベイラが首位へ。8番手グリッドの中嶋一貴、6番手グリッドの小林可夢偉(KYGNUS SUNOCO Team LeMans #8)が好ダッシュを決め2,3位に浮上した

LENOVO TEAM IMPUL 19号車 ドライバー ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ:
 今日のウォームアップ走行は、決勝レースへ向け細かい所を確認する良い機会となった。いくつかの調整を行い、雨が降っても行けるという状態でレースに臨んだ。決勝はスタートが大事で、早くポジションを決め、逃げる展開にしたいと思っていた。スタートはまずまずで、アンドレア(カルダレッリ)を抜くことが出来たが、1コーナーで中嶋選手がすぐ後に迫っており、油断出来なかった。セーフティカーランからの再スタートは、自分の方が中嶋選手よりダウンフォースをつけていたので、ストレートで抜かれないよう、直前の最終セクターで距離を確保した。危なかったが首位を守れた。簡単なレースではなかった。全力を出し切り、勝てて嬉しい。
PETRONAS TEAM TOM'S 1号車 ドライバー 中嶋一貴:
 昨日の予選から今日のウォームアップまで、ペースも流れもあまり良くなかったので多少不安はあった。8分間のウォームアップでダウンフォースをつけて、フィーリングが少し良くなった。周りも良いスタートだったが、アウト側へとラインを変えて行ったら、幸い2番手まで上がることが出来た。あれでレースが決まったようなものだった。JP(デ・オリベイラ)よりダウンフォースが少ないのはわかっていた。セーフティカーランからの再スタートでのストレートが抜くチャンスだったのかも知れないが、もし前に出られてもどこまで抑えられたか分からない。レースペースなど、JPにはかなわないレースだった。2位という結果には満足している。
P.MU/CERUMO・INGING 38号車 ドライバー 石浦宏明:
 昨日から今朝にかけて、フロントサスペンション周りにトラブルが出て、違和感があった。予選でもタイヤ選択をミスし、フィーリングも良くなかったが、決勝前に改善出来、優勝した岡山の時の感触に戻った。ウォームアップ走行の段階で良い手応えがあったので、スタートさえ決められればと考えていた。スタートはまずまずだったが、両側を挟まれる形となり、ブレーキを踏んで避けたら3台くらいに先行されてしまった。セーフティカーランからの再スタート時も、オーバーテイクボタンを使ったが、同時にアンドレ(ロッテラー)にも使われて前に行かれるなど流れが悪く、どこで打開しようかと思っていた。さらにそこから無線が壊れてしまうという不運にも見舞われた。そんな状況だったが、ピット後、アンドレの前に出られるだけのギャップを築くべく猛プッシュした。レース前、自分は早めにピットに入りたかったが、エンジニアには引っ張った方が良いんじゃないかと言われていた。結果的に、チームとエンジニアのアドバイスのおかげで3位に入ることが出来、満足している。
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