SUPER GT

SGT:第8戦もてぎ 伊藤/カルダレッリ組LEXUS RC Fが13番手から追い上げ2位、参戦初年度のLEXUS RC Fは今季8戦中最多の4勝を挙げ、高いパフォーマンスを発揮するも、惜しくもタイトル獲得はならず (TOYOTA)

 11月15日(土)、16日(日)の両日、ツインリンクもてぎでSUPER GTの今季最終戦(第8戦)が行われた。タイトルを争っていた伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ組 KeePer TOM'S RC F 37号車が予選13番手から見事な追い上げを見せ、2位でフィニッシュしたが、僅かに及ばずタイトル獲得はならず。ランキング首位につけていたジェームス・ロシターと中嶋一貴のPETRONAS TOM'S RC F 36号車は序盤の接触の影響でペースが伸びず10位に終わった。GT300クラスでは新田守男/嵯峨宏紀組 OGT Panasonic PRIUS 31号車が速さを見せ、今季2度目となる2位表彰台を獲得した。

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13番手スタートから追い上げ2位表彰台を獲得。ランキングも2位となった
伊藤大輔(左)とアンドレア・カルダレッリ(右)

 11月15日(土)、16日(日)の両日、栃木県芳賀郡茂木町のツインリンクもてぎでSUPER GTの第8戦(最終戦)「MOTEGI GT 250km RACE」が開催された。

 3メーカー全車が全く新しい車体に、新型のエンジンを搭載して戦われることとなった2014年シーズンのSUPER GTも最終戦。注目のタイトル争いは、5台が可能性を残して臨んだ。ランキング首位は前々戦鈴鹿1000km、前戦タイと終盤の2連勝で一気に浮上したPETRONAS TOM'S RC F 36号車のジェームス・ロシター(中嶋一貴は第2,第3戦欠場のため単独5位でタイトルの可能性は無し)。そしてこれを3ポイント差で追うのがチームメイトであるKeePer TOM'S RC F 37号車の伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ組。しかし、首位ロシターとは6、7ポイント差で日産勢の2台、14ポイント差でホンダ勢が追っており、優勝で20ポイント獲得可能なSUPER GTではこの5組が最終戦でタイトルを争うこととなった。

 今大会GT500クラスは全車ウェイトハンデ無しの真っ向勝負。SUPER GTでは短い250kmで争われ、比較的追い抜きの難しいもてぎということもあり、予選から「新生」SUPER GT初年度のチャンピオン獲得を目指し、紅葉に囲まれたもてぎで、熱い戦いが繰り広げられた。

◆予選◆

 今大会は14日(金)に公式テストが実施。15日(土)は予選に先立って午前中に公式練習走行が行われた。金曜日のテストでは36号車がトップタイム、37号車が5番手につけたが、土曜日午前の練習走行では、WedsSport ADVAN RC F 19号車の6番手が最上位と、ライバルの先行を許して予選を迎えることとなった。

 エンジン、シャシー共に一新された今季のSUPER GTはシーズンを通して各コースでタイム向上が見られたが、今大会も、公式練習走行の時点で、15台全車がこれまでのコースレコードを上回り、新生SUPER GTの速さを改めて示す形となった。

 午後1時45分、15分間の予選Q1が開始。セッション序盤は全車ピットで待機し、残り9分を過ぎたあたりからコースイン。立川祐路のZENT CERUMO RC F 1号車がコースに出てすぐトラブルのためにスローダウン。5コーナー付近でコース脇に車両を停めてしまった。これによりセッションは赤旗中断。1号車はノータイムで最後尾スタートに。

 セッションは残り7分で午後2時ちょうどに再開。全車一斉にピットアウトし、アタックを開始した。しかし、アタックに入った37号車の伊藤がコーナー進入でスピンを喫し、コースオフ。そのまま走行を終えることとなり、13番手。

 このセッションでは関口雄飛の19号車が終盤好走を見せタイムアップを果たし、LEXUS RC F勢最上位の3番手。ロシターの36号車も順当に7番手タイムをマークしQ2進出を決めた。

 一方で、フリー走行でトラブルに見舞われるなど苦しい幕開けとなったENEOS SUSTINA RC F 6号車は大嶋和也がアタックしたが10番手、石浦宏明がアタックしたDENSO KOBELCO SARD RC F 39号車が11番手とタイムを伸ばせず、LEXUS RC Fは4台がQ1で姿を消すこととなってしまった。

 Q2(12分間)も残り9分ほどから各車コースへ。36号車の中嶋一貴は最後にコースインし、終盤2周連続のアタック。チェッカーが振られた直後、最後の計測ラップで更にタイムを更新し、2列目4番手グリッドを獲得。脇阪寿一がアタックした19号車が7番手グリッドから明日の決勝レースをスタートすることとなった。

 GT300クラスでは、午前中に行われた公式練習走行でOGT Panasonic PRIUS 31号車が2番手につけ、期待と共に予選を迎えた。

 午後1時半にQ1がスタート。嵯峨がアタッカーを務め、序盤から好タイム。セッションが進むに連れ順位は落ちていったが、終盤のアタックでタイムを更新し、10番手でQ2進出。Q2では、新田が好走。ポールポジションを争い、ファイナルラップまでアタックを続けたが、僅かに届かず。それでも2番手で最前列グリッドを獲得した。

◆決勝◆

 15日(日)はこの週末最高の秋晴れとなり、気温16度、路面温度23度のコンディションで午後1時に、交通安全啓発活動としての白バイ、パトカーによる先導パレードランに続き、フォーメーションラップが行われ、53周、250kmにわたる決勝レースのスタートが切られた。

 スタート直後は上位勢に大きな混乱、順位変動は無かったが、4位をキープしたロシターの36号車は。1周目の激しい順位争いの中で後続から接触され、順位こそキープしたが、車両前部にダメージを負ってしまった。

 後方では、10番手スタートの6号車 国本雄資が8位へ、13番手スタートの37号車 カルダレッリが9位へとジャンプアップ。一方で接触を喫した36号車のペースが上がらず、何とか4位をキープするも後続を連ねての走行となり、上位3台が逃げて差を広げていく展開となった。

 勢いに乗る37号車のカルダレッリは、8周目に7位へ浮上すると、周回遅れも上手く利用し、激しい4位争いをしていた19号車、続いて36号車もパスし、4位へと浮上した。

 21周目、4位の37号車が先陣を切ってピットへ向かい、伊藤へと交代。翌周には36号車も中嶋一貴へとドライバー交代を行った。

 今大会、予選から好走を見せている19号車は、スタートを担当した関口が健闘。GT500クラスでは最後までピットを引っ張り、首位を走行していた33周目にピットへ。脇阪へとバトンを渡し、37号車の前、2位でコースに復帰した。

 しかし、19号車はタイヤ無交換作戦を採っており、タイヤの厳しい19号車を、38周目に37号車がパス。37号車は2位に浮上し、タイトル獲得のために必要な優勝を目指し、首位追撃を開始した。

 一方、37号車にかわされた19号車は、厳しいタイヤながらも脇阪がベテランらしい走りを見せ、追い上げる後続との息をもつかせぬぎりぎりのバトルを展開。惜しくも終盤かわされてしまったが、3メーカーのベテランドライバーによる、表彰台を賭けた3ワイドバトルは観客を沸かせた。

 終盤、37号車は懸命な追走を見せたが、逆転には至らず、それでも13番手スタートから追い上げての2位フィニッシュ。今季3度目の表彰台を獲得した。ドライバーズランキングでは、惜しくも及ばず2位となった。

 健闘を見せた19号車が6位。予選でトラブルに見舞われ、最後尾スタートから追い上げた1号車が7位。39号車が9位。36号車はダメージの影響でペースが上げられず10位。6号車が11位でレースを終えた。

 GT300クラスでは、2番手スタートのプリウス31号車が、スタート直後にかわされ3位へ後退。しかし、31号車の新田は、再三にわたって前走車を攻め、激しい2位争いを展開。

 追い抜きの難しいもてぎで、速さに勝りながらもなかなかパス出来ない状況となった31号車は、18周目に早くもピットインし、嵯峨へとドライバーチェンジ。タイヤを交換せず、素早いピットでコースに復帰した。

 全車がピット作業を終えた34周目には再び2位へと浮上。長いスティントながら嵯峨は最後までペースを緩めることなく、2位でチェッカー。今季2度目の2位表彰台を獲得した。

 これで今季のSUPER GTは全スケジュールが終了。LEXUS Racingは、新規定に則ったLEXUS RC Fのデビューイヤーに全8戦中4勝を挙げ、そのパフォーマンスの高さを証明したが、惜しくもタイトル獲得は逃すこととなった。

KeePer TOM'S RC F 37号車 ドライバー 伊藤大輔:
 今日は序盤からアンドレアがアグレッシブに走ってくれて勇気をもらえた。チャンスが巡って来るのを待ちながら、出来る限りポジションを上げていった。後半は苦しい部分もあったが、最後までポジションを守って走り切ることが出来た。これだけポジションを上げられたのはチームのおかげだ。今シーズンは、一年を通して戦闘力のあるクルマだった。開幕戦勝利で良いスタートを切り、セオリー通りにポイントを獲って来たが、23号車が速く、タイトルには届かなかった。ハンデがとても厳しいシーズンだった。チーム、TRD、タイヤメーカー、皆頑張ってくれた。今季の課題を克服し、来季は巻き返したい。
KeePer TOM'S RC F 37号車 ドライバー アンドレア・カルダレッリ:
 今日はとても面白いレースが出来た。23号車がとても速く追いつけなかったが、予選13位からのスタートで、今、我々が出来る最高の2位というリザルトをチームのおかげで残すことが出来て良かった。今シーズンは、開幕戦優勝、菅生で2位、今回の2位と結果を残し、ミスなくポイントを重ねることが出来た。LEXUS、トムス、TRD、スポンサー、ファンの皆様に感謝したい。
PETRONAS TOM'S RC F 36号車 ドライバー ジェームス・ロシター:
 今日のレースは、他車に接触されてしまったため、優勝を逃してしまった。クルマがスライドしてしまい、フロント部分にダメージを負ったことでダウンフォースを失い、そのまま走らざるを得なかった。2位に入ればチャンピオンという状況だったのだが、チャンスを失い残念だ。来季、またチャレンジしたい。
OGT Panasonic PRIUS 31号車 ドライバー 新田守男:
 優勝を目指して臨んだ最終戦だったが、ブレーキにトラブルも出て及ばなかった。タイヤ無交換であのパフォーマンスが出せたのは良かったが、最後は優勝で締めたかったので結果は残念だ。これまであまり得意ではなかったもてぎで、ハイブリッドのパフォーマンスが出て来るようになったので、さらにクルマやタイヤに合わせ込んでいけば結果に繋がると感じた。次につながる非常に良いレースだった。
OGT Panasonic PRIUS 31号車 ドライバー 嵯峨宏紀:
 今日は、ライバルに対してタイヤ無交換で最後までプッシュするという作戦を採り、結果的に優勝には届かなかったが、全力を出し切ったので悔いのないレースだった。スピードの部分で足りない部分があり、リタイアが多かったという点もチャンピオンを獲れなかった要因だと思っている。最終戦が終わった時点から、来年の戦いがスタートするので、チームと共に来季に向けまた頑張って行きたい。
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