FORMULA REGIONAL JAPANESE CHAMPIONSHIP

第4戦もてぎレース11決勝 リアム・シーツがエンツォ・トゥルーリとのバトルを制して今期2勝目

優勝したリアム・シーツ(SUTEKINA RACING TEAM)

 フォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ・チャンピオンシップ(FRJ)第4戦RACE11決勝は7月23日(日)にモビリティリゾートもてぎで行われ、スタートでトップに立ったエンツォ・トゥルーリ(TOM'S FORMULA)を3番グリッドから発進のリアム・シーツ(Sutekina Racing)が逆転、岡山での第8戦に続いての優勝を飾った。

 午前中のRAC10に続いて本日の最終レースとして開催のRACE11。陽射しはやや傾いたものの依然として蒸し暑い気候で、2日間で3レースを戦うドライバーやクルーにもやや疲れが見える。それでも3連戦の最後、少しでもいいリザルトを求めてチームは準備に余念がない。前日の予選2回目のタイムで確定したスターティンググリッドはポールシッターが3戦連続の小川颯太(Bionic Jack Racing F111/3)、そしてフロントロウに並ぶのはこれも3戦連続のエンツォ・トゥルーリ(TOM'S FORMULA)。セカンドロウで毎回3番手を競った奥住慈英(Bionic Jack Racing F111/3)とリアム・シーツは今回はシーツが3番手、奥住4番手だ。

決勝がスタートした

 RACE11決勝は午後4時ちょうどにコースイン。フォーメーションラップは4時15分開始で7台がグリッドに整列すると、レッドライトが消灯してレースが開始された。

 ここまで2レースともポールポジションから好スタートを決めていた小川だが、今回は2番手スタートのトゥルーリの蹴り出しがよく、小川と並んで加速する。小川はピットウォール側にマシンを寄せて牽制するがトゥルーリは構わず突進、スペースをこじ開けるように突き進みホールショットを奪い第1コーナーへ進入。小川はアウト側からターンインするが第2コーナーでトゥルーリがアウトへと進路を変えてそれを阻む。後方ではシーツに奥住が襲い掛かり第3コーナーへ向けてサイド・バイ・サイドでターンインするがシーツが3位のポジションを守る。

 第5コーナーで小川は再びアウトからトゥルーリに仕掛けるがここもトゥルーリのブロックが厳しく、小川は押し出される格好になり失速。トンネル内でシーツ、奥住、ミハエル・サウター(Sutekina Racing)の先行を許して5位まで後退する。130Rにはトゥルーリ~シーツ~奥住~サウター~小川の順で進入。マスタークラスではこの大会初めて近藤善嗣(KUJIRA Rn-sports-)がスタートでYUKI(NILZZ Racing)の前に出てクラストップを走る。

5台でのトップ争い

 トップに立ったトゥルーリはシーツに0.482秒の差でオープニングラップを終え、シーツから0.453秒差で奥住、さらに0.446秒でサウター、0.509秒で小川と等間隔で続く。続く2周目も上位は等間隔のワンパックで走り、トップトゥルーリから5位小川までが2秒の中を走っている。

 3周目、マスタークラスのトップ争いに動きがあり、V字コーナーでYUKIが単独スピン。大きく遅れてしまう。この周回トゥルーリがややタイムロスがあり、シーツが0.191秒と背後に接近。そしてサウターが1分53秒011のファステストラップをマークして3位の奥住の背後に接近すると第1コーナーでインを突いて並走、第2コーナー出口で前に出るがサイドが入れ替わる第3コーナーで奥住が再び前に。シーツも第3コーナーでトゥルーリに仕掛ける素振りを見せるがここはトゥルーリがしっかり抑える。ダウンヒルストレートでは小川がサウターのスリップストリームを使って車速を伸ばすと90度コーナーのアウト側から勝負をかけるがここはサウターがポジションを守る。4周目を終えてトップのトゥルーリと2位シーツの差は0.399秒、奥住は0.842秒と僅かに離されて、サウター、小川がテール・ツー・ノーズ状態で続く。

 5周目、再びシーツがトゥルーリに接近、第5コーナーからヘアピンとプレッシャーをかけ続けるが、オーバーテイクのチャンスは見いだせない。シーツはこの周1分52秒956とファステストラップを更新しトゥルーリと0.250秒差。そして7周目の第5コーナーでシーツはトゥルーリのインから仕掛けるが、トゥルーリがすぐに反応。ブロックラインを取る。そしてダウンヒルストレートでシーツは左サイドから並びかけて90度コーナーへのブレーキング勝負に出るが、ここもトゥルーリが抑えこむ。この間に奥住以下の3位グループも接近し、5台ワンパックのグループが形成される。

 8周目の第1コーナー、トゥルーリが僅かにインを開けたのをシーツは見逃さずノーズをねじ込み勝負をかけるが果たせず、その後も第3コーナー~第5コーナーとゆざぶりをかけ続ける。後方でも隙あらば前を狙う動きを見せてひと時も息を抜けない状況だ。そしてヘアピンでアウトから小川がサウターに仕掛けると並んでダウンヒルストレートを駆け降り小川がオーバーテイクを完了、4位にポジションアップする。

 トップのトゥルーリを追うシーツは0.147秒の差で8周目を終了。勢いに乗る小川は続く9周目の90度コーナーでインから奥住をオーバーテイク、表彰台圏内の3位まで進出する。

 そして迎えた10周目、引き続きシーツがトゥルーリにプレッシャーをかけ続けると、ここまで鉄壁のディフェンスを見せていたトゥルーリにほころびが出たか、最終コーナーでアンダーステアを出してアウト側にはらんで失速。コントロールライン手前でシーツがトップを奪い11周目に突入。小川もシーツに続いてトゥルーリに並びかけるが、トゥルーリはアウト側に厳しく寄せて牽制する。微妙に接触しながらも小川はサイド・バイ・サイドで第1~第2コーナーを通過、こちらも一歩も引かない構えでアウト側からトゥルーリをオーバーテイク、2位に上がる。

 トップに立ったシーツはここでスパート。区間ベストタイムを連発して2位以下を突き放しにかかり、この周1分52秒169とファステストラップを更新。この1周だけで2位小川に1.524秒の差をつける。さらにシーツは12周目、13周目とファステストラップを叩き出し、小川も自己ベストでシーツを追うが差は2.759秒と広がる。そして3位に落ちたトゥルーリはここで力尽きたかペースが上がらず、小川から2.968秒遅れ、4位奥住、5位サウターまでが0.7秒以内で表彰台を賭けたバトルに転じている。この中で元気がいいのがサウターで、12周目、13周目と奥住の背後でチャンスを窺うと、0.277秒のギャップで入った14周目、S字の出口では片輪をダートに落とす勢いで奥住にプレッシャーをかけ、ヘアピンの進入でインにねじ込むとテール・ツー・ノーズ状態でダウンヒルストレートへ。奥住のスリップストリームから左サイドに抜け出すと90度コーナーにアウト側からアプローチ、大外刈りで奥住を仕留めて4位にポジションアップを果たす。

 サウターの勢いは止まらず、15周目にはトゥルーリと0.257秒差まで追い上げてファイナルラップに突入。第1コーナーでサウターはトゥルーリのイン側から仕掛けるが、トゥルーリが守り切り、続く第3コーナーで今度はアウトから再度狙うがここもトゥルーリ抑える。さらに第5コーナーでもサウターがアウトから飛び込もうとするが、これもまたトゥルーリがブロックラインを取ると、そのまま並走でトンネルを抜けて並走で130Rを抜けてS字に進入。切り返しでサウターが僅かに前に出るが、V字の入り口で再度トゥルーリが前に出てヘアピンへ。ここに奥住も加わって三つ巴の状態に。これがトゥルーリには幸いして、サウターが防戦に追われることになる。

 3位争いのバトルをよそにシーツは終盤を制圧。2位小川に3.083秒の差をつけてフィニッシュラインを通過。優勝を飾った。2位小川。スタート直後のバトルで順位を落としながらここまで追い上げた。3位争いはトゥルーリがポジションを守り切ってフィニッシュ、サウターは0.106秒及ばずの4位、それでも初めて尽くしの大会の最後で見せ場を作った。5位奥住はサウターから0.501秒の差。そして6位にマスタークラス3連勝の近藤が続き、スピンで遅れたYUKIも完走扱いでフィニッシュした。

 FRJ第5戦は富士スピードウェイで9月8日~9日にRACE12、RACE13が開催される。ポイントランキングトップの小川にリアム・シーツがどこまで迫るか、そして今回初優勝と遂げた奥村が再び活躍するか。注目だ。

優勝はリアム・シーツ(Sutekina Racing)

決勝2位は小川颯太(Bionic Jack Racing F111/3)

決勝3位はエンツォ・トゥルーリ(TOM\'S FORMULA)

マスタークラス優勝は近藤善嗣(KUJIRA Rn-sports)

表彰式

マスタークラスの表彰式

Text: Junichi SEKINE
Photo: Kazuhiro NOINE
Mizue NOINE


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