SUPER GT

吉本大樹レースレポート SUPER GT SERIES第4戦(セパン)

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【吉本大樹レースレポート SUPER GT SERIES第4戦(セパン)】
20-21 June, 2009
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【Result】

FP(Sta) : 4th
QF     : -
FP(Sun) : 1st
Final    : 1st (23pt)

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【FreePractice】
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 巻返しの「優勝」を狙う紫電は、FP4番手発進

来る2009年6月20日、スーパーGTシリーズ年に一度の海外イベントとなるマレーシアラウンドが、セパンインターナショナルサーキットで開幕した。

開幕戦からここまで、マシントラブルやレース中のアクシデント等で思うようにいかないレースが続いてきたCar No.2のカーズ東海ドリーム28&紫電。それだけにチームもドライバーもこのマレーシアラウンドには「絶対に優勝を!」という強い思いを胸に乗り込んできた。そして迎えた最初のフリープラクティス。

天候は晴れ、気温33℃、路面温度46℃というコンディションの中始まったこのセッション。しかしセッション開始直前から雲行きが怪しくなり始め、各マシンがコースへと入ったあたりで空からはポツリポツリと雨粒が落ち始めた。すると直後に突然のスコールが襲いコース上は完全なウェットコンディションとなった為紫電はピットで待機する事に。その後セッション残り時間も30分程となった頃から雨脚が弱まり始め、ここでマシンに加藤選手が乗り込みコースイン。すると加藤選手は数周を走りその時点でのトップタイムとなる2'26"024をマーク、その後吉本とドライバーチェンジを行うと、その吉本はレースで雨が降った場合を想定してのチェック走行を行い、最終的には4番手のタイムでこのセッションを終了した。

【Result】 http://www.supergt.net/jp/

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【Qualify】
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 ポールタイム奪取から一転、紫電にまさかの失格裁定

午後に入り行われた公式予選。午前のフリープラクティス時に降ったスコールが過ぎた後はマレーシア特有の強い日差しが差し込み路面状況も一気に回復。予選は完全なドライコンディションで行われる事となった。

迎えた公式予選1回目。カーズ東海ドリーム28陣営は、午前中のセッションが雨に祟られたこともあり、予選アタックを行う予定の加藤選手のドライブに重点を置きこのセッションを進めていく。そのため吉本は基準タイムをクリアする為に1周の計測を行ったのみ。するとその後、最後のアタックでは加藤選手が3番手のタイムをマーク。順当にSL(スーパーラップ)への進出を決めて見せる。

そして1時間強のインターバルで行われたスーパーラップ。紫電は予選1回目からセットを少し調整し、300クラスの8台中の6番目でコースイン。するとこのスーパーラップでステアリングを握った加藤選手は完璧とも言えるアタックを披露。なんとこの時点で2番手に0.4秒の差をつけるトップタイムをマークして見せる。すると紫電の後からアタックを行う予定のCar No.81(ダイシン アドバン Ferrari)はトラブルからアタックを行えず、さらに最終アタックのNo.87(giraffaガイヤルドRG-3)はアタック中にスピン。これで紫電が今シーズン初のPP獲得を成し得たかと思われた。

ところがその後の車検で紫電に悪夢が待ち構えていた。ルール認識の不一致からブルテンには記載されていない部分のウェイト搭載に関する点が審議の対象となり、結果オフィシャルの判断によりペナルティーが確定、何とこの時点で紫電の予選タイムは抹消される事になってしまう。しかも予選1回目終了後の車検は通過していたにも関わらず、スーパーラップでのタイムのみならず全てのタイムを抹消される事になった為、紫電は決勝を最後尾からスタートする事になってしまった。

【Result】 http://www.supergt.net/jp/

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【Final】
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 全ての鬱憤を晴らす快走!
紫電、最後尾からの劇的逆転V!!

まさかの失格裁定を受けた予選から一夜明けた日曜日。このレースウィーク、初日から常にトップ争いをする好調さを見せてきた紫電ではあるものの、前日の裁定によりスタート位置は最後尾からとなり、さすがに「優勝」への可能性は遠のいたと思われた。しかしそれでもチームと両ドライバーは「昨日のことは悔しいがそれがレースの最終的なものじゃない。最後まであきらめずにやりたい」とあくまで「優勝」への強い思いを胸にスタートの時を迎えた。

スタート直前のコンディションは気温30℃、路面温度37℃。天候は曇りであるものの、予報では「スコールの可能性もあり」とされていた。このマレーシアでは突然のスコールも珍しくはなく、これまでもそのスコールがレースの波乱を呼んできたことも少なくない。そんな状況の中、紫電はハーフウェットでのセッションとなったこの日朝のフリープラクティスでトップタイムをマーク。ドライでもウェットでもマシンのバランスが良い状態である事を伺わせ、決勝ではそのスピードでどこまで追い上げるかに注目が集まった。そして迎えた注目のスタート。するとここでまず最初の驚きがサーキットを包むことになる。

1周のフォーメーションラップの後、ホームストレート上ではグリーンシグナルが点灯~レースがスタート、各マシンはきれいに1コーナーへと進入していく。ところがその直後、オープニングラップの激しいポジション争いの末、4コーナーでアクシデントが発生。コース上はそれを避けようとしたマシンが入り乱れることに。するとこれをうまく潜り抜けた加藤選手は、何とこのオープニングラップで一気に10番手にまでポジションをあげることに成功する。

これで一気に波に乗った加藤選手は、このスタートで装着していたソフト目のタイヤで前を行くマシンを猛追。他車の脱落にも助けられながら、6周目には6番手、9周目には3番手、その後11周目には何と2番手にまでポジションを上げていくと、最後はトップを行くCar No.19(ウェッズスポーツIS350)の背後にピタリと着けプレッシャーをかけていく。そしてレース折り返しよりも若干早いタイミングとなる20周目にピットイン。トップ浮上への期待を吉本に繋いでいく。

するとステアリングを受けた吉本もここから素晴らしい走りを披露。インラップから果敢にプッシュしていくと、この時点でトップを走行していたCar No.19(ウェッズスポーツIS350)が25周目のピットインを行うまでにその差を逆転、ルーティーンでトップに出ることに成功する。その後は30周のロングスティントに備えタイヤをセーブしつつ、それでも後続とは4~5秒程のマージンを保ったままペースをコントロールしていく。更にスティント後半も「マシンとタイヤは完璧な状態だった」と2番手以下の追随を許さず。終盤にはこのレースのファステストラップとなる2'11"971というラップタイムもマークしながら逃げきり体制を固めていく。最後は2番手との差を10秒近くまで広げ最終ラップに突入。そのまま最終ラップも無事走りきった吉本は、ピットウォールで待ち構える加藤選手やメカニック、スタッフ達の目の前を堂々の1位で通過。紫電にとっては2007年ポッカ1000Km以来となる優勝を、最後尾からという劇的な大逆転で果たすこととなった。

これまで吉本の参戦した第2戦、第3戦は共にトラブルやアクシデント等で落としてきた紫電&カーズ東海ドリーム28。そしてこのセパンには「絶対に勝つ!」との意気込みで乗り込んだものの、予選ではまさかの失格。ともすれば「また・・・」という雰囲気にもなりかねない状況の中、それでも「勝つ」事への執念をなくすことのなかったドライバー、チームの力がようやく結果として現れたこの第4戦。ポイントでも一気に23ポイントを追加しランキングも4位に浮上、第5戦以降のシリーズ後半戦での活躍次第ではシリーズチャンピオンの可能性も十分に残されており、周囲からは次戦以降での更なる活躍を期待する声が高まってきた中でこのセパンラウンドを終える事となった。

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【吉本大樹コメント】
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昨日の事があったから尚更嬉しい!まさか最後尾から勝てるなんて信じられない!序盤のレース展開と加藤さんの判断力が、そして僕ら全員の執念がミラクルを引き起こしました。

加藤さんカッコよかったですね。まさか2番手までポジションを上げるとは思っていませんでしたが、ピットを後にしたとき「勝ち」をほぼ確信しました。僕のスティントに入ってからはペースを保ちつつも、とにかくタイヤを労りながら走りました。後ろとのギャップは毎周教えてもらっていたんで意識はしていましたが、セーブしているから後半更に差を広げられると思っていました。でも片岡君も上手くタイヤを使っていましたね。全然楽な展開にもっていかせてはもらえませんでした。

最後は半脱水で指がしびれてきたんですがマシンもタイヤも完璧でペースは落とさず走れました。これ程全てがうまくいくレースってあるんですね!総合力でもぎ獲った勝利です。3度目の正直!皆さん応援ありがとうございました!!



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