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SGT:第5戦SUGO決勝 最後の最後に大逆転!! #17ケーヒンHSVが0.025秒差で夏の菅生を制す!

2010AUTOBACS SUPER GT第5戦「SUGO GT300kmレース」の決勝レースが7月25日、スポーツランドSUGOで行われた。
途中小雨が降る難しいコンディションの中、300kmのレースを制したのは#17KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大組)。終盤見事な追い上げで#18ウイダーHSV-010を最後の直線でかわし、チーム結成以来初の勝利を手にした。その差は僅かに0.025秒。終盤数周にわたって展開された息をもつかせぬ熱い戦いに、サーキットに詰め掛けた27,000人の観衆は大いに沸いた。3位には#6ENEOS SC430(伊藤大輔/ビヨン・ビルドハイム組)が入った。
ポールシッターの#23MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ブノワ・トレルイエ組)は序盤から独走状態を築いていたが、終盤突如スローダウン、6位でレースを終えた。

GT300クラスはポールからスタートした#2アップル・K-ONE紫電(加藤寛規/濱口弘組)が序盤から快調に後続を突き放し、2位以下に23秒103もの大差をつけて、こちらも今季初勝利を飾った。
2位は予選12番手から怒涛の追い上げを見せた#3HASEMI SPORT TOMICA Z(星野一樹/柳田真孝組)、3位には#31エヴァンゲリオンRT初号機aprカローラ(嵯峨宏紀/松浦孝亮組)が入った。
(天候:曇り-雨-晴れ コース:ドライ-ハーフウェット-ドライ 観客動員数:27,000人)

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決勝レースは午後2時にスタート。上空には厚い雲が垂れ込めてきたが、この時点では雨はなく、ドライコンディションで81周の戦いの火蓋が切られた。
朝のフリー走行でGT300車両と接触してクラッシュ、フロント部分を大破した#38ZENT SCもどうにか修復が間に合い、ピットスタートながら戦列に加わることとなった。

ホールショットを奪ったのはポールスタートの#23モチュールGT-R。
スタートドライバーのトレルイエは序盤からハイペースで逃げにかかり、1周1秒のペースで後続との間にマージンを築き上げていく。
2位には#100レイブリックHSVの伊沢拓也、3位には#35MJクラフトSCの大嶋和也がつけてオープニングラップを終了したが、その後方からやってきた#8ARTA HSVを駆るラルフ・ファーマンが3周目の1コーナーで大嶋のインに飛び込み、両者は接触、揃ってスピンを喫して後方に沈む。 2位の伊沢も10周目のヘアピンでスピン、一気に10位に沈んだ。
更に35号車は駆動系のトラブルから15周目のS字手前でストップ。惜しくも戦列を去る結果となった。

こうした中、着実に順位を上げてきたのが#17ケーヒンHSVだ。
予選10番手からのスタートながら、上位陣の脱落に助けられて10周目までに7位、19周目には#24HIS GT-Rを1コーナーで捉えて6位に浮上すると、23周目の馬の背では#32エプソンHSVも捉えて5位に浮上する。31周目には馬の背で#32エプソンがコースアウトしたために4位に浮上した。 この周回前後から時折雨粒が落ち始めており、馬の背コーナー前のポストからはオイル端が提示されるようになっていたのだ。
17号車はスタートドライバーの金石が36周までを走行してピットイン。塚越広大にバトンタッチする。これは前のクルマに詰まったことによる予定よりも早いピットストップだったとレース後に金石は語った。

一方のトップ争いは、15周を終えたところで1-2位の差が12秒297まで開いていたが、2位を走る#18ロイック・デュバルが次第にペースを上げ、20周終わりでは9秒683、26周終わりでは7秒199と周回を重ねるごとに縮まり始めた。しかし#18ウイダーHSVは29周終わりで早めのピットインを行った。
対する#23モチュールGT-Rはトレルイエが50周目まで引っ張って漸くピットイン。本山にステアリングを委ねた。
23号車がピットアウトした時点で、18号車は14秒9後方に位置していた。

23号車の作戦は的中し、そのまま逃げ切りに入るかと思われたが、18号車を駆る小暮はアウトラップから数周にわたりペースの上がらない#23本山との差を一気に詰め、53周を終えるころには10秒734後方まで迫ってきた。
その後2台のギャップは周回遅れが絡むたびに拡大と縮小を繰り返し続ける。
小暮の追走に対して本山も一歩も引かない構えだ。

しかしその後方から、この2台を上回るハイペースで追い上げてくる1台のクルマがあった。
塚越広大の駆る#17ケーヒンHSVだ。
塚越は小暮より1秒以上速いペースで周回を重ね、5秒以上あったギャップを70周終わりまでに1秒888まで縮めてきた。トップの本山はその更に9秒995前方。こちらは完全に逃げ切りの体制に入ると思われた。

しかし74周目に誰もが想像だにしなかった波乱が待ち受けていた。
トップをひた走る23号車に電気系のトラブルが突如襲ってきたのだ。
予想外のスローダウンを強いられ、最終コーナーにストップする23号車。
その脇をテール・トゥ・ノーズの状態で18号車と17号車が駆け抜けていく。
23号車はその後息を吹き返し、再び1分20秒~19秒台で周回を始めたが、時既に遅く、土曜朝のフリー走行から終始トップタイムを刻み続けてきた昨年のSUGOウィナーは6位でこのレースを終えることとなった。

#23モチュールGT-Rの脱落により、2位を争っていた#18ウイダー、#17ケーヒンの2台のバトルはそのままトップ争いに切り替わった。
77周目のSPアウトコーナー、80周目の1コーナーと、隙あらば躊躇なく並びかけてくる#17ケーヒンの塚越を懸命に押さえ込む#18ウイダーの小暮。
両者テール・トゥ・ノーズのまま、レースはファイナルラップを迎える。

そして。
逆転のチャンスは最終コーナーに待ち受けていた。

周回遅れのランボルギーニに詰まった小暮にすかさず塚越がアウトから並びかけた。
両者フルスロットルで最終コーナーからダンロップブリッジまで続く急な上り坂を駆け上がっていく。
コントロールラインの手前では完全に横一線の状態となり、そのままフィニッシュラインを突っ切った。

勝ったのは塚越。
#17ケーヒンHSVは僅か0.025秒差で#18ウイダーHSVを下し、チーム結成以来初の勝利をここSUGOで手にした。
塚越にとっては2007年のF3以来、金石にとっては2003年のフォーミュラニッポン以来の待ちに待った公式戦優勝となった。

GT300クラスはポールスタートの#2紫電が快調にトップをひた走る一方で、2位以下は混戦に次ぐ混戦が展開された。
#31エヴァンゲリオンaprカローラ、#11JIMゲイナーフェラーリ、#7雨宮RX-7、#62R&Dレガシィ、#74aprカローラらが一進一退の攻防を繰り広げるなか、後方からは12番手スタートの#3トミカZが着実に順位を上げてこの集団に追いついてきた。
3号車はルーティンストップを終え、柳田に交代した後の53周目に遂に2位を走行する#31エヴァンゲリオンカローラを馬の背で捉え、2位に浮上した。

一方トップの#2紫電は加藤が規定ギリギリまで引っ張って濱口にチェンジ。後方の混戦にも助けられて20秒以上のマージンを築き上げた。
最早このペースについていける車は1台もなく、紫電は今季待望の初勝利を5戦目にして漸く手にした。

次回はいよいよ鈴鹿サーキットを舞台に繰り広げられる伝統の一戦、ポッカ700km。
8月22日決勝だ。

Text:Kazuhisa SUEHIRO Photo:Keiichiro TAKESHITA


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