SUPER GT

SGT:第9戦富士決勝 ダンロップ1-2!トムス9年ぶりの栄冠!!

2006AUTOBACSスーパーGT第9戦は、ポールからスタートした#32EPSON NSX(ロイック・デュバル/武藤英紀組)が後続を全く寄せ付けない走りで66周を独走し、今季初勝利を挙げた。
2位には#35バンダイDIREZZA SC430(服部尚貴/ピーター・ダンブレック組)がつけ、ダンロップタイヤユーザーが1-2フィニッシュを達成した。
GT500のシリーズタイトルは、ポイントリーダーの#100レイブリックNSX(セバスチャン・フィリップ/細川慎弥組)が13位ノーポイントに終わり、#36オープンインターフェース・トムスSC430(アンドレ・ロッテラー/脇阪寿一組)が4位に入ったため、トムスSCが1997年以来9年ぶりに王座を獲得することとなった。

GT300クラスは、#101トイストーリーレーシングMR-S(新田守男/高木慎一組)が波乱のレースを制し、シリーズタイトルは6位に入った#7雨宮アスパラドリンクRX-7(山野哲也/井入宏之組)がものにした。これで山野はGT300クラスで3連覇を成し遂げたことになる。

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2006シーズン最後の戦いは、午後2時にフォーメーションラップがスタートした。
ポールシッターのエプソンNSXがトップをキープして1コーナーへ飛び込み、一気に後続を突き放しに掛かる。
その後方では#8ARTA NSX、#36オープンインターフェースSC、#1ZENT SCが激しい5位争いを展開した。3台は1周目のダンロップコーナーで並走状態となり、真ん中に挟まれた#1ZENT高木虎之介がアウト側にいた#8ラルフ・ファーマンと接触してしまう。
これによりZENT SCはコースアウト。最後尾で復帰したもののそのままピットへ戻ってレースを終えた。
ARTA NSXも右リヤタイヤをバーストさせてスローダウン、ピットへ戻ってタイヤを交換する間に周回遅れとされた上、21周を消化した頃になってドライブスルーペナルティを課されることになった。
これにより、ランキング4位のZENT、同7位のARTAは王座獲得の可能性がなくなった。

生き残った36オープンインターフェースSCのロッテラーは、4位を走る#3イエローハットZの横溝直輝を追い上げ、25周終わりで3号車がピットインしたことで4位に繰り上がった。
36号車は30周終わりでピットへ。ルーティン作業に36秒を要した3号車に対し、トムスのクルーは29秒で作業を終え、脇阪寿一をコースへ送り出した。
これにより脇阪は#3J.P.オリベイラの前でコースに戻り、4位の座を守った。
このままフィニッシュできれば#36トムスSCの獲得ポイントは80となり、#100レイブリックNSXの79を上回る。

一方、そのレイブリックNSXは、8周目のダンロップコーナーで#23ザナヴィZ松田次生を押し出してしまい、ドライブスルーペナルティを受けてしまう。
これによりレイブリックはポイント圏外の13位に後退、押し出されたザナヴィZも11位と、こちらもポイント圏外に。
ザナヴィZが王座を獲得するには、最低でも3位に入らなければならず、この時点でザナヴィZの王座獲得もほぼなくなった。

トムス同様4位入賞が最低条件の#18TAKATA童夢NSX、3位表彰台が条件の#22モチュールZはこの時点で8位、9位を走行しており、この2台も上位入賞はかなり厳しい状況だ。

シリーズタイトルはほぼ、#36、#100の2台に絞られた。

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トップを快走する#32エプソンNSXは30周終わりでピットイン、余裕を持ってタイヤ4本を交換し、武藤にステアリングを託す。
武藤はファステストラップを更新する攻めの走りで残り36周を走りきり、今季初の、そしてルーキードライバー二人にとってはGTで初めての勝利を挙げた。
その32秒後方では、57周目から10周にわたって#24ウッドワンZ荒聖治の猛チャージを受けた#35バンダイSCの服部尚貴が最後まで2位の座を守りきってフィニッシュ。
これによりダンロップタイヤは1-2フィニッシュを達成するとともに、第3戦の富士500㎞に続いての富士2連勝をも成し遂げた。
最後までバンダイSCを追い続けたウッドワンZにとっても、これが今季初の表彰台となった。

4位には#36オープンインターフェースSC。見事80ポイントを獲得し、#100レイブリックNSXを1ポイント上回って今シーズンのタイトルを獲得した。
これはチームトムスにとっては1997年(ミハエル・クルム/ペドロ・デ・ラ・ロサ)以来の久々のタイトルとなった。

一方、GT300クラスはスタート前から波乱が待っていた。
ポールシッターの#777梁山泊MR-Sがエンジン始動に手間取り、ピットスタートとなってしまったのだ。

これで前方の開けた予選2位の#19ウェッズスポーツセリカだったが、オープニングラップで#9レイジュンMTと#96EBBRO350Rの先行を許してしまう。
2周目で96号車をパスし、2位まで挽回した#19松田晃司だったが、6周目には予選10番手から一気に順位を上げてきた#26タイサンGT3に追い上げられ、12周目にはクラス2位の座を奪われてしまった。

#26タイサンGT3を駆る山路慎一は更にトップを走る#9レイジュンMTにも追いつき、トップ争いを挑んでいく。

ところが29周目のヘアピンで、後方から2台をラップしようとした#8ARTA NSXに弾き飛ばされ、9号車は左リヤの足回りを壊してそのままピットへ戻り、レースを終えることとなった。
#26タイサンGT3はトップのままコースへ復帰して走り続けるが、その後方から追い上げてきたのが、ピットスタートとなったはずの#777梁山泊MR-Sだ。スタートドライバーの大嶋和也はファステストラップを連発しながら瞬く間に順位を上げ、30周目には遂に2位に浮上してきた。

#26山路が35周終わりでピットへ入ったことでトップに繰り上がった大嶋は、その後もハイペースで40周を走り、大きなリードを築いて田中実に交代した。
ところが田中は44周目のヘアピン立ち上がりで単独スピンを演じてしまう。
この隙に#62ウィルコムヴィーマック408R、#101トイストーリーMR-S先行を許してしまう。
更に後方からは#19ウェッズスポーツセリカの脇阪薫一も迫り、45周目のダンロップへの進入で田中が姿勢を乱した隙に脇阪はインをついて3位に。

ここから上位陣は#62、#101、#19の順で淡々と周回を重ねていく。

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一方、タイトルを争う3台は、#2プリベチューリッヒ紫電が加藤寛規の好走で一時はトップに立ち、ピットストップを終えてからも6位の好位置を走行する一方で、#7雨宮RX-7はスタートドライバーの山野哲也が6周目のヘアピン立ち上がりでなんと単独スピンをしてしまい、大きく順位を落としてしまう。#61アネブルヴィーマック320Rはクラス20番手前後の苦しい戦いを続けている。

一時はクラス24番手まで後退した雨宮RX-7はしかし、そこからしぶとく順位を回復していき、クラス4位まで挽回した36周終わりでピットイン、13位でコースに復帰した。
後退した井入宏之もしぶとく周回を重ね、50周目には#2紫電の背後に張り付き、52周目の1コーナーで#2高橋一穂のアウトに並びかけ、コカコーラコーナーの進入で完全に前に出る。
これでRX-7は10番手、紫電はポイント圏外の11番手となった。

雨宮RX-7がポイントで紫電を逆転するには、6位以内に入らなければならない。
55周目に#26タイサンGT3と#46吉兆宝山Zを抜いて8位に浮上した井入は、7位#55フォードGTを執拗に攻め立てる。
しかし、ウェイトハンデ軽減を狙ってリストリクターを絞ってきた最終戦仕様のRX-7には、直線でフォードGTを抜き去るスピードが足りない。

しかし58周目、#55に接触によるドライブスルーが宣告される。
これで雨宮RX-7は7位に繰り上がった。
しかし、6位を走る#88ムルシエラゴは5秒前方。残り周回数はあまりにも少ない。

ところが。
ファイナルラップとなった61周目。
トップを走っていた#62ウィルコムヴィーマックが最終コーナー手前で突如スローダウン。
コース脇にクルマを停めてしまった。

これにより、2位を走っていた#101トイストーリーMR-Sはトップでチェッカーを受けることとなり、雨宮RX-7も6位に繰り上がった。
#2紫電は11位に終わったため、6位5ポイントを獲得した雨宮RX-7が今回ノーポイントの紫電と86ポイントで並び、上位入賞回数(2位獲得数)の差で雨宮RX-7、山野/井入組がドライバーズとチームの両タイトルを独占することとなった。

これで山野哲也はGT3003連覇を達成し、RE雨宮は参戦12年目にして初の栄冠を勝ち取った。

Text:Kazuhisa SUEHIRO / Photo:Keiichiro TAKESHITA



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