FIA-F4選手権シリーズ第3戦の決勝は、スタートからゴールまで激しいドッグファイトが繰り返される白熱した戦いとなった。
この激戦を制したのは予選3番手からスタートした#36坪井翔(FTRSスカラシップF4)、#11牧野任祐(DODIE・インプローブスRN-S)の連勝に待ったをかけ、今季初勝利を飾った。
近年のミドルフォーミュラでは久しくなかった28台ものエントリーを集めて開幕したFIA-F4。
それをはるかに上回る38台で行われた第3戦決勝は、スタートから15周後のゴールまで、コースのいたるところで接戦の繰り広げられる実に見ごたえのあるレースとなった。
スタートでトップに立ったのは予選2番手の#51三笠雄一。
ポールの牧野は動き出しがわずかに遅く、ポジションを一つ落としてオープニングラップを終えるが、すかさず2周目の1コーナーで三笠のインに飛び込んでトップを奪い返した。
この牧野のアタックに乗じて3番手を走行していた#50山田真之亮、4番手の#7大津弘樹らも相次いで三笠を攻略、更にはスタートで5番手まで後退していた坪井も3周目に三笠を捉えて4位に浮上した。
坪井はその後も立て続けにファステストラップを更新しながら追い上げ、5周目に大津、8周目の1コーナーでは山田のインをついて2位に浮上すると、その周のプリウスコーナーではついに牧野をも捉えてトップに躍り出た。
しかし牧野も諦めない。
ホームストレートで坪井のスリップに潜り込み、坪井の隙を伺いながら周回を重ねていく。
そして14周目。
ダンロップコーナーの進入で目を疑うようなハードブレーキングで坪井のインに飛び込む牧野。
縁石に乗り上げながら懸命に抑え込む坪井。
両者もつれるように第3セクターを駆け上がり、いよいよファイナルラップへ。
1コーナーで、コカコーラコーナーで、100Rで、坪井の隙を窺う牧野だったが、富士を知り尽くした坪井は巧みなブロックで牧野を押さえ込み、そのままチェッカーを受けた。
2位牧野との差は僅か0.09秒。
3位の山田でさえも0.3秒という近年稀に見る接戦だった。
FIA-F4選手権シリーズはこのあと明日午前9時55分より第4戦決勝を同じく15周で行う。
- 優勝 坪井翔
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スタートは3番手を死守という感じでしたが、イン側に山田くんがいたのでそれ以上寄せられませんでした。山田くんに入られた隙に大津くんにも前に行かれてしまい、5番手になってしまいました。そこからはペースも良かったし、スリップも使えるので、なるべく1コーナーで抜くように心がけてリスク少なく前に行こうと思いました。牧野くんに追いついてからはストレートでは抜かず、プリウスコーナーに入るところで前に出ました。
あまり差す場所ではないのですが、あえてプリウスで仕掛けました。
(14周目のダンロップで牧野選手に飛び込まれた時は)びっくりしましたね。でもあそこで引いたら前に出るのが大変なので、思い切るしかないと思ってはみ出ながら、岡山のレースを再現しました。
明日は今日みたいに1周目で順位を落とさないよう、スタートで前に出て逃げ切るみたいな形で勝ちたいです。 - 2位 牧野任祐
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ミラーで坪井選手を見ていて、明らかにペースが違うな、という感じはありましたが、今日は負けました。明日はやり返します。
全勝はできなくなりましたが、残りは全部勝つつもりです。
プリウスで入られた時は、どうせあそこで行かれてもストレートで抜き返すつもりだったので「どうぞ」という気持ちだったんですが。コカコーラコーナーではインからいっても抜けないんで、クロスラインをとって100Rでインを取れれば、という気持ちはありましたが、そう甘くはありませんでした。ダンロップで飛び込む方法も今日見せてしまったので、明日は違うことを考えないといけませんね。 - 3位 山田真之亮
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悔しいですけど、自分のペースから考えるとこれがベストの結果なのかなと思います。昨日の練習からペースが良くなくて、予選もうまくいきませんでしたが、今日はトップを狙える位置でレースをしながらタイヤも温存できたので、明日はいい結果を出したいと思います。
気温が高くなったのでタイヤにも辛いレースでした。
Photo: Motorsports Forum