ツインリンクもてぎ北ショートコースを初戦の舞台として開幕した2016年全日本カート選手権、今度は西日本に戦いの場を移し滋賀県琵琶湖スポーツランドにて西地区開幕戦を迎える。
全日本カート選手権は最高峰のKFクラスとFS125クラスの2つに分かれる。
フレーム(車体)、エンジン、タイヤと各々のメーカーがブランドの威信をかけて戦う最高峰KFクラスとは異なり、FS125クラスはローコスト、イコールコンディションがコンセプトでありエンジンは2ストローク125cc水冷、タイヤはハイグリップタイヤを使用しそれぞれワンメイクでおこなわれる。
ワンメイクだからと言ってレーシングカートの魅力が劣るわけではない。レースウィークの気象状況に合わせキャブを適正に調整できる能力や、ハイグリップタイヤのタイヤマネージメント能力が順位に大きく影響し、常に接近戦の熱い戦いが繰り広げられるクラスである。
今回は、全日本カート選手権FS125クラスの参加資格である2015年シーズンの地方カート選手権の年間順位(5位以内)においてチャンピオンを獲得しステップアップし参戦する山田杯利選手(ATEAM Buzz Motorsport)にレース活動について話を聞いてみた。
プロフィール
- Team ATEAM Buzz Motorsport(エイチームバズモータースポーツ)
- No.36 山田 杯利(やまだはいり)
- 2000年9月25日生まれ 15歳
レース戦歴
2007年 | SL琵琶湖シリーズ Kidsチャレンジクラス SLレインボーシリーズKidsチャレンジクラス | デビューレース 優勝 優勝 |
2008年 | SL 琵琶湖シリーズ Kidsクラス SLレインボーシリーズ Kidsエキスパートクラス | シリーズチャンピオン シリーズ4位 |
2009年 | ブリジストン・スバルシリーズ Cadetクラス SLレインボーシリーズ スバル Cadetクラス | 参戦 シリーズ4位 |
2010年 | OPEN MASTERS KART KRP Cadetクラス | 参戦 |
2011年 | OPEN MASTERS KART KRP YAMAHA MZクラス | シリーズチャンピオン |
2012年 | ジュニアカート選手権 FP_Jr.Cadetクラス | 優勝1回 |
2013年 | ジュニアカート選手権 FP_Jr.クラス | 参戦 |
2014年 | ジュニアカート選手権 FP_Jr.クラス 鈴鹿カート選手権 J-RMCクラス | シリーズ9位 シリーズ4位 |
2015年 | 地方カート選手権西地域 FS125クラス | シリーズチャンピオン |
Q&A
- Q. カートをはじめたきっかけはなんですか?
- A.小学1年生の時、生まれつき体の小さかった僕に「体格に関係なく1番を目指せるスポーツをやらせてやりたい」と考えた両親が、何かに乗れば体が小さいことを活かせるんじゃないかと勧めてくれた事がきっかけでした。この時にレーシングカートに出会わせてくれた両親に今でも感謝しています。
- Q. あなたにとってレーシングカートとはどのような存在ですか?
- A. 唯一自分だけが自由に動かすことのできる存在で、僕にとっては、なくてはならない存在です。
- Q. レーシングカートの魅力とはなんですか?
- A. レースをやっている人の熱意、真剣さ、あの何とも言えないピリピリとした緊張感、そんな素晴らしい空間はレーシングカートでしか味わうことのできないものだと思います。そして、レーシングカートは、小さい頃から大人と沢山関わる事のできる、1つの社会勉強の場でもあると思います。
- Q. あなたの将来の夢はなんですか?
- A. F1レーサーです。そして生涯ずっとレースをして行きたいです。
- Q. 夢を実現するためにクリアしなければならない課題はなんですか?課題解決のためにどのような取り組みをしていますか?
- A. まずは自分を磨くことです。ドライビングテクニックなど技術的なことはもちろんですが、一人の人間として魅力ある 人になる事が大切だと思います。僕がお世話になっているチームのATEAM Buzz Motorsportでは走りの技術以外の部分でも沢山の事を指導してくれています。また、一戦一戦を大切にして確実にチャンピオンを取りステップアップしていきたいです。
- Q. モータースポーツは他の競技と異なり、サーキットに行かないと練習ができない為、練習時間が限られてしまいます。サーキットでの練習走行以外に、日常生活において取り組んでいることや意識していることはありますか。
- A. 僕はまず日々の生活習慣、学校での勉強など当たり前のことを意識して行動するようにしています。勉強で言うなら集中力です。これはどんなことにでも言えることですが、どんなに体力があっても集中力がなければ、それを最大限に生かすことはできないと僕は考えています。僕は当たり前のことをしっかりとやるように日頃から心がけています。
- Q. レースにおいて勝敗を分ける”差”はなんだと思いますか?また、ライバルに対してその差をつける努力や取り組みはありますか?
- A. レースウィーク中の気持ちの持ち方は当然ですが、レースに至るまでの準備で大きな差が出ると僕は思っています。僕はレース前に動画を見たり、コース図を確認したり、タイムスケジュールを頭に入れるなどできる限り沢山の準備をしています。
- Q. あなたにとって理想のドライバーとは、どのようなドライバーですか?または誰ですか?
- A. どんな場面でも冷静に状況を把握し、どうしたら自分が速く走れるのかをしっかりと分析し、圧倒的な速さを持ち、レースでは熱い走りで人を魅了できるようなドライバーになりたいです。
- Q. スポンサー様の紹介や応援して下さる皆さまに向けて一言
- A. いつも応援、激励下さりありがとうございます。今年はステップアップして全日本カート選手権FS125クラスに参戦します。昨年成し遂げられなかった課題や目標をクリアし、少しでも成長したレースを見せれるよう頑張りますので応援よろしくお願い致します。
- ATEAM Buzz Motorsport 長谷川 謙一監督のコメント
- 杯利君が、2016年全日本カート選手権FS125クラスに我々のチームから参戦するにあたり、とても嬉しく思います。彼がまだ、小学校一年生の頃、初めて乗るキッズカート時代からスクールで色々と教えて来たこともあり、弊社のたたき上げのドライバーの一人。よくここまで上がってきてくれたなと。またこうして一緒に戦えることに感謝、感無量です。昨年チーム入りしてシーズンが始まる前は、契約の条件として、学校の成績を学期ごとに確実に上げること、そしてカートの成績も残すこと。という、「文武両道」を条件に挙げました。それを見事に達成し、学業も希望の高校に入学し、2015年地方選手権のFS125クラスでチャンピオンを獲ることも現実にしました。やるときはやる! この気持ちというか、情熱、執念が彼の持ち味の一つですね。そして今年は全日本カート選手権FS125クラス、といっても、このクラスは、ただの一つの通過点に過ぎません。自分の内に秘めた、将来の夢、目標に向かって、熱く、楽しく、全力で悔いの無いよう戦って欲しいと願います。期待しています。