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F110 CUP

第1戦もてぎレース1決勝 スリックタイヤに賭けてファイナルラップの攻防を制した加納康雅が優勝

優勝した加納康雅(AKIRAND RACING)

 F110 CUP第1戦決勝が3月8日(土)にモビリティリゾートもてぎで開催され、セーフティカー(SC)ランの後にトップに立った下野璃央(Dr.dRY F110)をファイナルラップで逆転した加納康雅(AKILAND F110)がトップチェッカー。優勝を飾った。

 第1戦決勝のコースイン開始は定刻通りの午後3時40分。朝から冷え込んだままのもてぎは気温が3度まで低下。さらに量は少ないものの雪が落ち始め、風にのって横殴りで車体に降りかかっている。この為WETレースが宣言されており、グリッドへの試走の段階で数台がスピンを喫している。そのためグリッドについてから慌ただしくレインタイイヤに交換するマシンが続出。一方雪の量を見てドライタイヤで行けると判断した選手やチームもあり、最終的に、加納、YUGO(S2R Racing)、松井啓人(DOME F110)、大川烈弥(群馬トヨペットチームRiNoA)の4台はスリックタイヤでグリッドについた。

 10周または30分のレースはSCの先導でスタート。ポールシッターの落合蓮音(HOJUST & EAGLE)を先頭に松井、下野、酒井翔太(ファーストガレージF110)、鈴木悠太(ZAP SPEED F110)、酒井涼(KF MOTORSPORT F110)という予選の順に続く。

 SCランは2周行われ、3周目から本格的にレーススタート。落合は90度コーナー立ち上がりから加速を開始すると、ポールシッターの優位を活かして松井に1.512秒の差をつけてコントロールラインを通過した。

 落合は2位以下を大きく離して第1コーナーをターン、松井、下野と続き、酒井翔太が鈴木のアウトから並びかける。2位グループの中では下野の勢いがよく、第2コーナーでアウトから松井の前に出て2位にポジションアップ。後方では大川が第1コーナーでアウト側へまっすぐコースアウトするがレースには復帰。第2コーナーからの加速で松井は鈴木、酒井翔太にもオーバーテイクを許し5位にダウン、続く第3コーナーでは酒井翔太は鈴木のインを突いてターンイン、3位に上がる。順位を落とした松井に今度は第5コーナーで酒井涼がアウトから仕掛けるとインで粘っていた松井がハーフスピン、横を向いた状態で停止してしまう。ダウンヒルストレートでは酒井涼が鈴木のサイドに並びかけて90度コーナーでオーバーテイク、4位に上がる。ここで松井の車両を撤去するためにSCの投入が宣言される。

 3周目を終えた順位は落合~下野~酒井翔太~酒井涼~鈴木と続き6位には豊島里空斗(Dr.Dry Racing F110)がつけている。ここまでの展開ではスリックタイヤを選択した4台のうち3台がスピンやコースアウトを喫しており、無傷で走っているのは加納のみという状況。その加納は3周目の間にスタート時点の8位から9位にポジションを落としている。

 SCランは6周目まで続き、7周目からレース再開。この間に雪は止んでいて、路面はドライコンディションに保たれている。

 トップ落合は前回とは違って、6周目のビクトリーコーナーまで隊列をコントロール、最終コーナー立ち上がりから加速を開始する。2位の下野はこれにしっかり追随してコントロールライン上では0.420秒差で落合を追う。後方では酒井翔太がメインストレートに出てきたところでアウト側に出そうになり失速。これを酒井涼がかわしながら前に出てコントロールラインを通過する。この動きについての審議は酒井翔太の失速が原因ということで酒井涼にペナルティはなしとなった。いずれにしろこれで酒井翔太は4位にポジションダウン。後方ではスリックタイヤの加納の勢いがよく、第1コーナーまでに黒沢和真(HRDP★ハンマーR/F110)、中井陽斗(HELM GSTR F110)を仕留めて7位に進出。

 2位につけた下野はペースが速く、第3コーナーへのブレーキングでアウトから落合に被せるようにターンイン、オーバーテイクに成功してトップに躍り出る。この辺りは一昨年までFIA-F4でこのF110を走らせていた下野の経験が出たか、そこから下野は落合を突き放しにかかり、ギャップが拡がっていく。ヘアピンでは酒井涼も落合をオーバーテイク。落合はペースが苦しいのか酒井翔太もテール・ツー・ノーズとなる。その後方ではヘアピンで豊島を攻略した加納がダウンヒルストレートで鈴木の右サイドに並びかけると90度コーナーでインからオーバーテイクして5位まで進出。スリックタイヤを履く加納のペースが明らかに速くなってきていている。

 下野は2位酒井涼に1.874秒の差をつけて7周目を終了。3位落合は酒井涼に0.615秒の差で、落合に並びかけた酒井翔太が0.079差でコントロールラインを通過すると第1コーナーでインからオーバーテイク。3位に上がる。この2台のバトルに加納も接近。8周目の第3コーナーへの加速で落合が再び酒井翔太の前に出ると、コーナー入り口でしっかりブロック、これに乗じてアウト側から加納が仕掛けるが、ここはワイドになりすぎてアウト側にはみ出しグラベルにギリギリのところで踏みとどまる。第4コーナーからの加速で酒井は落合に並びかけると落合は防戦にやや左により、開いた落合の右サイドに加納がノーズをねじ込む。3ワイドで第5コーナーへのブレーキング競争で勝ったのはアウト側の酒井翔太で3位に再浮上、落合、加納と続いてファーストアンダーブリッジを通過する。いったんは引いた加納だがスリックタイヤのアドバンテージは明らかで、S字の入り口で落合を仕留めて4位に上がるとヘアピンからの加速で酒井翔太に並びかけてサイド・バイ・サイドでダウンヒルストレートを駆け降りると、90度コーナーの手前でオーバーテイクを完了。これで加納3位。

 3位以下のバトルを後目にトップを走る下野に対して2位酒井涼はこの周2分3秒939とここまでのファステストラップを出して1.686秒差。3位加納は1.646秒の差、そこから1.124秒差の4位酒井翔太、0.656秒差で5位落合、1.421秒差で6位豊島と続く。

 9周目。ただ一人スリックタイヤで上位を走る加納は酒井涼との間合いをぐいぐいと詰め、ヘアピンで前に出ると2位に進出。ダウンヒルストレートから90度コーナーと下野に近づいていく。加納はこの周2分1秒719とレース中のファステストラップを叩き出して下野との差を0.504秒として、ファイナルラップに突入する。

 10周目の第1コーナー、早くも加納は下野のテールに張り付く。9周目のラップタイムで見ても加納は下野より2.8秒速く、トップ奪取は時間の問題か。そして第3コーナーでは加納がアウトからプレッシャーをかけるが下野がレイトブレーキングで対抗、加納はそこからクロスラインを狙うがここも下野はポジションを守る。ファーストアンダーブリッジを抜けて130Rで加納がインから再度仕掛けると、S字の入り口でアウトから下野を仕留めてついにトップに浮上する。レインタイヤの下野の抵抗もここまで。

 トップに立った加納は下野をぐいぐいと引き離しダウンヒルストレートでは早くも50メートルほどのギャップを築き、そのままフィニッシュラインまで一気に走り切り優勝、チェカードフラッグの下をガッツポーズで通過した。2位の下野は2.483秒差、以下3位酒井涼、4位酒井翔太、5位落合、6位豊島というトップ6となった。

 スタート前に雪が降りしきる状況の中でスリックタイヤを選択したのは4台、そのうち3台は序盤にスピンやコースアウトを喫した中を耐え忍んで生き残った加納が終盤に一気に追い上げた勝利をつかんだ。

 F110第2戦決勝は明日3月9日(日)に行われる。これから朝まで雪が再び降る予報で、午後1時20分予定のレースがどんなコンディションになるか、注目だ。

ドライタイヤからウエットタイヤに交換する下野璃央(Dr. Dry F110)

決勝はセーフティーカースタートとなった

セーフティーカーラン中に松井啓人がスピン

優勝は加納康雅(AKILAND F110)

決勝2位は下野璃央(Dr. Dry F110)

決勝3位は酒井涼(KF MOTORSPORT F110)

決勝4位は酒井翔太(ファーストガレージF110)

決勝5位は落合蓮音(HOJUST & EAGLE)

決勝6位は豊島里空斗(Dr. Dry Racing F110)

表彰式

Text: Junichi SEKINE
Photo: Kazuhiro NOINE
Mizue NOINE


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