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SGT:第7戦チャーン 中嶋一貴/ジェームス・ロシター組LEXUS RC Fが大逆転勝利! 初開催のタイラウンドで12番手スタートからタイヤ無交換作戦を決め2連勝 (TOYOTA)

 10月4日(土)5日(日)タイ・ブリーラムのチャン・インターナショナル・サーキットでSUPER GTの第7戦が行われ、中嶋一貴/ジェームス・ロシター組のPETRONAS TOM'S RC F 36号車が12番手スタートからタイヤ無交換という奇策を決め、大逆転勝利を飾った。ロシターはランキング首位に浮上。同じくタイヤ無交換のKeePer TOM'S RC F 37号車が4位に入り、伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリがランキング2位で最終戦へ臨むこととなった。

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12番手スタートからタイヤ無交換作戦を成功させ
逆転勝利を挙げた中嶋一貴(左)とジェームス・ロシター(右)

 10月4日(土)、5日(日)の両日、タイの東北部ブリーラムに位置するチャン・インターナショナル・サーキットで、SUPER GT第7戦「BURIRAM UNITED SUPER GT RACE」が開催された。

 チャン・インターナショナル・サーキットは今年オープンしたばかりの新設サーキットであり、このSUPER GTがビッグイベントとしては最初の、いわばこけら落としのレースとなる。SUPER GTにとっても、タイでのレースは初開催。

 ブリーラムはタイの東北部「イサーン」と呼ばれるエリアの、カンボジアと国境を接する地域の小さな街で、首都バンコクからは約400km。チャン・インターナショナル・サーキットは、富士スピードウェイや上海、セパン他、近年のサーキットを多く手がけているドイツ人デザイナー、ヘルマン・ティルケ氏による設計。

 日本を初めとする多くの自動車メーカーの現地工場が置かれ、アジア進出のキーともなっているタイは、モータリゼーションの浸透も比較的早く、特に普段の足として愛用されている二輪を初めとするモータースポーツの人気も高い。そんなタイで、世界トップレベルのGTレースであるSUPER GTが開催されることは、モータースポーツの歴史においても非常に重要な契機であり、この歴史的なイベントで、記念すべき初勝利に名を刻むべく各チームはタイラウンドに臨んだ。

 シーズンは残り2戦となり、今大会はウェイトハンデがこれまでの半分、獲得ポイント×1kgでの戦い。最終戦へ向け、タイトル争いにおいても非常に重要な一戦となった。

◆予選◆

 完成したてのサーキットでの初めてのレース。もちろん全てのチーム・ドライバーにとって初走行となるため、3日(金)に2時間の練習走行時間が設けられ、予選日の4日(土)午前中の2時間の練習走行とあわせ、各チームセッティング作業をこなし、データを収集。LEXUS Racing勢はタイヤのマッチングに苦しみながらも徐々にタイムを短縮し、4日(土)午前中のセッションではPETRONAS TOM'S RC F 36号車が5番手タイムをマークした。

 午後に入っても暑さは和らぐことなく、強い日差しに照らされ、気温33度、路面温度44度という暑さの中、午後3時にノックアウト方式の予選が開始された。

 LEXUS RC F勢はQ1からタイムを伸ばすことが出来ず苦戦。そんな中、石浦宏明がQ1を担当したDENSO KOBELCO SARD RC F 39号車が5番手、関口雄飛のWedsSport ADVAN RC F 19号車が7番手のタイムをマークし、LEXUS RC Fは2台がQ2へと進出。19号車は今季初となるQ2進出を果たした。

 しかし、ランキングで上位を争い、重いウェイトハンデを搭載した他のLEXUS Racing勢は苦戦。8番手から14番手まで0.5秒以内という接戦の中、ジェームス・ロシターの36号車が12番手、アンドレア・カルダレッリのKeePer TOM'S RC F 37号車が13番手。立川祐路のZENT CERUMO RC F 1号車は、予選に向け変更したセッティングが功を奏せず14番手。

 午前中の練習走行でエンジントラブルに見舞われたENEOS SUSTINA RC F 6号車は、セッション開始直前にエンジンの載せ替えを完了し、大嶋和也がアタック。途中まではQ2進出のペースだったが、惜しくもスピンを喫し、最後尾15番手とな ってしまった。

 Q2も4番手から6番手までそれぞれコンマ1秒ほどの差という僅差の争いとなったが、39号車のオリバー・ジャービスは若干ミスがあったもののLEXUS Racing勢最上位となる6番手タイムで3列目グリッド。脇阪寿一がアタックした19号車は今季最高位となる8番手グリッドから決勝のスタートを切ることとなった。

 GT300クラスでは、OGT Panasonic PRIUS 31号車のQ1を担当した新田守男が序盤からタイムシートの上位につける好走を見せ、3番手でQ2へと進出。

 Q2は嵯峨宏紀がドライブし、10番手タイムをマーク。予選後、2台の車両がグリッド降格となったため、31号車は8番手から決勝をスタートすることとなった。

◆決勝◆

 5日(日)午前中に30分間で行われたフリー走行では、39号車が石浦のドライブでトップタイム。3番手に37号車、1号車が4番手、36号車が5番手と好タイムをマークし、決勝に期待がかかった。

 決勝日は7万5千人もの観客が来場。それまでの週末とは異なり、やや雲に覆われた空模様ながら、気温34度、路面温度52度という相変わらずの暑いコンディションの下、午後3時に決勝レース(66周)のグリーンフラッグが振られ、1周のフォーメーションラップの後にスタートが切られた。

 スタートは大きな混乱も無く、各車綺麗な隊列でほぼグリッド通りに周回を開始。しかし、4周目には早くもGT500の上位がGT300の後方に追いつき、コース上は大混雑となる中で、各所で追い抜きのためのバトルが展開された。

 39号車のジャービスは、LEXUS勢最上位の6番手スタートからポジションをキープしていたが、5周目のヘアピンでスピン。14位へと大きく順位を落としてしまった。

 代わって8番手スタートの19号車が順位を上げ、関口がライバルとの激しい5位争いを繰り広げた。

 レースが中盤に入り、各車ドライバー交代と給油、タイヤ交換のためにピットインを開始。ここで、前半戦ペースを抑えてきた36号車、37号車、39号車は他チームの意表を突くタイヤ無交換作戦を選択。タイヤ交換に伴うタイムロスをなくし、ピット作業時間を短縮した3台は、一気にポジションアップ。全車がピットを終えた40周目には、37号車が首位に立った。

 伊藤大輔へとドライバー交代した37号車は、ポールポジションから前半戦を支配してきたGT-R 24号車との首位争いを展開。しかし、44周目の最終コーナーで僅かにラインがはらんだところをかわされ、2位に後退。

 この37号車をかわし、2位へと浮上した中嶋一貴の36号車が猛追を開始。48周目の最終コーナーからの立ち上がりで追い詰めた直後、24号車がトラブルでスローダウン。続く37号車、39号車もこれをかわし、予選で厳しい戦いを強いられたLEXUS RC F勢が、後半に入って1-2-3体制となった。

 しかし、トップ3に立った3台のRC Fは全てタイヤ無交換のため、タイヤを交換したライバルに比べ厳しい状況。52周目にはタイヤの摩耗により39号車のペースが落ち、5位へポジションダウン。37号車の伊藤は何とかポジションを守ろうと健闘を見せたが、残り7周で3位に後退。翌々周の1コーナー進入でも、揃ってコースアウトを喫するほどの激しいバトルを見せたが、4位へと順位を落としてしまった。

 一方で、首位を逃げる36号車は、中嶋一貴の世界耐久選手権で磨かれた、タイヤをいたわるドライビングテクニックにより、最後までペースを落とすこと無く快走。終盤ライバルからの追い上げを受けるも、慌てること無くその差をコントロールし、トップでチェッカー。12番手スタートから、タイヤ無交換作戦を成功させての大逆転勝利で、前戦鈴鹿に続く2連勝を飾った。

 37号車は4位。19号車が今季最高位となる6位フィニッシュ。39号車が7位、最後尾からスタートし、エンジン交換によるペナルティを受けながらも粘り強く追い上げた6号車が9位でポイント獲得を果たした。

 この勝利で36号車のロシターはドライバーズランキングで首位に浮上(中嶋一貴は第2,3戦欠場のため5位)。3ポイント差の2位で伊藤/カルダレッリ組の37号車が続き、LEXUS RC Fがランキングトップ2を占めて最終戦へと臨むこととなった。

 GT300クラスでは、8番手グリッドのプリウス31号車がスタートでやや出遅れ、中団グループでの混乱の中で追い上げを試みたが、4周目にGT500車両と接触を喫し、予定外のピットイン。これで周回遅れの最後尾へと後退。

 その後、追い上げを見せた31号車は、17位までポジションを上げ、チェッカーを受けた。

PETRONAS TOM'S RC F 36号車 ドライバー 中嶋一貴:
「新しいこのサーキットでの、最初のウィナーになれたことに感激している。タイヤが固かったのか、予選では苦しんだが、決勝レースはそれを逆手にとり、タイヤ無交換で行くことで逆転出来た。僕たちは23号車(MOTUL AUTECH GT-R)だけをターゲットにしていたので、彼らとのタイム差を知らせてもらっていた。ペースはほぼ一定で、20秒前後の差で推移していたので、あの作戦でしか勝つことは出来なかった。前半、タイヤを上手くマネージメントしてくれたジェームス(ロシター)とチームに感謝している」
PETRONAS TOM'S RC F 36号車 ドライバー ジェームス・ロシター:
「今日は非常にチャレンジングなレースだったが、勝てて嬉しい。GT500同士のバトルも激しかったが、周回遅れのGT300クラス車両に引っかかると、ターン3からターン4にかけてはスリーワイドになるような状態で、観客には素晴らしいショーだったと思うし、走っている側も楽しめた。朝のフリー走行で、中古タイヤでも最後までタイムが安定していたので無交換作戦を決めた。タイヤマネージメントは大変だったが、何とか良いコンディションを保ったまま繋ぐことが出来た。中嶋選手ももちろん大変だったとは思うが、良い仕事をしてくれて優勝出来、とても良い週末になった」
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