F4 JAPANESE CHAMPIONSHIP (FIA-F4)

FIA-F4:第14戦決勝 死闘を制したのは#11牧野。しかし怒涛の追い上げをみせた#36坪井が2015チャンピオンを獲得!!

勝つしかなかった#11牧野任祐。
勝つことしか考えてなかった#36坪井翔。

FIA-F4選手権第14戦決勝が11月15日、栃木県のツインリンクもてぎで行われた。
昨日に続いてのあいにくのウェットコンディションでの戦いを制したのはポールポジションの#11牧野任祐(Rnスポーツ)。しかし9番グリッドから怒涛の追い上げを見せた#36坪井翔(トムス)が2位に入ったため、2015年度のドライバーズタイトルは坪井が手にすることとなった。

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第14戦決勝は午前10時05分より12周で行われた。
路面はウェットだったが、雨はすでに上がっていたため周回を重ねるごとに路面が乾いていく状況。これがレース展開に大いに影響を及ぼすこととなった。

1コーナーにトップで飛び込んだのは2番手スタートの#14根本悠生(KCMG)。
しかしポールシッターの#11牧野が2コーナーの立ち上がりでアウトから根本を押さえつけ、トップを奪い返す。
根本は続く3コーナーでアウトにはらんだところを#7大津弘樹(HFDP)に突かれるが、すぐに抜き返して2位で牧野を追う。
その後方では9番グリッドからロケットスタートを決めた#36坪井が凄まじい勢いで追い上げを開始していた。
最初の1コーナーこそ勢い余ってオーバーランしてしまった坪井だったが、そこから至る所で前を走るクルマにバトルを挑み、オープニングラップを4位で戻ってきた。
3位の#7大津はすぐ目の前だ。

#36坪井は2周めのV字で#7大津のインに飛び込み、3位に浮上すると、3周目、4周目と立て続けにファアステストラップを更新、一気に#14根本の背後に迫る。
5周を終わって根本との差は0.4秒。トップの#11牧野はそこから更に4秒のリードを築き上げていた。

S字、V字、ヘアピンと、微妙にラインを変えて根本の隙を窺っていた坪井が動いたのは8周目。
だんだんインにつけなくなってきていた根本にS字の一つ目でインから並びかけ、そのまま並走状態に持ち込んでV字コーナー手前で前に出た。
抜かれた根本も続くヘアピンでインに飛び込んで挽回を試みるが、立ち上がりで根本が抜き返し、2位でコントロールラインに戻ってきた。
この時点での#11牧野との差はなんと3.7秒。
根本との熾烈なバトルを展開しながらなおもトップとの差は詰まっていた。

雨が降ると読んでスタートでニュータイヤを選択した#11牧野は、路面コンディションが回復するにつれて次第に苦しい走りを強いられるようになっていたのだ。
背後にはユーズドタイヤでスタートした#36坪井がどんどん迫ってきた。

たとえ牧野が優勝しても、3位以内に入りさえすればシリーズタイトルは坪井のものになる。
しかし坪井は勝つことしか考えていなかったといい、その通りに牧野を追い上げにかかっていた。
その差は9周目を終えて2.8秒。10周目には最終コーナーで牧野が周回遅れ煮詰まってしまい、一気にその差が1.5秒に。ファイナルラップを迎えた時には0.6秒と完全にテール・トゥ・ノーズの状態に。

そして最後のヘアピンで坪井が動いた。
ブレーキを遅らせてインに飛び込む坪井。一歩も引かない牧野。両者は並んだままバックストレートへ。じわじわと寄せてくる牧野に対して坪井はラインを変えてアウトから90度コーナーでブレーキ勝負を挑むが、ここは牧野が制した。
続く最終コーナーにはまさかのスピン車両が。これをかわしつつも最後のストレートで懸命に追いすがる坪井。
しかし最初にフィニッシュラインを超えたのは牧野だった。坪井はわずかコンマ2秒届かず。
しかし悔し涙を流したのは今季6勝目を挙げた牧野。
敗れた坪井は年間ポイントでは牧野の追撃を振り切り、FIA-F4の最初のチャンピオンという栄冠を勝ち取った。

開幕から最終戦まで若者たちの激しいバトルが至る所で繰り広げられたFIA-F4の最初のシーズンはこうして幕を閉じた。
2016年シーズンは4月9-10日に岡山国際サーキットで開幕する。

優勝 #11牧野任祐(Rnスポーツ)のコメント
最低限連続優勝しなければならなかったんですけど。それはできたけど最終的にチャンピオン取れなかったんで。僕は新品タイヤで出て行ったので、雨が降らなければ後半きつくなるかなと思っていたんですが。
シーズン前半はまだみんながクルマに慣れていない状態で、そこでは良かったんですけど、みんなが仕上がってきてからは厳しくなりました。最後の2戦も雨じゃなかったらきつかったと思います。その中で自分がやらなければならないことをやりましたけど、チャンピオン取れなかったんで悔しいです。
2位 #36坪井翔の(トムス)コメント
昨日もそうでしたがスタートして1、2周で前に行けないと厳しいと思っていたので、とにかくタイヤをあっためて、序盤から一気に行きました。オートポリスから今回まで、全部のレースでスタートで2台ぐらい抜いているんで今回もそのおかげかなと思います。
シーズン序盤は牧野選手にリードされてて、結構ポイントも離れてて、正直厳しかったんですけど、途中で6連勝飾ってポイントリーダーになって「あ、これでいける」って自信はあったんですが、オートポリスで決めきれなくて。で、もてぎも「晴れだったらいける」と思っていたら雨になってしまって。予選も9番、9番と追い上げるのも厳しい中でスタートして昨日は5番までしかなれず、今日3位以内じゃないとチャンピオンになれないってことですごくプレッシャーはあったんですけど、それでも「絶対勝つ」って気持ちで今日は臨んで、最後まで諦めないで走りました。最後優勝はできなかったけど、良かったと思います。守りのレースだけは絶対したくないと思ってました。
3位 #14根本悠生(KCMG)のコメント
コンディションにタイヤが合わなくて、自分がそれに合わせきれなくて、負けました。曲がらないってのもそうだし、それも全部タイヤのチョイスミスでした。
Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Hiroyuki MINAMI


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